平方録

富士の笠雲

自転車の初乗りに出掛ける。
元日は初もうで、2日からは姫たち孫と遊び呆けていたのでその時間がなかったのである。

三が日ころのポカポカ陽気は既に去って空気は冷たいが、湘南海岸の波打ち際を通っているサイクリングロードは街中などと比べると2、3度は高いんじゃないかと感じるほど暖かい。
おまけに天気予報では西風、後に南西の風3~4メートルと予測していたが、実際に西に向かって走っても風は無い。
自転車に風は大敵なので「天気予報は外れたな、いい塩梅だ」と思っていたら、相模川河口まで走って戻る段になって正面から風を受ける羽目になってしまった。
何のことは無い、予報とはまったく逆方向から風が吹いているのである。
気圧配置の関係で風向きが変わるんだろうから、予報をとっちがえるなんてこと事態があり得ることなのかどうか…
いずれにしても、東に向かっての帰り道はアゲインストの中を漕いできたのである。

「観天望気」という言葉が好きである。山や海上に現れる気象の変化を観察していると、その地域特有の気象変化が分かり、生活に役立てられるのである。
もっとも当方は以前、相模湾にカヌーを漕ぎだして遊んでいたから、アウトドアのための観天望気である。

世の中には気象状況に左右される職業は少なくないと思われる。
まず第一に農漁業に従事する人々。
特に海に出る漁師の仕事は急な荒天にでも遭遇すれば命を落としかねないから、気象の変化は侮れない。
お百姓だって同様だろう。種を撒くのも実りを刈り入れるのも、天候は無視できないはずである。

行楽シーズンの弁当屋も然り。
翌日の予報が雨か晴れかで仕込む弁当の数が違ってくるはずで、雨が降るのに大量の弁当を用意したって、実際に雨が降れば誰も出掛けることなどしないから、弁当は大量に売れ残り大損すること請け合いである。

“プータロー”と呼ばれる人たちにとっても、雨や雪は大敵に違いない。
街中をうろついて糧を探す連中にとっては、それこそ衣食住に関係してくる重大な問題のはずである。
ことほど左様に天候具合というのは、人間の生産活動に直結しているんである。

話は戻って、昨日の湘南海岸は陽射しはあるものの、抜けるような青空が広がる冬型のきりりと引き締まった好天とは違い、うす雲がかかったような、遠くの山々は見えているのだが、輪郭がぼやけるような日だった。
富士山もごくうっすらと見えているのだが、空全体に薄いレースのカーテンでも下ろしたように、ぼぉ~っと霞んでいる。
おまけに背後には薄雲が広がっていて、富士山のてっぺんには笠雲まで乗っかっている。

頂上と雲が離れているから、いわゆる「はなれ笠」ってやつである。
「富士山が笠をかぶれば近いうちに雨」といわれ、その確率は冬場で70%だというから、確率としては高い部類に入るだろう。
でも、予報では傘マークなど出て来ないから30%の方なのかもしれない。

梅の開花にはまだしばらくかかりそうだが、早く花の便りを聞きたいものである。




ぼんやり見える富士山に笠雲がかかっている。


相模川河口にある下水処理場の排水溝付近は海水温が高く、雑魚が集まるものと見えて、それを狙ってか沢山のカモメが集まってきていた。
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