30日から元旦の夜まで、わが家で3晩続いた大宴会のような夕食とその後の団欒で大はしゃぎしていた小2の若と、はるばる四国から一家4人でやって来た小1の妹君の2人。
最期の晩は2人きりで風呂に入り、小1時間も大はしゃぎした挙句、すっかりのぼせ気味になってほっぺを真っ赤に染めていた2人にも別れの時がやって来た。
夜も更けた11時過ぎ、若は両親と隣町に戻って行ったのだが、わが家を出る時から様子がおかしかった。
玄関の上がり框に腰かけて靴ひもを結び直している間も無言、呼びかけても知らん顔で、しかも、まったく後ろを振り返ろうとしない。
男のくせに腕に抱いてきたぬいぐるみをぎゅっと抱えたまま、玄関ドアが開くと忍者のようにスルッと抜け出し、闇の中に消えた。
中2の姫が「〇〇ちゃん、またね。バイバイ」と別れの言葉を投げかけても知らん顔だ。
いつもならニコニコ顔でハイタッチをしたり、じゃれるそぶりも見せるのだが、変な奴だ、今夜の若はどうしちまったのか…と思ったくらい。
その謎は昨日、山の神に電話してきた若の母親の証言で明らかになった。
15分ほどで家に帰りつくと、そのままベッドにもぐりこんでしまい、しくしく泣き始めたんだという。
「どうしたのか」と聞くと、「姫と妹君の2人と別れてきたのが悲しい」と嗚咽しながら途切れ途切れに答えたんだそうだ。
そうか、それで玄関先で別れを惜しむ気になれず、さっさと姿を消したって訳か。
多分、若は玄関で靴を履いている最中から悲しみで声も出せない状態になっていて、まごまごしていると涙がこぼれてきて、大好きな妹君の前で無様な姿をさらすのを良しとしなかったに違いない。
その気持ちはよく分かる。
一人っ子だから、3日間は兄弟が出来たようなもので楽しかったに違いない。それだけに、後のことを考えたら心にぽっかり穴が開く。
ボクも一人っ子だったから、いとこたちとの交流の後の別れはきついものがあった。
それは、過ごした時間が楽しければ楽しいほど、反動となって襲ってくるものなのだ。
若の身になってみれば、別れは惜しみたいが、それどころじゃなかったってことなのだ。
人前では涙は流さない…
若と言う少年は、どうやら少し成長したようではないか♪
姫の一家が帰ってしまった2日の午前中、寂しさを紛らすため、山の神と散歩に出て大仏に詣でる
昨日夕方、ポストに賀状を出しに行く途中で上って来た十三夜の月に見とれる