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平方録

あの腰パン小僧がついに…

胸のすく勝ち方だった。
1度目は転んだが、2度目に挑んだランでは世界中でまだ彼しかできないという超大技を含めた技を見事に決めながら得点を伸ばせず、怪訝な顔で引き揚げた姿が印象に残っている。
このままではまたもや金メダルには届かず、シルバーコレクターの異名が定着しかねない3個目の銀メダルに終わりかねない。
「さぁ、どうする 平野」と注目して見守った最後の3回目…
 
 
さすがの「節穴眼の審判員」たちも目を覚まし、目を見張るしかなかった。
誰一人真似のできない超大技を含めて「大技ばかり」で締めくくった演技は圧巻そのもの。
力と技でねじ伏せたと言ってよい。
得点は96点台!
かくして平野歩夢は北京五輪スノーボード・ハーフパイプでついに念願の金メダルを獲得したのだった。
実に見事だった。
胸がスッとした。
 
振り返れば、平野歩夢を知ったのは今から8年前の2014年のソチ五輪の時である。
まだ15歳だという少年がいきなり銀メダルを獲得したのだった。
しゃべり方と言い、履いているズボンは今にもずり落ちそうな腰パンで、こんな今時のチャラチャラついたガキが銀メダルなんて…どうなってんだと思ったものだ。
しかしその後、彼に焦点を当てたテレビの番組をたまたま見る機会があって、奴の日常はそんなチャラ付いたものではなく、アメリカに渡って武者修行を続けながら厳しい練習に明け暮れる日々で、それに伴って実にストイックなまでの生活を送っていることが紹介されていて、ヒトは見かけによらないものだと見直した。
 
口に入れるものには細心の注意を払っているとかで、食事に気を配り、栄養価を気にし、清涼飲料水などの類は決して口にせず、水さえも選んで飲んでいるという話に、半ば呆れ、なるほどそこまで節制と練習に打ち込んだ生活を送っているのかと感心したものだ。
そして注目した平昌五輪でまたも銀メダルに終わり、ついには夏の東京五輪にも、今度はスケートボードで出場するなど二刀流の道にも踏み出した。
それを成し遂げるためのストイックで求道者のような日々を送っていることに敬意を抱きつつ、密かに応援していたのである。
 
勝利後のオリンピックチャンピオンのインタビューで「小さいころからの夢が一つかなった」とさわやかな表情で語っていたのが印象に残る。
そしてニヤッとしたのが2回目に出された得点の感想を聞かれた時。「(あれだけの演技をしたのに)なんでだ!と思った」と納得がいかなかったことを認めた。
それが奴の怒りと闘争心に火をつけた。そして審判を力でねじ伏せ納得させたのだった。
奴は3度も五輪の舞台を踏んでいながら、まだ23歳だ。
これからどんな活躍を見せてくれるのだろう。
 
スポンサーとの契約料で年収は2億円を超えているそうだ。
オータニショーヘイといい、規格外れの日本人が世界のひのき舞台で躍動する様を見るのは胸のすくものがある♪
 
 
(見出し写真は近所の池と森の公園内の湧水を集めた小さな流れ)
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