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雨の記号(rain symbol)

韓国ドラマ「朱蒙」第28話


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「朝鮮流民を受け入れる? なんてことを・・・陛下は国をほろぼすつもりなのか。ヨミウル神女のいうとおりになってきた・・・」
 王妃はあきれ果てたようなひきつった笑みを浮かべた。
 王妃は神女たちを集めた。
「あなたから陛下に朝鮮流民をうけいれないよう申しあげてください」
 マウリョン神女は金蛙王に面会した。天地神明の意として朝鮮流民を受け入れないよう進言するが金蛙王は受け付けない。
 それどころかマウリョン神女を睨みつけて言った。
「マウリョン神女」
「はい」
「ヨミウル神女をどうして追い出したかわかるか。おまえのように逆らったからだ。ここを追い出されたくなかったら大人しくしてなさい」


 モパルモはついに鋼鉄剣を完成させる。剣の完成で意を強くした朱蒙は漢四郡に拘束され、厳しい労役に就かされている朝鮮流民を救おうと決意し、その気持ちを金蛙王にぶつけるのだった。
「重要な話があります」
「何の話だ」
「真蕃郡と臨屯郡に関する資料をまとめたものです」
 金蛙王は木簡を開いて見た。
「私にこの内容を報告する理由は何だ?」
「私に兵力を出してください。真蕃郡と臨屯郡を攻撃して古朝鮮の流民を救ってきます!」
 朱蒙は決然と金蛙王を見つめ返した。
(第27話より)


 ユファ夫人も朱蒙に訊ねた。
「真蕃郡と臨屯郡を相手に戦をするつもりなの」
「今が好機です。戦に勝てば、古朝鮮の流民を救えるのはもちろん、王妃様とテソ兄上に傾いている権力の主導権を私が握ることができます」
 ユファ夫人はため息をついた。
「あなたの気持ちはわかりますが、陛下はお悩みになるでしょう。多くの反対に直面するでしょうから」
「もちろん、そうでしょう。しかし、陛下は長い間、流民の苦痛を放置したことについて、罪の意識を大きく感じておられます。だから、諸臣下の反対にもかかわらず、ヒョント群を脱出した流民らを受けいれるとおっしゃったのです。勝てる戦を目の前にして回避する陛下なら従えません」
「朱蒙・・・」
「お母さん・・・陛下は母上と私の面倒を見てくれましたが、お父さんが夢見た大業に反対するなら私は陛下に従えません。母上と一緒に夫余を離れます」


 オイらは帯素やヨンポの動きを探った。
「お呼びですか」
「どうだ。テソ兄上らの動きに異常はなかったか?」
「昨日は四出道の馬加を訪ねました。最近、大使者との会合が多いです」
「ヨンポ王子様は今、トチに会っています」
「・・・」
「総官、この機会にトチを始末してはどうですか。裏取引から殺人までやるのは誰より俺たちがよく知っています。あいつのせいで、今まで王子様が苦労したことを考えれば、今すぐ始末した方が賢明でしょう」
「ヨンポ兄上との関係がある以上、始末すると言っても今は無理だ。今、ヨンポ兄上は私と手を組んでテソ兄上を牽制しようとしている」
「総官を殺そうとしたヨンポ王子様の話を信じるのですか」
「信じる。ヨンポ兄上ならあり得る。私はヨンポ兄上の提案を受け入れるつもりだ」
 マリらは朱蒙の言葉に怪訝そうにした。
 朱蒙は言った。
「大意を外れず、意が通っていくなら仇とでも手を握りたいのが今の私の心境だ」

