
近所で上棟式の餅まきがあるそうです

餅まきは小学校1年生の頃
訳もわからず友達に連れて行かれ
ぐちゃぐちゃの足場悪い中
骨組みの家の屋根から人が
袋に入った餅をばら撒き
人がそれを競い醜く
ひろいまくったという
記憶に残っています
もちまきは縁起と同時に
緩いぬかるみの地盤を
大勢の人に踏み固めてもらうという
意味もあったようです
私を含め
最近の人はあまりしなくなったようで
上棟の餅まきは
珍しいものとなりました
懐かしく足を運びました
想いおこせば
この町に引っ越してきた
右も左もわからぬ頃
近所の公園掃除で
落ち葉を集め
ゴミ袋をひろげたところ
「新しいの出さんでよかろうが!もったいない」
誰かしら知らない
幅をきかせてそうな
お婆さんに怒られた
ここは山を切り開き
造られた住宅地
開拓され40年という
長いのか短いのかよくわからないが
その頃に移住した人が多く
その流れで年寄りが多い
いや
年寄りまみれに
出戻りの若夫婦といった感じか
そんな先住民の話は
「ここは住んで40年近くなりますけど…」
とりあえず
昔から住んでますよアピールに話は始まる
40過ぎた私でも
「若い方が引越してきてくれてよかったー」と
若輩者に過ぎない
時は経ち、
たまにすれ違う
そのお婆さんも
あの時の勢いはどこへやらと
トボトボ腰曲げ
歳を重ね老いている
お婆ちゃん…
私の事など憶えてもいないであろう
少し寂しい気もするが
ゴミ袋かぶせて水曜のよ
2年という月日は
短くも長いものだ
ようこそ
この町へ
ちょっと先輩気取りなハト屋です
時間も迫ってきたので
上棟式に向います
雨がおちてきました
春先とはいえ
また冷たい雨に
年寄りの出足は鈍くなりそうな気も
我に勝機アリ
子供ならまだしも
大人が餅を必死にとろうとする姿は
ご近所だけに
お互い恥かしい気もします

角を曲がれば
既に大勢の町民が群がっています
しまった!!
老人に気を取られがちであったが
本当の敵は
学校を終えた小学生(低学年)だ…
「あんた達!宿題終わらせたとね?」
そう追い帰したいところであるが
引率のふりをし
母親達がその後ろで餅を待つ
餅まきは
平日の8時30分位にしてもらえるとありがたい
狭い路地
大人子供関係なく
向かい隣宅の駐車場、庭先構わず陣取る
おぞましい光景
私が餅まきをしなかった理由の1つを
思い出した
「餅まきまだですか?」
工期に追われているのか
急ぎ足で作業すすめる大工さんに
小学生が何度も尋ねる
まるで
地獄の浮世絵図のようである
めんどくさそうだが
なけなしにも出来ず
優しく答えながらも
仮設トイレに入る職人
まだかまだかと周りざわめく
大勢の人に壁一枚向こうに囲まれ
ウンコするその気持ちは
いかなるものか
少し羨ましい
さぁ餅まきの用意が出来たようです
施主の母親さんでしょうか
気合が入りすぎた服装が
陰陽師のようにも見えます
そんな母親さんが
近寄ってきました
「すみません、よかったらコレを首に巻いて下さい」
!?
そういって手渡された

赤いタオル
お前は
えいちゃんのコンサートか?
♪乗ってくれーHa-Ha
の時に投げるタオルか?
♪足りないぜーHa-Ha-
の時に投げるタオルか?
これも演技担ぎの一環か
そういえば職人でもなさそうな男女が
赤いタオル首に巻いた人がチラチラ目についていた
これは返すべきものなのか
もらっておくべきなのか
説明する事無く
陰陽師は足場を上って行った
大人だけでくるべきではなかったか
小さな子供でもいれば
拾いやすいものだが
甥っ子でもつれてくればよかったかな…
‼?

騒がしい子供の群れに
やっさんの息子発見
気がついているのか
いないのか
目があったハズだが反応は無かった
既に戦いは始まっているというのか
餅拾いに血縁、情は無用
それは確かに間違ってはいない
餅まきが始まりそうだ
屋根上に現れた男が大きな
鏡餅のような物を手にしている
それ
イッちゃう?
欲しいがさすがに大きい
取り損なえば
鼻は軽くポキっとピノキ折れるだろう
ざわめく群がりの中
自分の意志か連れてこられたのか
雨の中
動きを見せない
隣にいる車椅子の爺さんに落ちないか
気になってしょうがない
ゴツ!!
アスファルトに鈍い音をたて
転がる大きな餅を追いまくる人々をかわきりに
餅まきは始まった
はしゃぐ小学生
先程まで控えていた母親たちが
前に押し寄せてきた
以前
道路に瓶を叩きつけ
割っていたのを怒った事がある
小学生を近くに発見
妙な恥かしさで手が伸びない
飛んできたかと思えばエラー
私は野球が苦手だった事を思い出す
やっぱりダメかと諦めたその時
コロコロコロ…
足元に転がり込んできた
ピンクの包み
おぉぉぉぉぉぉ

その1つが唯一の戦利品となる
餅まきも終わり退散
隣にいた車椅子の爺さんの手にも
もっていたというか
指に挟んであったというか
餅が一袋
大人になっても餅まきは
楽しく嬉しいものだと
つくづく思いました
施主様
この度は
おめでとうございます
「いってぇー」
と
子供の袖にひっかかり
庭先の枝をポキポキ折られた
向かい住民の方との末永き
よいご近所付き合いをお祈りします
ハト屋164でした!!