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平方録

ずぶ濡れになってみればよかった

危なかった。間一髪だった。

家の近くまで戻ってきたら急速に黒い雲が広がってきて、吹いてくる風もひんやりしたものに変わったから、こりゃぁ一雨来るなと上り坂もいとわず、ハアハアゼイゼイ息も絶え絶えになって…、気のせいかもしれないが遠雷まで聞こえた気がして、とにかく急いでペダルを漕いでい家に駆け込んだのだ。
天の底が抜けて大粒の雨がどっと落ちてきたのはその直後のことで、汗みどろの身体をシャワーで洗い流し、ほてった身体を冷却していた時だった。

シャワーを浴びた後、外を見ると周囲の家々の屋根にたたきつける雨が煙幕のように水しぶきのカーテンを引いて周囲を霞ませている光景にびっくりした。
その降り方たるや、夏だし、こんな見事な降りっぷりなら雨に打たれるのも、もしかしたら快感だったかもしれないなぁ~と思えるくらい、ほれぼれするような降り方だった。
そして30~40分続くとピタリと止んで、後はまた青空が広がっていき、お陰で気温は一気に28度くらいにまで落ちて涼しくなった。
庭の木やその他の植物はもちろん周囲の山に生えている木々は生気を取り戻すのに十分な振りで、まさに恵みの雨。
こういう短時間で済む散水方法が涼しいし、一番いい。

そもそも夜明け直後からパラパラ降り出した雨は8時過ぎ頃に急に強まり、1日中雨が降ったりやんだりだろうという予報だったのだ。
それが見事に外れ、午前10時前からぐんぐん青空が広がっていったので、少し体を動かしてこようと自転車で湘南海岸のサイクリングコースを走りに行き、2時間半ほど汗をかいて、気分良く戻ってきたのだ。
天気予報サイトの雨雲レーダーを見たら、その時刻の関東南部、特に神奈川県には局地的な雨雲が懸かり、しかも真っ赤に彩られていて強い雨が降っていることを現していたから本物である。

命の危険のない状況で気象の急激な変化に出会うというのは、自然のもたらすエネルギーの大きさや威力の一端が感じられて悪くない。
雷だって聞いているだけなら豪快でしかも痛快でさえある。
雨の降り方も然り。
そして、見損なったけっど虹だって出たはずなのだ。
雨上がりの空に大きく半円を描いて懸かる巨大な虹というのは自然ショーの白眉と言ってよい。
夕立という定義からは外れた雨だったが、こういう強いにわか雨や夕立の後は決まってカナカナカナとヒグラシのセミしぐれが寄せては引いていく波のような振幅で聞こえてくるのも夏ならではでいいものである。
そう思うと、ずぶぬれにならなかったことが、かえって残念に思えてきた。

かくして1日中雨が降ったりやんだりだという予報は見事に外れ、にわか雨が去った後も再び夏空が戻り、夜半まで続いて満月2日前の明るい月を浮かび上がらせたのだった。

今朝だって同様だ。
昨夜の天気予報は昨日と同じで雨が降ったりやんだりの1日だというのに、いざ起きて東の空を見ると雲が切れて仄白んでいる。
そしてあれよあれよとお天道さまが金色の衣をまとってお出ましだ。
天気予報なんてあって無きが如し。
ま、良い方に転ぶのは大歓迎だけれどね。

台風10号の余波で打ち寄せる波しぶきが煙幕のように漂い、遠くの景色を霞ませる
見出し写真は辻堂海岸に打ち寄せる大波と遊泳禁止の赤旗


海岸沿いのサイクリングコース上にも飛沫のミストが漂い顔も髪の毛も腕もみんな塩まみれで塩辛くなった

今日こそ雨降りだろう思ったら…=04:27 我が家から東の空を見る

05:07 青空が広がる気配

05:38 ついにお天道さまが…
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