 モパルモは完成させた鋼鉄剣をヨンタバルに見せた。ヨンタバルはしげしげその剣を眺めた。
「テソ王子が開発した剣と比べてどうですか」
「対等かそれ以上でしょう」
「ならば、ハンナラの鋼鉄剣には劣るということですか」
 サヨンの言葉にモパルモが答えた。
「炒鋼法の手がかりが見つかったのでまもなく追いつけるでしょう」
「核心は何ですか」
「黄土です。生鉄を溶かして熟鉄を作る時の黄土の量が要でした。私は数十年間、この道ひとすじでやってきた男です。鉄に関することなら知らないことはありません。手がかりが見つかった以上、夫余の鉄器工房に来ている職人を追い越すのは時間の問題です。待っていてください。ハンナラの鋼鉄剣に劣らない。いや、ハンナラの剣より優れた剣を作って見せます」
 朱蒙は頼もしそうにモパルモを見つめた。


 二人で表に出てきた時、召西奴は朱蒙に訊ねた。
「真蕃郡と臨屯郡を攻撃することについて陛下は何と言っているんです」
「簡単に決定できる事案ではありませんが、私の意見が通るでしょう」
 朱蒙の自信満々の言葉に対し、召西奴は笑みを浮かべた。
「どうして笑うんです?」
「すっかり変わられたなと思って・・・目つきも自分の目標に対する自信も、身体にみなぎっています」
 朱蒙は嬉しそうにした。
「あっ、そうだ」
 召西奴は言った。
「面白い話をしてあげましょうか」
「・・・」
「テソ王子がヒョント城に頻繁に行った理由を知りたがっていたでしょう?」
「何かわかったんですか」
「はい。今、夫余の鉄器工房に来ている職人たちですけど・・・テソ王子はハンナラの鉄器工房の労役から脱出した流民だと言っていましたが、それは偽りかもしれません」
 朱蒙はいぶかしげな表情をした。 
「テソ王子がヤンジョンと取引したのです」
「・・・」
「その取引の条件がテソ王子とヤンジョンの娘の婚姻だそうです」
「ふ~む・・・」
「テソ王子の執念がこわくありませんか・・・その職人たちに気をつけてください。彼らは正体不明です」

 帯素は鉄器工房に顔を出した。
 ヒョント城から連れてきた職人の仕事ぶりを見るためだ。
「挨拶しろ。帯素王子様だ」
 顔ぶれは増えていた。
「誰だ?」
「ヒョント城から来たばかりの私たちを手伝いにきた職人たちです」
 鋼鉄剣が完成し、その強さを確認している帯素は満足そうに頷いた。
「夫余の武器をお前たちの開発した鋼鉄剣に切り替えるため、生産に拍車をかけてくれ」
「わかりました、王子様」
「じゃあ、精を出してくれ」
 帯素がそう言って戻った後、応援でやって来た一人が小さな声で言った。
「もう少し、生産の速度を落せとのご命令です」
「わかった。他には?」
「俺たちが夫余宮内に出入りできるように願いたいです」
「心配するな。テソ王子は俺たちを信じている。どこへでも行けるさ。ふっふ」

 ヨンタバルはモパルモの作った剣をしげしげ眺めていた。
「満足した?」
 召西奴がやってきて訊ねた。
「大満足だ。小規模だが、ゲルの鉄器工房でこんなに立派な剣が作れるなんて・・・はっははは・・・これで我がゲル部が卒本国を完全に掌握することができる。ピリュ首長のソンヤンが知ったら、ゲルを見くびることはできまい」
「・・・お父さん」
 召西奴は切り出した。
「朱蒙王子が真蕃郡と臨屯郡に対する情報を求めた理由をご存知ですか?」
「・・・」
 ヨンタバルは召西奴を見た。
「朱蒙王子は真蕃郡と臨屯郡と戦をするつもりです。すでにクムワ王には報告済みだそうです」
「戦?」
「はい・・・クムワ王の決定はまだですが、もし戦が決まったら、私に商団を率いて軍商として出向かせてください」
 ヨンタバルは躊躇の表情をした。
「・・・その戦の意味を知っているのか? ハンナラは西南夷族との戦が終わればその兵力を夫余に差し向けてくるだろう。そうすると真蕃郡と臨屯郡との戦ではなく、ハンナラとの全面戦争になる可能性もある」
「・・・よくおっしゃいましたよね。大きな危険の中で大きな利益が上げられると・・・戦中に軍商になることこそ、もっとも大きな利益になると・・・」
「それはそうだが、それは勝つという確信があってこそだ」
「勝てます。西南夷族との戦を終えたハンナラ軍が夫余に到着する前に真蕃郡と臨屯郡を掌握することができます」
「・・・」
「真蕃郡と臨屯郡は太守が赴任してない場合も多く、移住してきた民もハンナラに戻っているのが現状です。ヒョント群ほと勢力が強くありません」
 じっと聞いていたサヨンが口をはさんだ。
「我がゲルは夫余だけでなくハンナラとの関係も維持すべきです。夫余の味方になって軍商になる場合、ハンナラとは敵国になるでしょう」 
「これまで卒本は強大国との狭間でやっとの思いで部族を守ってきた。しかし、いつまでもこのままでは生きられない。ゲルの未来をかけられる国を選ばなければならないのです」


