韓国ドラマ「ただひとつの愛」第3話(エピソード10)
〇主な登場人物
イ・ヨンソ(シン・ヘソン)
キム・ダン(エル)
チ・ガンウ(イ・ドンゴン)
クム・ニナ(キム・ボミ)
チョン・ユミ(ウ・ヒジン)
フ(キム・イングォン)
チェ・ヨンジャ(ト・ジウォン)
クム・ルナ(キル・ウネ)
パク・グァンイル(イ・ファリョン)
キ・ジュンス(イ・ジェヨン)
他
第3話(エピソード10)
ダンはフを振り返る。
「考えてみると、だから笑ってたんだ」
しかしフは遠くを見やったままだ。
「やっぱりダメだな。荒んだ人間に愛なんて夢の夢、絶対に無理だ」
ダンは腕を組んで結論付ける。
フはすかさず口を挟んできた。
「じゃあ、ほこりになるか?」
ダンはフを睨みつける。
「何で彼女なんだよ」
ダンは苛立って訊ね返す。
「なら、なぜ彼女を助けた?」
「そ、それは…」
ダンは返答に詰まった。次の言葉は出てこない。
フは痛快な笑い声を上げた。
フはいら立っているダンの前にたった。
「最後は…”キラキラ”にならないとな〜」
「…どういうこと?」
フは黙って指を鳴らした。
次の瞬間、ダンは喪服姿に取り替えられている。
「何だ、これ? 先輩」
振り向くとフの姿は消えていた。
「先輩…」
執事を務めるチョン・ユミは、部屋に戻っていると聞いてヨンソの部屋の前に立った。
ドアは開いたままだった。
物を散らかしたその中で、ヨンソは身体を身体を丸めて寝ていた。
CDなど、散らかった物を横にのけて、ユミはヨンソのそばに腰をおろした。
熟睡状態のヨンソを手で揺らして起こしにかかる。
「お嬢様、お嬢様〜」
返事はない。
強く揺らし、大きな声で呼びかける。
「お嬢様!」
ヨンソは薄目を開ける。
しかし、そのままじっとしている。
「チョ秘書を、見送ってきました」
チョン秘書に背中を向けたまま、ヨンソは目を見開く。現実に戻る。
「そう…」
散らかった物を集めながらチョン秘書は言った。
「一晩中、こんな調子だったの?」
「そうよ…」
チョン秘書は続けて訊ねる。
「目薬はさしましたか?」
答えないでいるヨンソの上体を自分の膝上に抱え込む。上から強引に目薬をさそうとする。
「何するの?」
抵抗してヨンソは起き上がった。
「こっちのセリフです」
チョン秘書も負けていない。
「…」
ヨンソの両あごに両手を入れる。つかんで言った。
「これはチョ秘書の目ですよ。分かってる?」
「…」
「お嬢様が飢えたり寝込んだりしても、それはかまわない。だけど、チョ秘書にもらった目はだめ。チョ秘書の夢がこもってるから」
ヨンソは顔を背けた。
「勝手にくれたんでしょ」
「だったら返せば?」
そう言ってチョン秘書は立ち上がる。
部屋を出て行きかけて立ち止まる。唇を噛みしめ、振り返る。
「もうお嬢様を甘やかしてくれる人はいません」
「…」
「チョ秘書はみんなにとっても、特別な人だったんです。職員の家族まで気遣ってくれた人ですから。そんな人の目を無駄にしないでください。お願いですから」
出て行こうとするチョン秘書にヨンソは憎まれ口を叩く。
「あなたもひどい態度を取ってたでしょ」
チョン秘書の足は止まった。唇を噛んで振り返る。
その顔を見てヨンソは言った。
「仕事を任せてサボッてたし、他の職員たちも辛い仕事はおじさんにやらせてた、でしょ」
「…」
「上出来よ」
ヨンソは足元をふらつかせながら立ち上がった。
「心に響く演説だったわ」
耳元でそう言って先に部屋を出て行こうとする。
その背に向かってチョン秘書は訴えた。
「お嬢様のせいで仕事がつらかったんです」
出て行こうとしたヨンソも足を止めた。
「そうよ。そうやってバカにすればいいわ。お嬢様にふさわしい言葉だから」
ヨンソは思わず目をつぶった。それでも出て行こうとしたら、胸に苦しさを覚えた。
踏み出そうとする足元も震え、ヨンソはその場に倒れこんでしまった。
チョン秘書は慌てて駆け寄った。
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