若い頃、プレイガールで鳴らした女と結婚した男。
十数年後、一人娘が自分の子でないという情報を知人から与えられ、激怒して家に帰ってきた。
早速、妻を責め立てたが、ラチがあかない。 そのうち、日頃のストレスもあって、つまらぬ噂に乗せられたのだろう、ということに落ち着いた。
妻から、そんなの根も葉もないことよ、と泣かれて抗議されれば、そっちを取りたくなるというものだ。
「分かった分かった。お前のいうことを信じるからもう泣くな」
それで一件落着となるところだったが、これに不満だったのが一人娘だ。
いつのまにか、ドアの陰に来て、話の一部始終を聞いていたのである。
彼女は二人の前にしゃしゃり出た。
「その辺のところ、きちんとしてもらわないと困るんだわさ。これから、あたしも複雑な時期にさしかかるからさ。ママ、頼むからもう少し正直になってみてよ。いろいろ参考にしたいんだ。あたしも、一人じゃなく、二人から問いつめられて、今、本当に悩んでいるんだから」