「鉄器工房にやってきた職人たちは正体不明です・・・」
 宮に戻った朱蒙は召西奴の言った言葉が気にかかっていた。
 朱蒙は鉄器工房に出向いて職人たちに会ってみた。
 後ろに居並ぶ職人たちを見て朱蒙は言った。
「この者たちも流民出身の職人たちか」
 ちょっとためらいを見せ頭目は頷いた。
「わかった。仕事を続けろ」

 朱蒙はマリたちを呼んで言った。
「鉄器工房に職人が増えた。監視をしろ」
 マリが言った。
「いくら監視をしても技術を盗むことはできませんが・・・」
「監視の理由は技術のためじゃない。連中は変な行動を起こす可能性があるからだ」
「変な行動ですか?」
「うむ。あの者たちはヒョント城を脱出した流民ではなさそうだ」
「では?」
「テソ兄上とヤンジョンの取引によってヤンジョンが送り込んできた手の者に違いない」


 金蛙王が流民を受け入れると宣言したことに王妃は対策をめぐらしていた。マウリョン神女と帯素と宮廷使者を集め、王妃は言った。
「馬加の叔父上から書簡が届きました。陛下が流民を受け入れても、四出道では流民を収容しないと陛下に上訴するそうです」
「それはよかったです。そしたら諸臣下も陛下の決断を撤回させる力が得られます」
「絶対、撤回させなければなりません。神女たちはどんな手を?」
「ユソンとヒョンム神女が四出道に行って、民心に働きかけています」
「この前、災いの兆しに対して責任を負う人が必要だといいましたね」
「はい」
「神女たちに伝えてください。その兆しは神宮を蹂躙した陛下の独善のためだと・・・陛下の独善こそ、夫余を滅ぼす兆しだと民たちに広めていくのです」
 宮廷使者とマウリョンは驚きを見せた。
 帯素も動揺しながら言った。
「母上・・・そこまでしなければいけませんか・・・?」
「テソよ。私とあなたはずっと陛下の決断を待ち焦がれてきたが、いつも返ってきたのは侮辱と恥辱だけだった。あなたはくやしくないのですか」
「・・・」
「今こそ絶好の機会です。・・・あなたが太子になれば四出道はもちろん神宮と民心まで得ることができるのです」

 王妃のところにヨンポが訪ねてきた。しかし、ヨンポは門前払いを食った。
「今は大事なお話中なので中には入れません」
「私でもか」
「はい」
「中にいるのは誰だ」
 召使はいやいや答えた。
 ヨンポは苛立って引き返した。

 ユファ夫人は金蛙王と会った。
 勝てるかどうか・・・戦うべきか戦わざるべきか・・・金蛙王は迷っていることをユファ夫人に伝えた。
「戦って勝利を勝取るべきだと思います」
 ユファ夫人は朱蒙の考えの後押しをした。
「流民を救うこともひとつですが、陛下にとってもうひとつ戦に出なければならない大きな理由があります」
「・・・」
「陛下の足もとをおびやかす宮内外の勢力に威厳を示すためです」
「王妃や四出道、神宮のことか」
「そうです。表向けはハンナラとの関係の悪化を恐れ、流民の受け入れを拒んでいますが、本音は陛下の志を曲げ、陛下の権威を地に落そうとする野心が感じられます」
「・・・」
「陛下が戦をし、勝利すれば古朝鮮の流民を救い出すと同時に、陛下の権力を見くびる連中をねじ伏せることにもつながってくるでしょう」

