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雨の記号(rain symbol)

韓国ドラマ「がんばれ!クムスン」(147)





韓国ドラマ「がんばれ!クムスン」(147)


「ひとまずここに座りなさい」とピルト。「シワンもみんな座って」
 シワンやジョンシムらが座り、クムスンらも遅れて座った。
 ジョンシムは黙り込み、クムスンはうな垂れている。
 会話が続く雰囲気でもない。
「もうこんな時間か」とピルト。「お前、夕食はどうする?」 
「食事だなんて・・・」ジョンシムは困惑気味に答える。「今日は急だったし、次にしましょう」
「そうだな、ではそうするか」 
「はい」とジェヒ。「私も初日からご迷惑は・・・」
「そうだね。近いうち正式にお招きします」 
「はい。ありがとうございます。ですがもう一度お願いいたします。私を信じてフィソンをお預けください。約束します――フィソンを自分の子のように・・・」
「けっこうです」とピルト。「今日は帰ってください」
「・・・」
「さっきも話したが――フィソンはうちで育てる。だからク君はクムスンを幸せにしてくれ」
 クムスンは何か訴えたい表情をするが、口にはできない。
 話は次に持ち越され、クムスンはシワンらとともにジェヒを送って出た。
「私たちはこれで失礼します。お気をつけて」
 ソンランもシワンに続く。
「後日ご招待するそうですから、またその時に。本当におめでとう」
「お義兄さま」とクムスン。「お二人は怒ってるから言ってるんですよね? そうですよね」
 戸惑いを見せながらシワンは答える。
「そうだよ。あまり心配をしないでお見送りを」
「・・・」
「ではまた後日に」
 挨拶し合いクムスンらは力なく歩き出す。
 足を止めてジェヒは声を荒げた。
「どこがいい方たちだ?」
 びっくりして振り返るクムスンにジェヒは言った。
「フィソンを置いていけと?」 
「違うの。怒ってるからよ。私に裏切られた気持ちなのよ」
「よけい理解できない。なぜ裏切りだと? お前を――いつまで家に置くつもりなんだ?」
「そうじゃないってば」
「何がそうじゃないだ。こんなに呆れた話はないよ。いや、単身の嫁と3年も一緒に暮らして、再婚するなら子供を置いて行けと? 結婚するなと言っているようなものだ」
「そうじゃないんです。私から話さずに院長が話したからよ。やりすぎだったのよ。私が逆の立場なら怒っていました。もっと怒って追い出してたわ」
「・・・」
「院長もひどいわ。私に何か言うのは構いませんが――義父母を訪ねて・・・」
「すまない・・・」
「だから怒ってるのよ。私から伝えていれば――あんなに怒ったりしなかったはずだわ。だから怒って」
「すまない。母さんのことは――すまなかった。悪かったよ」
「いいえ。きっとフィソンを送り出してくれるわ。義父母は本当にいい人たちだもの。私はもう行くわ。家に戻って話をしてみないと」


