
ファンタスティック・カップル 第9話(2)
バスに乗って帰路に着いた二人は後部席で離れて座った。チョルスはアンナの記憶がどのへんまで戻っているのか気になって仕方がない。
ちらちらと彼女の様子をうかがう。
アンナはそれに気付く。チョルスは目を避ける。
「何よ。私のドキドキが移ったの?」
「・・・」
「もう遅いわ。今はあんたが嫌いよ」
バスは自宅近くのバス停に止まる。
アンナは寝ている。
「ドキドキしてるくせによく寝るな。起きろよ」
チョルスの声にアンナは寝ぼけたように眼を開く。
「着いたぞ。行こう」
チョルスはさっさと立ち上がってバスを降りる。降りてからアンナを振り返ると彼女は降りてこない。
「あいつ、降りて来もせず何やってるんだ」
アンナを見るとまた寝始めている。苦笑した。
「すっかり熟睡だ・・・」
チョルスは考えた。
「このまま乗せておけば、俺の人生から出ていくかな・・・」
アンナは座席の隅にもたれこんだまま動かない。
「終点がお前の家だといいのにな・・・」
チョルスはバスの窓を叩いた。
「サンシル、起きろ」
アンナは目を開けた。辺りをうかがい、びっくりしてバスを降りてきた。
バスが走り去った後、アンナは怒り出す。
「どうしてすぐに起こさないのよ」
チョルスは口を曲げて応じる。
「熟睡してる方が悪いよ」
「あんた・・・嫌いだと言ったから怒ってるの?」
チョルスは呆れた。
「私に優しくしないからよ。記憶がないのをいいことにさんざんこき使ってきたでしょ。当然よ」
「ああ、俺が悪かった」
「分かればいいわ。だから、これからは優しくして」
今度はアンナが先に立って家に向かう。
チョルスはため息をつく。
部屋のベッドに落ち着き横になったチョルスはどうしたものかと思案した。
「困った・・・今更、恋人じゃなかったとは言えないし、どうしたものかな・・・」
身体を横にした。
「いっそ、みんな話してしまおうか・・・?」
チョルスは起き上がって部屋を出た。寝ているアンナのそばに歩み寄った。
彼女の寝顔をしげしげと見る。
「また熟睡か・・・記憶が戻ったと思って安心したのかな・・・」
「出ていって」
アンナは寝言をいう。
「変えて・・・!」
チョルスは彼女を見つめおろす。
「追い出せないよな・・・きっと俺を好きだと思い込んでるだけさ・・・」
チョルスはそのままアンナのそばを離れた。
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