 朱蒙は金蛙王に四出道の情勢を伝えた。
 四出道の勢力は馬加のもとに結束を固め、陛下の悪い噂も広げているとの報告だった。それが王妃の意を受けたものであるのは想像できるところだった。

 朱蒙はヨンポを食事に招いた。
 王妃や帯素らから軽んじられ、面白くないヨンポにとっては嬉しい招待だった。
 朱蒙から酒を振舞われ、こんなうまい酒は飲んだことがない、とヨンポはご機嫌になった。
 ヨンポの心境が読めている朱蒙は心にもないことを言った。
「太子競合で、さぞお疲れでしょう。酒でも飲んで元気を出してください」
 さらに酒をそそごうとすると、ヨンポは現状の不満を表情に出した。
「どうしたのですか?」
「太子競合の話はするな。酒がまずくなる」
「テソ兄上が大手柄を立てたので手ごわいですが、兄上がもっと大きな手柄を立てればいいのです」
「もっと大きい手柄だと」ヨンポは目をぎらつかせた。「鋼鉄剣の開発より大きな手柄なんてあるのか?」
「もちろん、あります」
「それは何だ。言ってみろ」
「陛下が鋼鉄剣を開発しようとする根本的な理由は何ですか?」
「それは・・・ハンナラの脅威に対抗するためだろう」
「そうです。夫余に面しているハンナラ四郡が制圧できれば、鋼鉄剣を開発するよりもっと大きい手柄になるはずです」
 ヨンポは身を乗り出した。
「戦をしろというのか」
「その通りです」
「戦で手柄を立てない限り、テソ兄上に勝つことはできません」


 朱蒙はハンナラ鉄騎軍を想定した実戦形式の訓練を開始した。そのお手本を朱蒙自らがやって見せた。

 ヤンジョンの娘ソルランが漢と夫余の交易拡大の使臣として夫余にやってきた。
 帯素はそのことをいぶかった。
 朱蒙は召西奴から聞かされたことを思い出した。
「帯素王子がヤンジョンの協力を受ける条件はヤンジョンの娘との婚姻だそうです・・・」
 帯素、朱蒙二人とも心境は複雑だった。

 帯素がソルランを宮内の案内をしている時、ヨンタバルの一行が姿を見せた。
 そこで召西奴とソルランは顔を合わせた。
 
 召西奴に弁解するため、帯素はヨンタバル一行の帰りを待っていた。召西奴と話をするためである。
 いろいろいい条件を出して召西奴の心を自分に向けようとするが、彼女は冷ややかな笑みを浮かべ、話を切り返した。
「王子様。・・・ヒョント城に滞在中の商団から面白い話を耳にしました」
「・・・」
「今、ヒョント城では変な噂が立っているそうですね」
「・・・」
「テソ王子様とヤンジョン太守の娘、ヤンソルランがまもなく婚姻するらしいと」
 帯素は下を向いた。
「面白いでしょう」
「それはどういうことだ。おそらく、私のことをよく思わない人たちのでっち上げに違いない。そんな噂など気にするな」
「いいえ。さっき見たら、お二人、お似合いでしたよ。あの方とご結婚なさるのがよろしいかと思います」
 そう言って、召西奴は帯素のもとを去った。

 オイは鉄器工房にやってきた職人の監視を続けていた。
 その結果、動きが出た。漢の使臣としてソルランに付き従ってきたヤンジョンの腹心が彼らと接触する現場を見ることになった。
「夫余の王室の様子はどうだ」
「夫余王と王妃の勢力が真っ二つに分かれています。先日の連絡のとおり、王妃は四出道と諸加らと力を合わせ、流民を受け入れないよう夫余王を圧迫しています」
「それは好都合だ。で、鉄器工房はどうだ?」

