平方録

驚きはしないけどね

暗い空から音も立てずに雨が落ちてきている。

昨晩から天気予報は「東京の最低気温は4度、最高気温は6度! 」とか「雪になるところも」と言っていた。
最高気温の6度は北海道旭川市の予想最高気温より低く、全国最低だという。

そりゃぁ旭川が高いんだろうと思えば「そういうこともあるだろうさと」と特段驚きもしないが、寒さがようやく去りかけて暖かい日には短パンで過ごせるようになったばかりだというのに、また寒の戻りですかいとボヤキの一つも口にしたくなるというものだ。
いつまで“寒の戻りっこ”をするつもりなんだ?

起きた後、部屋の温度を確かめもしないで直ぐにガスストーブの火をつけ、温風が吹き出してから着替えをしたので寒さは何も感じていない。
ストーブの温度設定を21度にしているのだが、実際の部屋の温度は24度もあって快適である。
今日はこうやって過ごせばいいのか。

それにしたって4月も10日だぜ!
今の天皇と皇后が馬車に乗って結婚式のパレードをしたのは60年前の4月10日だそうだ。
そのパレードを見るためかどうか、その辺りは定かじゃないが、我が家にテレビがお目見えしたのもその頃だと思う。

あの頃だよな、三種の神器って言われて、善良な労働者諸君が競ってテレビ、電気洗濯機、電気冷蔵庫を揃え出したのは。
いずれにしたって忘却の彼方だが…

そういえば、忘却の彼方からひとつだけ雪の思い出が浮かび上がってきた。
「昭和」だよ、あれは。大学生だった昭和44年の4月のことだ。
アメリカに行くために新聞配達をしていたのさ。
で、配達に出るため家の玄関を出た瞬間、一面の銀世界が広がっているのを見て仰天したことがある。
市電も動かなくなるほどの、まさかの春の大雪だった。

250部を配っていた。今と違って当時は新聞広告の全盛期で、本紙に収容しきれない広告を掲載するため、新聞社は競って別刷り特集を毎日のように発行していた。
だから自転車の後ろの荷台に積むと、自分の頭を超える高さになり、乾いた路面でも実に不安定だったのだ。
雪道では自転車が使えないので歩いて配らざるを得なかった。寒いはずなのに、大汗をかきながら…

あの雪も中旬頃だったな。
だから雪って言われたって驚きはしないのさ。

でも、もう寒の戻りはやめてくれよな。“ごっこ”はおしまい。
これで最後だからな!



昨日は春霞もなく富士山がよく見えていた


このお山の雪が季節に逆らってまた増える


庭は春爛漫なんだけどなぁ


今朝はみんな花びらを閉じてじっとしていることだろう

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