十年ほど前に奥さんと娘さんを落雷事故で亡くしてから甲斐犬と暮らしている。
4、5年前に息子さんが結婚して女の子のお孫さん2人ともども同じ敷地内に暮らしているが、べたべたせずにまったく別の暮らしを続けている。
したがって、家庭料理などとは縁遠い食生活である。
ならばわが家の家庭料理をどうぞ、ということになったわけである。数年前からそうしている。
幸いに喜んでもらっているようである。
わが家から2、3分のところに藤沢駅行きのバス停があり、藤沢駅からも至近の住宅地にお住まいだから、酔っ払ってもドアートゥードアである。専用のシャトル便のようなものだ。
この晩のメニューは〆サバ、生シラス、カサゴの煮つけ、ダイコンや昆布に厚揚げなどの煮物、生野菜、白ブロッコリーのカレー和え、アサリの味噌汁など。
酒は山形の上喜元と新潟の越乃寒梅。デザートはスコッチのラフロイグを垂らした岐阜の富有柿の熟したもの。
言うまでもなく魚3種は目の前の相模湾産である。
〆サバは1時間塩で締めてから30分程度生のレモンを絞って浸しただけだから、生に近い。酢は使わないから甘みが出る。かみさんはアニサキスに胃壁をかじられたことがあり、今は口にしない。恨めしそうな顔をしている。秋サバは脂が乗っていて実に美味しい。
シラス漁は年内いっぱいで終わり、元旦から3月10日まで禁漁である。生のシラスは鮮度の関係で地元でしか口にできない。これが食卓に上るのは地元の特権ってやつである。これが日本酒によく合う。
数日前に刺し身にして食べて首をかしげたカサゴだが、今回は煮付けてみたら超美味だった。白身がぷりぷりとはじけるような弾力があり、やはりこの手の魚は煮付けが一番なのだ。
Oさんも実においしそうに口に運ばれていて、良かった。
いつも、とりとめのない日常の事柄が話題になる。
ちょっとだけ今回の解散に話題が飛び、如何に無意味で独善的であり、首相の人品骨柄がそれにふさわしくないか、顔をしかめて話されていた。元大蔵官僚の目には危なっかしく見えて仕方ないようである。
それと、経済専門の某日刊紙に横浜イングリッシュガーデンの入場者が十万人を達成したことが出ていて、ああいう新聞にああいう話題が出るのはとてもインパクトがある、と喜んでおられた。小さい記事なのによく目がとまったものだ。「何か仕掛けたのか」というから、新聞各社の支局長たちを春と秋に呼んで咲き乱れる花の中で一杯飲ませています、と答えたら「なるほど、それはいい」と納得されていた。
高倉健と同じ昭和7年生まれである。同じ話が繰り返されることが最近ままあるが、実にかくしゃくとしている。何より、けっして偉ぶることなく、暮らしぶりは質素そのもので、社会の出来事には良く目配りが利いていて隙がない。責任の重い仕事を長いこと続けてこられたゆえに、日常の生活態度・精神がにじみ出ているのだ。ぼんやりぬくぬく暮らしている身には、真似たくてもなかなか真似られるものではない。
つくづく人種の違いを感じる。
あっというまの4時間であった。
カサゴの煮付けとほとんど生の〆サバ
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