 マリらは職人らの密会の様子を朱蒙に仔細に報告した。 
 朱蒙は彼らをしばらく泳がしておくつもりのようである。
「やつらはテソ王子の弱味になる可能性がある。逆用できる時もあるかもしれない」

 臣下を集めて金蛙王は戦の宣言をした。
「古朝鮮の流民を救い出すため、真蕃郡と臨屯郡を攻撃する」
 宮廷使者が異論を出した。
「陛下。とんでもないことです。真蕃郡と臨屯郡を攻撃するのは・・・。先日、ハンナラは友好関係のため使臣まで送ってきたではありませんか」
「陛下」
 帯素も続いた。
「真蕃郡と臨屯郡だけでも無理なのに、ハンナラの援軍まできたらどうしますか」
 大使者が間に入って言った。
「陛下が決断を下したのならそれなりの理由があってのことでしょう。おっしゃってください」
 金蛙王は護衛総官の説明を求めた。
「諸臣下に真蕃郡と臨屯郡を攻撃すべき理由を説明しろ」
 朱蒙は臣下の前に進み出た。
「まず、真蕃郡と臨屯郡は漢四郡の設置当時に比べ、勢力が非常に弱まっています。太守が赴任しないので現在も太守は空席。ハンナラから移住してきた民も次々に本国に戻っているので、兵力も過去の半分にも至りません。今、攻撃しないと好機を失うことになります」
「ハンナラの援軍はどうするのか」
「ハンナラは今、西南夷族と戦のさなかです。夫余が臨屯と真蕃を攻撃しても、援軍を送る余力がありません。たとえ、派兵したとしても援軍が到着する前に、夫余が真蕃郡と臨屯郡を掌握できるでしょう」
 大使者が口をはさんだ。
「真蕃と臨屯の勢力が弱まったとはいえ、ハンナラの鉄騎軍の威力はいまだ最強です。どうやって倒すつもりですか」
 朱蒙は自信と余裕の笑みを見せた。
「戦は武器だけで戦うものではありません。過去、陛下とヘモス将軍が率いたタムル軍は鉄騎軍に太刀打ちできない武器でも多くの流民を救い出しました。それは命がけで国を守り、流民を救い出そうとしたタムル軍の意志があってこそ可能なことでした。そしてテソ兄上の手柄で手に入れた鋼鉄剣で戦えば、負けるはずがありません」
「護衛総官の言うとおりです!」
 ヨンポが叫んだ。
「陛下。私に先鋒将を任せてください。先頭に立って、鉄騎軍の首を切ってやります」
「大将軍」
 金蛙王は言った。
「今すぐ、すべての軍事編成を戦時編成に変えろ」

 夫余が真蕃郡と臨屯群に戦をしかけると知った鉄器工房の間者たちは、ヒョント城に伝令を走らせた。
 帯素も書簡を送った。

 ――戦は自分が防ぐので心配しないでほしい。

 ヨミウルのもとにソリョンとピョリハが到着した。
 ソリョンは言った。
「jピョリハが、夫余の太陽をさえぎった三足鳥は朱蒙王子のことで、朱蒙王子は夫余を離れないと死ぬ運命にあるそうです」
 ヨミウルは同調するように言った。
「ピョリハ」
「はい」
「三足鳥は朱蒙王子に違いない。もう三足鳥は不吉な鳥ではない。私たちが仕える吉鳥なのだ」

 ヨンタバル一行はゲルに戻ってきた。
 ウテは元気を取り戻していた。
 夫余がハンナラとの戦を決定したと聞いてヨミウルは驚いた。
「予想外のことです」
「戦を陛下に推進したのは朱蒙王子です」
「それは本当ですか」
「はい。王子は真蕃と臨屯を攻撃して、古朝鮮の流民を救い出すと言いました」
 ヨンタバルは言った。
「ヨミウル様に会いにきたのは重要な相談があるためです」
「・・・」
 召西奴も言った。
「私はこの戦に商団を率いて軍商として参戦するつもりです」
「・・・」
「軍商として参戦してもいいか。ヨミウル様に判断を願いたいのです」
「・・・」

