前夜、ネットで調べた天気予報では琵琶湖地方は東も西も、北も南も雨マークばかり。
だとすれば景色どころじゃないし、ぐるりと一周を企てたところで白いベールを眺めるだけってことになりかねない。バカ臭いなぁ、東海道を下りながら所々で降りて地元グルメっぽいものでも探しながらちびりちびりやりつつ戻ろうと考えた。
ところが起きてみると、地面は濡れているが駅に急ぐ人は誰も傘をさしていない。
しかも雲の切れ間が見えたり、全体的に雲が薄く高曇りの様相でもある。ん? これなら薄墨色の山々に白い帯のような雲がかかる墨絵のような琵琶湖が見られるかもしれないと思い直した。
現在地はひこにゃんの彦根である。一周するってったって右回りにするか左回りにするか、それが問題だ。
右回りにすれば大阪京都方面に通勤する客の真っただ中に紛れ込むことになり、首都圏の通勤ラッシュを知っている身としては自分も嫌だが、通勤通学客にとっても迷惑な話で「何だクソジジイ、邪魔だオイボレ! 」などと罵声を浴びかねない。
そういう気持ちも分からないわけでもないし、そんなのやだなぁ~と思いつつ駅に行ってホームを見たら人は思ったほど多くはない。むしろエッ、これがラッシュ? と思えるほど少ない。
時刻は7時40分過ぎである。
どうも彦根辺りは通勤圏ぎりぎりのところのようである。
ならば一番後ろの車両の片隅に坐ってひっそりしていれば目立たないだろうと、12両編成の最後部に並びやってきた姫路行きに乗り込む。
案の定、車内はガラガラで空席ばかり。琵琶湖を眺められる進行方向右側の窓側にひっそりと体を沈め息を殺す……ってのはオーバーだが、目立ってはいけないのだ。
さすがに彦根以南の各駅からはどんどん人が乗り込んできて、草津という関東人には紛らわし名の駅からはさらにどっと乗り込んできて車内は満員に。
と言っても首都圏のラッシュに比べれば押し合いへし合いもなく、身体と身体が密着する様子でもない。それなりの隙間は確保できているようだ。フゥ~ンと思う。
片手を挙げたらもうそれっきり下に戻せなくなったり、力を入れずに立っていてもいつも誰かが支えてくれているので倒れることも無いようなラッシュとはケタが違うのだ。
フン! 脆弱者たちよ。それで日本を支えられるのかぃ。しっかり頼むぜ! なぁ~んちゃって。
湖の西岸を走る湖西線は山科で乗り換えるのだが、山科の次は京都なのでとりあえず上洛することにする。
どうしてなのか分からないが「次はぁ~キョ~トォ~」という車内アナウンスを聞いた途端心臓がドキドキしてしまった。あの胸の高鳴りはいったい何なんだ!
上洛という言葉の響きの持つ魔力か。
鎌倉武士は京都なんぞ眼中になかったのだが、そこはまぁ鎌倉時代以降を知るものとしては戦国諸大名たちのヒソミに倣ってみるのだ。というかそもそも街全体が魅力的だしね。
で、通勤通学客と観光客に混じって何の用事もないロージンがリュックを担ぎ9時前の混雑の構内をウロつく。
駅から一番近い名所は三十三間堂で、最近修理も終えたようだが、外に出てしまうとそれっきりになりそうで止めた。京都には改めて違う時に来ればいいのだ。その方が良い。
まぁグダグダ書いたが、こうして結局、近江今津行きの湖西線始発各駅停車の進行方向右側の席に陣取り、とりあえず湖北地方を目指すことにしたのだった。
♪ 明日は今津か長浜かぁ~ ♪ なのだ。
7時50発姫路行き新快速を待つ彦根駅ホームはこんな感じ
姫路行き新快速到着
こんな感じの空の下電車は近江平野を疾走する
JR彦根駅の隣は近江鉄道の彦根駅で、関東で見慣れた電車が塗装を変えて走っている。どれもこれも西武鉄道のおさがりらしく、見覚えのある顔ばかり
左側の青い電車は西武多摩川線で上林暁の小説に出てくる「是政」の駅に向かうために乗った電車そのまんま。色が違うだけ
で、山科の先のトンネルをくぐると、あっという間に「キョ~トォ~」
滋賀県に舞い戻り大津京の街並み。高層住宅群が林立。関西のベッドタウンなんだ!
大津京を発車するとすぐに琵琶湖が
東の空は明るんで、雨の心配もなさそうだし…
09:18 雄琴温泉に到着。満を持して? 京都駅で買った日本酒を取り出す。朝湯はパスして朝酒と行こう!
湖西線は新しく引かれた路線のためか高架線が続くので眺望が良い
つかず離れず、常に窓からは湖が見える
心なしか家々も新しいものが目立つ(この写真はちょっと違うけど)
高島駅を出発するとなにやら並木道が続いている風情である。もしかするとアレが名所になっているメタセコイヤ並木?
終点の近江今津に到着。「あすぅ~はぁ~今ぁ~づぅ~かぁ~ナァガァハァマァかぁ~ ♪ 」
湖岸まで歩いて行って湖のほとりにでも立とうと思っていたのに、たまたま改札を抜けたら目の前が白く霞むほどの強い雨が降ってきて駅の外に出られず
仕方なくホームに上がって30分余り敦賀行電車を待つことに。1時間に1本の電車なのだ
近江塩津で降りて今度は北陸線に乗り換え、南に向かう。左は乗ってきた敦賀行電車で右が米原方面に行く電車。山間の駅で、駅員のいない委託駅だそうだ
奥近江の水田地帯
近江長浜を過ぎて米原で東海道本線に乗り換える
米原で「湖北のおはなし」という駅弁を買う。唐草模様の風呂敷包にくるまれている!
弁当箱は葦簀(よしず)のフタ付き!
本日2本目の酒も添えた。呑みねぇ! 食いねぇ!
弁当の味? フム、カモのローストが入っていて、説明書きによると「かしわを鍬焼風にして胡麻をまぶし、永源寺の修行僧の食べ物には欠かせないコンニャクにはゆっくり時間をかけて甘辛く田舎煮風に炊き込み、これに卵焼き、葱とおあげのぬた、毎年十五夜にお供えする小芋丸煮…云々」
混みあった車内だったが、名古屋を発車した直後に弁当を開き、窓外の景色を眺め、ゆっくりちびりちびりやるにはちょうど良いおかずになりましたナ。たまには濃いめの味付けもよしとしなくちゃ…
浜松で熱海行に乗り替え。静岡県内を走るJR東海の電車はみんなベンチシート。おまけに3両編成なので車内はずーっと混みっぱなし。静岡で3両増結したが帰宅ラッシュ時間帯に入りさらに混みあった。
静岡管内のサービス悪いぞ! 東海め。新幹線のもうけをみんなリニアにつぎ込んで地元客はつけたしって寸法。地元民はもっと怒んなきゃぁ~!
黙っていても電車は進む。ズンズン走って17:43には熱海についてしまった。
米原を出たのが正午ちょうどの大垣行きだったので、乗り換え乗り換えを含め、5時間45分で熱海に着いてしまった。
結局藤沢駅で降りたのが18:55なので米原から7時間の電車旅。出発した7:50から換算すると11時間電車に揺られていたことになる。案外早い?
*大いに寝坊しちゃってアップが遅れちゃいました。
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