雨の記号(rain symbol)

藤井聡太竜王 VS 広瀬章人八段







藤井聡太竜王 VS 広瀬章人八段


第35期竜王戦第3局から



 戦評を語る人もほとんどそう言っているが、藤井竜王の強さはやっぱりケタ外れのようだ。
 第2局の逆転勝ちもそうだった。最近の藤井竜王は前半で不利な戦いを強いられているのが現状と感じられる。


 5冠を所持している藤井竜王には当然ながら、5冠を守るタイトル戦と他のタイトルを取りにいく大事な対局ばかりが続く。
 どの棋士にとっても大事な対局ばかりではないか、との声も聞こえて来そうである。
 だが、他のタイトルを取りにいく藤井竜王の対局はシードから始まるので対戦相手の多くは勝ち上がって来た棋士である。藤井竜王が相手となった場合、その棋士の緊張度はどうであろうか?
 通常は強い相手でも4〜6割の勝率棋士で自分と変わらなく思える。その場合はいつも通りの対局が出来そうである。
 しかし8割以上の勝率を誇る藤井竜王が相手となると勝つ見込みはグンと下がり、ほとんどお先真っ暗の一局とならざるを得ない。
 勝ち味の乏しい相手に力将棋や乱戦でいどむわけにはいかない。
 戦略を立て”研究将棋”をぶつけて自身の庭”術中”で勝負するしかない。


 つまり、タイトル5冠を所持する藤井竜王は、こういう”特別な(楽ではない)”相手とばかり対局していることになる。


 広瀬八段が相手の竜王戦は、前、中盤において藤井竜王は不利な戦いを強いられた。
 後手番で臨んだ第一局は、広瀬八段の研究にはまり、藤井竜王はほとんどいいところを見せられずに敗れ去った印象が強かった。


 藤井竜王は他のタイトル戦でも第1局を落すケースが多かった。
 第2局ではふだんの強さが戻って来るだろうと見ていたら、またまた序盤の終わりから中盤にかけて不利な戦いになっていた。
 いや〜、今回の広瀬八段は今までと違う。”将棋の研究”だけでなく藤井竜王の”将棋スタイル”までしっかり研究して”竜王戦”に臨んで来てるとさえ思えたのである。
 後手番の第2局を落したとはいえ、第3局で先手番となった広瀬八段は
藤井竜王の攻めを抑え込む作戦で優位に立った。
 中盤で藤井竜王相手に60〜70%の優位を築ける棋士はそうそういない。
 自陣の左辺を圧迫されてこの対局も苦戦だな、と思いながら見ていたが、玉の近くにいた2一の飛車を7一に転回してから、藤井将棋は急に活き活きしだして来る。
 後手が7一に飛車の転回してくるのを広瀬八段が予期しなかったはずはあるまいが、この辺から先手の対応はわずかに乱れを見せ出した。
 広瀬八段は7筋から自陣が破られるとは思っていなかったようである。ただ、歩成りを絡めて右陣から攻め上がるには時間がかかる。この場所で相手と攻め合おうとしたのがまずい判断だったようである。
 というのも、飛車と銀取りをかける8二の角打ちが決め手のようなものとして脳内に浮かんでしまったのかもしれない。


 この手は藤井竜王にも見えていたことだろう。
 すなわち、7一への飛車の転回は、この手を含めた藤井竜王の仕掛けた巧妙なワナだったように思える。
 銀を6四に歩で呼んで8二に角を打たれた対応として、解説で登場した棋士は、後手は7三に飛車を浮く手を第一にあげていた。すなわち角と飛車を交換する。交換しないまでもそこから攻防が続く手順である。
 広瀬八段はどちらも有利になると見てその手を採用したのかもしれない。


 しかし、藤井竜王が選んだのは銀を見捨ててズバッと7五の歩を取る手順だった。
 この手が実現して見ると広瀬八段の勝ち味は恐ろしく薄くなっていた。
 それに気づいて広瀬八段はあっけに取られたことだろう。


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