晩夏のころには遠慮がちだった冬の星座の盟主であるオリオン座が、気がついたら南の一番高い所にまで進出して辺りを睥睨するかのように光り輝いている。
まだ明けるには少しばかり時間が必要な午前4時過ぎのこと…
もちろん1年の間でも寒さが一番厳しく、大気がキリリと引き締まる1月から2月にこの位置に来るのは午後9時過ぎの事で、これから冬至に向けてさらに移動の速度を増していくことだろう。
こうしてオリオンの動きを目の当たりにすると、太陽が南回帰線に向かって一直線に動いていることが良く分かり、季節は紛うことなく「冬」に向かっているのを理解しないわけにはいかない。
名残があちこちに残っていようとも、夏はもう、とっくに過ぎ去ってしまっているのだという、動かぬ証拠を突きつけられているも同然である。
夏と同じ格好で、短パンから露出した太ももにひんやりした北寄りの風を受けながら、そんなことを思う今朝の肌寒さはやけに身に染みる。
踵を返し、台所に行って湯を沸かしつつ歯を磨いたりの身づくろいを済ませる。
湯が沸くと魔法瓶に移し替え、ほうじ茶を淹れ、ポットにも入れてパソコンの前に座る。
ここまでが朝のわがルーティン。
今朝気付いたことだが、冬の間気付け薬としてパソコンの脇に常備しておいたラフロイグとコアントローが全く手つかずで、瓶が薄っすらと埃をかぶっている。
これはいかんとラフロイグの栓を開けて琥珀色の液体のあの独特かつ強烈な香りを嗅ぎつつ、ショットグラスに注ぎ、舌の上に転がすと…
思わず身震いしてしまうような強烈な衝撃が……、しかしすぐにこの"衝撃波"は旨さとなって口中で踊りだし、一瞬にして五体を目覚めさせ、感覚を研ぎ澄ませるスイッチを押しまくる♪
しばらく経ってパソコンの画面から顔を上げると、いつの間にか夜は開けていて、薄い水色の空に金色に光る綿雲が浮かんでいる。
一方、口中にはまだあの"衝撃波"の余韻が残っている。
パソコンの前に座ると同時に今朝は盛大なクシャミが出た。
仕方なく、久しぶりに長ズボンを引っ張り出し、長袖のTシャツとウインドブレーカーを羽織ってこれを書いている朝である。
近所の散歩コースで見かけたツリガネニンジン
ここでは毎年お目にかかれるが、今年は特に株が増えたように感じられた
薄紫色が主流だが、中には白い花もある
空の装いもすっかり秋である