 ジョンシムはフィソンを寝かしつけて茶の間に戻った。
「疲れてたのね。ぐっすり寝てるわ」
「母さん、父さん・・・さっき言ってたことは――本心ですか?」
「もちろん本心よ」とジョンシム。
「本心だって?」
「何を言っているんだ」とピルト。「じゃあ、フィソンを他人に預けると?」
「お義父さま、でも・・・」
「でも、何よ」
 ソンランはひるむ。シワンもジョンシムに言い返せない。
 ドアが鳴った。クムスンが戻ってきた。
「あなたもここに座って」
 クムスンはジョンシムの横に腰をおろした。
「フィソンにあの人をパパと呼ばせてるの?」
「いいえ、そんなことは・・・」
「なら、なぜパパと呼んだの? それで私も驚きました」
「父親が恋しかったんですよ」とソンラン。「まだ子供ですからきっと」
「・・・今後はフィソンに会わせないで。あなたも心の準備を」 
「お義母さん・・・どういうことですか?」
「辛いだろうが、俺たちに従いなさい。お前とフィソンのためだ」
「お義父さま・・・どうしてですか? 違いますよね? 私に怒ってるだけですよね?」
 ジョンシムはフィソンを見た。
[何度も同じ事を言わせないで――怒ってなんかいないわ。怒る理由がないわ。そうでしょ? 後家の嫁が再婚するの。あなたはまだ若いし」
「・・・」
「そりゃそうさ。怒ってないよ」
「・・・」
「もちろん――残念ではあるさ。寂しくなるしな。俺だけでなく母さんやシワンたちも――寂しいのは同じだよ。お前がいなくなると思うと・・・」
「・・・」
「でも怒り紛れの言葉じゃない。フィソンは――ジョンワンの唯一の血縁で息子の分身なんだ。手放すなんて想像もできない」
「お義父さま・・・」クムスンは悲痛な声になった。
「クムスン――意地を張らずにきちんと考えてみなさい。あなたとフィソンにはこれが最善なの」
「お義母さん――母親と離れるのがいいと言うのですか?」
「じゃあ、継父と暮らすのがいいとでも?」
「・・・」
「あなたは出産もするはずよ。だから身軽になって嫁に行きなさい。なぜ連れてって問題を起こそうとするの? 連れて行けばあなたも気を遣うし心は休まらない。あなただけの方がいいに決まってる」
「それは違います」
「何が違うのよ。人の気持ちは同じよ。他人の子は他人よ」
「お義母さん――彼はフィソンをかわいがってます。彼は絶対に嘘をつけない人なんです・・・」
「今はあなたを好きだし、フィソンはかわいい年頃だわ。当然にそう思うはずよ。でも人の気持ちは同じよ。再婚して子供ができたら変わるのよ」
「その通りだ」とピルト。「自分の子が出来れば、当然、変わるさ。誰でもそうなるよ。お前には自分の子でも、彼にとってフィソンは他人の子だ。それは仕方ないんだ」
 クムスンは黙った。
 しかし、シワンもテワンもソンランもクムスンのやりきれない気持ちを感じ取っていた。
「だから――言うとおりにしなさい。俺たちがきちんと育てるから」
「お義父さま・・・」
 義父母の理解を得られない・・・クムスンの無念の思いはさらに強まるばかりだった。
 クムスンは部屋に戻った。頭がどうにかなりそうだった。すぐに二人の部屋に向かった。戸を叩いた。返事を聞かず部屋に入った。
 立ったまま切り出した。
「お義母さん・・・」
「何なの――同じことを言ってもムダよ」
「いいえ。フィソンを連れて行きます」
「私が一緒に寝るわ」
「お義母さん」
「フィソンと別れる準備をしないといけないでしょ」
「いいえ。フィソンは私が連れていきます。なぜ別れるんですか? 私がフィソンの母親です」
「あなたのために言ってるの」
「それに私は、まだ嫁ですよ」
 ジョンシムはため息をついた。
「分かったわ。一緒に寝なさい」
 クムスンは寝ているフィソンを抱き起こした。強く抱きしめた。
 二人に挨拶し、フィソンを抱いて部屋に戻った。
 ジョンシムも一緒に部屋に行き、フィソンの布団を敷いた。二人で掛け布団をかけてやった。
 部屋を出ていくジョンシムをクムスンは呼び止める。ジョンシムは振り返って言った。
「今日は何も考えずに寝なさい」

 シャワーを浴びて戻ってきたシワンの髪をソンランが拭きだす。
「おい、どうしたんだ? 珍しいな」
「当然のことよ。誰でも嫌がる他人の子を、1年間育ててくれるんだもの」
 鏡の中を見てシワンは言った。
「トゲのある言い方だな」
「違うわ。これは本心よ。本当に感謝してるわ――私たちの家族計画だけど・・・ウジュが当分、慣れるまで様子を見て――半年ほど経ってウジュが生活に慣れたら、子供はその時つくりましょう」
 シワンは頷く。
「ああ、わかった。それが1番いいだろう」
「ありがとう――それはそうだけど、クムスンさんの問題はどう思う?」
 シワンはため息をつく。
「難しい問題だ。俺もフィソンがいないのは寂しい」
 ソンランはシワンから離れた。ベッドの縁に腰をおろした。
「そういう問題じゃないでしょ。母親と離してしまうなんてありえない」
 シワンは振り返る。
「だけど父さんたちの気持ちもあるだろ」
「そうだけど、お義父さまたちはしょせん祖父母に過ぎないわ。母親にはなれない。フィソンの年頃は母親が必要よ」
「・・・」
「彼女のためにもよ。子供を置いて再婚ができると?」
「お前も置いてきただろ」
「・・・」
 ソンランは枕を手にしシワンを叩き始める。
「ひどい人! ひどい人! 何て人なの!」
「おい、よせ。やめろ。誤解せず話を聞け」
 二人は枕を握り合う。
「最低の人ね。分別をつけなさいよ」
「俺の話を聞けって。お前も仕方なく置いてきたんだろ?」
「・・・」
「婚家がウジュを離さず置いてきたんじゃないのか? それが現実なんだ。うちの両親も同じだ。ああするしかないのさ」
「私の場合は、じつの父親が育てると言ったからよ。義父母だけなら、絶対に連れてきた。法的手段を取ってでもね」

 
 ジェヒは部屋で辛い思案に暮れた。
 キッチンに行って、流しのところでポットのふたを開けようとしていたら、ミジャがやってきた。
「よこしなさい」
「湯を沸かし・・・手が痛くて温めようと」
「ひどく痛むの?」
「少し・・・早く沸かして」
「分かったわ。部屋にいて」
 ミジャはお湯を沸かし、部屋に運んだ。洗面器にお湯を張ってやった。
「ちょうどいい。もういいよ」
「いいの。早く手を浸けて。私がマッサージしてあげるから」
「自分でするよ。出てって」
「浸けなさい」
「嫌だよ。見せたくない」
「私は母親でしょ?」
「出ていってくれ。見たらショックを受けるよ」
「それでもいいから早く」
「嫌だ。出ていってよ」
「ジェヒ!」
「母さんの答えは?」
「俺を産んで後悔してる? 答えてよ」
「温めなさい」
 ミジャは部屋を出ていった。
 ジェヒは目の前の携帯を握ろうとしてみた。しかし、携帯を持ち上げる握力は指に伝わらない。携帯は机上から離れることもできなかった。
 ジェヒの失意は深かった。

