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雨の記号(rain symbol)

地震3


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 旭硝子の工場沿いを走って行くと、前方から作業着にヘルメット姿の人たちが大勢こちらに向けて歩いてくる。最後列には幾人かの若い女たちの姿も見られる。ざっと見て百人以上いる。別の場所への移動であろうか。それとも駐車場に戻ろうとしているのだろうか。
 こんなにまとまった人数が歩いてくるのは、僕の帰宅する時間帯としては始めて見る光景だった。
 笑い顔などもまじりくつろいだ様子も見て取れるが、大きな地震のせいで工場内での作業が早く打ち切られたのかもしれない。
 五井海岸手前の信号を過ぎてから車は徐行になった。この先はカーブしていって五井海岸の信号がある。僕は左車線を進んでいたが、前を行く大型トラックが右ウインカーを点滅させ、右車線に入りだした。
 どうしたのだろうと思っていたら、車線をふさぐコーンが置かれ、その向こうにパトカーと大きなトラックの止まっているのが見えてきた。
 警察官とトラックの運転手らしいのが何やら真剣に話し合いを行っている。別の車は見当たらない。信号を通り過ぎる時、入り江側の道路に小さなトラックの
止まっているのが見えたが、それが今見たトラックと関係あるかどうかはむろんわかるすべはなかった。
 そこの信号を過ぎると車はそろそろ流れ出した。八幡宿のボートピア辺りまではいつもと変わらぬように車は走った。ただ陸橋下を通過した頃にまた地震を感じた。ハンドルを持つ手に力が入った。眩暈のような感覚がお尻の辺りからのぼってきた。前のトラックはまるでスリップするように走っている。僕はブレーキを踏んでスピードを落とした。後ろから追突されてはいけないと思ってハザードランプを点けて徐行で走った。
 また地震がきた。周囲の景色もゆれた。今度は強い。走れる揺れじゃない。僕は車を止めた。前から走ってきた車も止まった。次々止まった。
 車のエンジンを切った。駐車場の時と同じくらいの揺れだ。
 しかし前のトラックは徐行で走って行く。僕はじっとそのトラックを見送った。僕の横を走り過ぎる車はなかった。 
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