鳩山テラス


里山の四季、遥かなる山稜 ・ ・ ・
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新緑の西上州 鹿岳・四ッ又山          2011年5月15日

2011-05-15 | 

 

大久保集落 ― 四ッ又山 ― 天狗峠 ― 鹿岳 ― 木々岩峠登山口 ― 大久保集落

                                                       群馬県下仁田町

 

 西上州の奇岩、岩峰群は以前から興味の対象となっていた。そんな折、会社の先輩に西上州の山歩きをホームグラウンドのひとつにしている人がいて、話を聞くうちに登ってみよう、という気持ちが強く湧くようになった。そこで新緑のこの時期、鮮やかな黄緑の景色と岩峰登攀のスリルを求めて、四ツ又山と鹿(かな)岳をセットで登ることにした。
 西上州の中からこの2つの山を選定した理由は、今後、何度か通うことになるであろうこのエリアの入り口で、ひときわ目を引く山の容姿を見るたびに、今回の想い出が蘇るに違いないと考えたからである。

 下仁田の街並みを抜け、大沢橋で街道を反れて山間部に入っていく。途中、鹿岳が車窓の正面に見えてくる場所があり、ガイドブックで表現されていたとおり、まさにカシューナッツを突き立てたよう・・だった。
 ネットでの情報から、大久保を過ぎたところの橋を渡った路肩に駐車スペースを見つけて車を止めた。歩き出してからも途中の空地に2台程の車が止めてあり、私以外にも登山者がいるようだ。



 小さな沢沿いにしっかりと踏まれた歩き易い道を緩く登っていくと、比較的楽に天狗峠に到着。この辺りからブナなどの広葉樹帯となり、爽やかな風を受けながらの登りはとても快適だ。
 西上州の山域は、標高がそれほど高いわけでなく、数十分単位で次々とピークが現れ登山者を飽きさせない。ここ四ツ又山も、潅木帯の頂上部に小さなピークが、その名のとおり四つあって、それらを次々と踏破していくのは楽しい。一番北側の4つ目のピークが山頂で、眺望も良く、ここで初めての休憩をとった。
 ここから鞍部を隔てて鹿岳のピークが無骨に突き出ているが、一体、あの岩の頂までどのように道がつけられているのかと思うと、これから踏破するルートにワクワクする。

 後方から人の声が近づいてきて、もうすぐ登山者がここに来るようなので、再び歩き出す。いきなりの急降下が始まるが、潅木に結んであるロープを伝っての下降は結構スリルがあった。下りきった所がマメガタ峠で、四ツ又山を経由しない鹿岳の登攀コースとここで合流となる。

                         
 鹿岳の真下あたりに来たところで岩壁につきあたると、ここから道はトラバース気味に岩肌を巻くようにつけられている。見上げると頭上から岩魂が、いつ落ちてくるかわからないような所で、出来るだけ急いで通過した。

 ハシゴや鎖場を数箇所過ぎると、鹿岳のコル(基部)に登りついた。ますは南側の一ノ岳へ登る。潅木がなかったら崖下が丸見えで、足がすくむような岩稜のようだが、不思議と恐怖を感じさせないルートがつけられていて、10分程の登攀で頂上に到達した。ここは新緑もまだ始まったばかりで、ヤシオツツジがまだ咲いていた。
 山頂で2組程の登山者と出会った後、再びコルまで戻り、今度は北側の二ノ岳の頂を目指す。二ノ岳へのルートはスリリングな箇所も無く、20分程で頂上に到達した。さらに2組程の登山者と出会う。正午前のこの時間が、大体の登山者が各方面から山頂に集結する時間なのだろう。

 

 日差しをさえぎるものがない山頂を避け、木かげを求めて尾根を北(木々岩峠方向)に少し進んだブナ林の中に腰を降ろし昼食をとる。この間1時間。誰もここを通ることなく、これから進もうとするルートでの下山者は私一人ということになりそうだ。気を引き締めて慎重に下山にかかる。

 高原地区への下降点を見落とすと面倒な事になるので、まずは下降点を示す道標を見落すことが無いよう、通過したピークの数を数えながら進んだ。このあたりも四ツ又山山腹同様に、とても美しいブナの広葉樹林だった。
 計算どおりの所で高原地区への下降点の道標を発見した。ここで左に直角に曲がって下降が始まるが、40度近くもあろうかという急斜面を、とにかく道をはずすことの無いように赤テープを確認しながら下降した。

 植林された林まで来たところで、伐採作業用の車道が現れ、ホッと一安心。一時、雲に覆われかけた空も再び明るくなり、折しも新緑に染められた小径を、今日一日の行程を振り返りながら楽しく下った。
 “思い切って来てみて良かった・・・” としみじみ思える、そんな山行だった。                                  

            
       カシューナッツというよりピスタチオ    下仁田市街地からの四ッ又山(左)と鹿岳(中央)