 
 金蛙王は言った。
「わしはこの戦いを短期間で終えるつもりだ・・・財部早衣、軍備の状況は?」
「五万人の兵士がひと月食べられる食料と馬にやる馬草は備蓄しています。ですが、ひと月以内に戦を終えることができますか? 長期の軍備は不足しております」
「大将軍。真蕃軍と臨屯郡の軍勢は把握したのか」
「真蕃郡と臨屯郡の兵士は全部で二万人。夫余は精鋭兵が二万人で、四出道から兵士を選抜し合わせて五万人になるので、十分に真蕃郡と臨屯郡を攻略できると思います」
 大使者が言った。
「しかし、全兵力を率いて参戦することはできません。周辺国の侵入にそなえ、中央精鋭兵の半分は残すべきです。したがって、ハンナラの鉄騎軍と戦うには十分とは言えません」
 これを聞いて、金蛙王は言った。
「四出道に派遣した犬使者に伝令を送り、精鋭兵二万人を派兵しろと伝えよ」
「大使者」
 朱蒙は言った。
「ハンナラの鉄騎軍は陛下の護衛部隊が先頭で制圧するので心配しないでいい
「・・・」
「私は鉄騎軍を制圧するために先鋒部隊として訓練してきました。陛下と諸臣下に護衛部隊の威力を直接お見せします」
 金蛙王と諸臣下を招き、朱蒙率いる護衛部隊は鉄騎軍攻略に向けて訓練の成果を見せた。金蛙王は目を細め、諸臣下らは目を丸くした。

 マウリョン神女は王妃の強い意を受け、再び王に接見を申し入れた。金蛙王は会おうとしない。朱蒙が陛下の意を告げた。マウリョン神女はすごすご引き揚げていった。

 四出道の馬加がやってきて王妃らと会っていた。陛下に先に会うのが道理。それを破ってだった。王妃らの話を聞いて、馬加は陛下に圧力をかける気持ちを強めた。

 召西奴が宮に現れた。
「お嬢様。こんなところへどうして・・・?」
「ちっとも外に出てこないから、私が会いにくるしかないでしょう」
 朱蒙は照れ臭そうにした。
「陛下が戦を決めてから、宮内の状況が緊迫していて・・・ごめん」
 召西奴は声を出して笑った。
「王子様の事情はわかっています。ちょっと言ってみただけです。もう、真に受けちゃって」
「はっはは・・・」
「準備はうまくいってますか」
「諸臣下と四出道の諸加の反発が予想以上に激しいです」
「・・・すべて王子様の思うとおりになるでしょう。あまりやきもきしないでください」
「・・・」
「私が王子様の力になります」
「・・・」
「戦が始まったら商団を率いて軍商として行きます」
 朱蒙は顔色を変えた。
「それはいけません。召西奴さんを戦場には行かせられません」
「私が戦うのではありません。私は物資だけ運搬するので危険なことはありません」
「・・・」
「王子様だけ戦場に行かせて、ただ待っているわけにはいきません」
「・・・」
「私が軍商として行くのは、王子様のためではありますが、私のためでもあります。待ち焦がれて死んでしまうかもしれませんから」
「お嬢様・・・」
 そう言って召西奴を抱きしめる朱蒙だった。

 それを見かけて、悔しさいっぱいでそこを立ち去る帯素。

 宮まで訪ねてきた召西奴を思い、馥郁と思い出し笑いする朱蒙。
 召西奴もまた満たされた思いで夜道を帰路につく。

 馬加のもとに金蛙王の伝令が届いた。命令を聞き入れようとしない馬加に犬使者は「ハンナラの犬になるつもりか」と非難する。
 王妃の後ろ盾でもある馬加は腹を立てた。犬使者の首を取り夫余へ送った。

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