 
 テワンは夜中に車を走らせた。韓江のほとりへやってきた。
 河面に向かって大きな声で叫んだ。
「ジョンワンーッ! お前の女房をもう忘れろ! 息子も、俺が送り出せと言ってやる。お前は何も言うなよ。お前が悪いヤツなんだ。女房を残して先立ったお前が最低の裏切り者だ。最低なヤツだ」


「連絡がないということは何かあったんだ」
 ジョムスンはクムスンのことが心配でならない。 
「今日は様子を見に行かないと・・・悪いことはない。嫁ぎ先でも孫に会って当然だ――まったく、電話くらいくれればいいのに」
 そこにサンドがクマに朝食を準備させようと呼びにやってきた。
 高齢出産に加え、高血圧、高度肥満もあるから日々の生活には十分注意するよう医者から言われたらしい。
 クマはジョムスンに手伝ってもらって朝食作りを始めた。
 その間、サンドはうまいものをスンジャに食べさせてアツアツムードだ。
 クマとジョムスンは呆れながら朝食作りに励む。
 電話が鳴った。スンジャが出る。サンドが受話器をジョムスンの元に運んだ。
 電話はヨンオクからだった。二人は街で会った。
「朝早くからすみません。お義母さんに至急、相談がありまして」
「話して。クムスンのことね」
「婚家にジェヒとの結婚話をしたそうなんです」
「・・・どこで、それを?」
「昨日、クムスンに会いました」
「会ったの? それで話したと? クムスンはどうなの? 元気なの」
「ひどく傷ついているようです。義父母が怒ってしまったようです」
「どうして怒るの? 怒ること? 浮気したわけじゃなし」
「・・・」
「まだ若いし相手がいるんだ。快く送ってやるべきだろ。怒ることないだろ」
「・・・」
「ところで若い先生とももう会ったの? 名前で呼んでるようだし」
「ジェヒは以前からの知り合いです。夫の弟子で10数年前から・・・」
「そうか」
「それでですが・・・クムスンが婚家から出るべきだと思うんです」
 ジョムスンは頷く。
「ジェヒの母親も強く反対し、すぐに結婚するのは難しいかと・・・とは言っても――他の男性と交際をしていながら、嫁ぎ先で一緒に暮らすのは互いに気を遣うでしょう」
「それはそうよね」
「それでアパートを借りてはと思うのですが、お義母さんにうかがってからと・・・どうでしょうか?」
「そりゃ・・・でもアパートはけっこうな費用が必要だろう?」
「そのくらいは工面できそうです。ではそうしましょうか?」
 ジョムスンは頷く。
「そうしなさい」
「ありがとうございます、お義母さん。なるべく早く探してみます。早くクムスンを出してやらないと」
「そうね――よかったよ。これでクムスンも安心だ。ありがとう」
 ジョムスンは店を出てからつぶやいた。
「お金もいいもんだ。そうだよ。3年もあの子が苦労してるのを見ながら、何も助けてやれなかった・・・」
 ウンジュが応接間に出てきて訊ねた。
「病院には?」
「お前こそ仕事は?」
 ウンジュはソファに腰をおろした。
「私、美容室を辞めたの。出発の準備をしないと」
「出発?」
「行かないと――ジェヒさんの怪我で延期していたけど・・・もう行かないと。航空券の手配もするわ。来週の初め頃には」
「ウンジュ」
「だけど父さん――なぜ出勤しないの?」
「ちょっと用があってな。本当に行くのか?」
「はい」


 クムスンはフィソンと歌をうたいながら幼稚園に向かった。
 先生がフィソンを迎える。
「元気に遊んでくるのよ」
 クムスンはフィソンに手を振る。帰路につく。
 その通りにジェヒはタクシーで乗り付けた。
 帰ってくるクムスンに呼びかける。
「白菜」
 クムスンは歩み寄ってくる。
「よく眠れたか?」
 彼女の表情は暗い。
「どうしたの?」
「少しは笑えよ」
「笑える状況じゃないわ。今、フィソンを送ってきたの」
「そうだな。笑えないよな。いい考えがある」
 クムスンは顔を上げる。
「義父母が――フィソンを手放さないのはいい父親になれるか、俺への不安や疑心だと思う」
「・・・」
「だからその点を安心してもらえばいい。だろ?」
「・・・」
「行こう。夜通し考えて決心したんだ」





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