畑の便り 虹屋

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25年のお引き立て、ありがとうございました。 虹屋小針店閉店の辞

2014-01-25 18:28:05 | 日々の雑感
この畑の便りも、小針店では最後となりました。1989年、平成元年に当地に開店いたしてから25年間のご愛顧、お引き立てにお礼申し上げます。1月26日で虹屋小針店は営業を終了し、閉店いたします。



さて、60年前、私らが生まれる前に1954年、こんな唄があったそうです。
これが自由というものか
作詞・作曲:三木鶏郎
歌 : 榎本健一

知らない間に実験で 
      知らない間にモルモット
知らない間にピカドンで
     知らない間に水爆病
これは呆れた驚いた
      何が何だかわからない
これが平和というものか  あちら任せの平和論

知らない間に値上げして
    知らない間にMSA
知らない間に教育法
     知らない間に機密法
これは呆れた驚いた
      何が何だかわからない
これが自由というものか  あなた任せの自由論

知らない間に金上げて
    知らない間に金取って
知らない間に税金で
    知らない間に自衛隊
これは呆れた驚いた
     何が何だかわからない
これが政治というものか おかみ任せの政治論



*【MSA協定】日本の軍事力増強を図るために、アメリカが日本に援助を与えることを主旨とした1954年3月調印された協定で、相互防衛援助、農産物購入、経済措置、投資保障の4協定。

60年といえば還暦ですが、世相も還暦?とおもえるほど、今日のことではないかという内容です。
私は、安倍・自公政権が続くかぎり、庶民の懐は寂しくなるばかりだと判断しています。4月の消費税率8%で4兆円増税されますが、その内、社会保障などで庶民に戻るのは8000億円、ほとんどは、企業減税の穴埋めに廻されます。来年には10%になるかもしれませんが、その増税分も同じように使われるでしょう。3年後に変化する可能性がありますが、虹屋の経営状態では3年は私には持たせられない。それで虹屋をたたむことにしました。

しかし、19日に沖縄の名護市の市長選。石破自民党幹事長が500億円の札束で、名護市民の頭をはったのに、自民党の推した末松氏が総投票の44%しか得られず、海兵隊基地反対の稲嶺氏が圧勝しました。福島県の南相馬市でも「震災と原発に殺された多くの人々の悔しさを国と東電に伝えて闘い続ける。南相馬から一緒にこの国を立て直していこう」と訴えた現職の桜井氏が圧勝。



 その一方、都知事選では連合東京が、安倍・自公政権が推す桝添氏を支持することにしました。桝添氏は本心では原発を維持する政策です。連合東京の会長は、東京電力労組の人だそうです。これは、あの福島県の惨状、東電核災害の被害状況を見ても、都内の104万人の労組員は、原発を止めないと言う立場、柏崎刈羽原発の再稼動を支持するということです。
 新潟水俣病でも、下越の地区労は加入していた昭和電工鹿瀬工場の労組に配慮して、被害患者支援の動きは当初は鈍かったのです。それでも、支援の県民共闘会議に参加しました。それに較べても、連合東京は酷すぎます。

 もう少し頑張ればという気持ちもありますが、小針店をご愛顧いただいた方々に、ご縁があって、またお会いできる日を祈念して。




桝添都知事なら東電柏崎刈羽原発の過酷事故時の対応は?

2014-01-13 15:17:17 | 原発、過酷事故対策
自民党が推している都知事候補は、桝添・元厚生労働大臣。

桝添氏は2007年8月から2009年9月まで厚生労働大臣でした。大臣時代の2008年、リーマン・ショックがおき世界的な金融危機になりました。「派遣切り」で、失業し住居も失った人々の年越しのために「年越し派遣村」が民間の手で日比谷公園に作られました。失業者や福祉は厚労省の所管ですが、桝添大臣は大臣室から道1本こえた目前にある「年越し派遣村」一度も訪問しませんでした。

後日、「求人は、すべて寮付住み込みで、年収1000万以上稼げるものだった」「4000人分の求人票を持っていったが一人も手を上げなかった。」「大事な税金を働く能力があるのに怠けている連中に払う気はない」と発言しました。 
 しかし「ハローワークから求人を出すよう言われて、ホントは募集してないんだけどお付き合いで求人を出しているだけなんです」といった事実を指摘され抗議されました。

そうしたら抗議を受けた翌日に「(求人を始めた)初日はなしでその後、139人申し込みがあった」と事実誤認を認め「怠け者発言は生活保護の母子家庭について言ったつもりだ」、「言い方が悪いとしたら気を付ける」という趣旨の発言をしました。

厚生労働白書などによると、母子家庭の母の84.5%が働いており、家事や育児をしながら、ダブルワーク、トリプルワークの非正規労働の仕事をかけもちしても年収は平均で200万円(全世帯の556万2千円)。母親のなかには、心身ともに疲弊していき、うつ病などの精神疾患を発症し、働きたくても働けなくなる方たちがたくさんいます。それでも生活保護を受けるとDV夫(子どもの扶養義務者である)に連絡されることを怖れたり、貯金があってはだめだといわれて、母子家庭の生保受給率は2割です。その内の約半数は就労しています。



ですから氏の怠け者発言の真意は、働く能力はあるし働く意欲はあるが、仕事をかけもちして心身ともに疲弊して発症し、働けなくなっている母親と子供を保護するために税金は出さないです。桝添氏は「年越し派遣村」で事実誤認しています。その弁明会見での発言は、厚生労働大臣として部下から事実説明を受けて事実を踏まえた慎重に行った発言でしょう。それで、「心身ともに疲弊して発症し、働けなくなっている母親と子供を保護するために税金は出さない」です。

この桝添大臣の姿勢は「人(国・税金)の支援を得て避難(生活)することが当然という風潮はおかしい。自分(母子家庭)で勝手に避難(生活破綻)しろ、甘えるな。」ということです。

エリート(選良)主義

また桝添氏は東京大学教養学部政治学助教授であった1996年に「巻原発『住民投票』は駄々っ子の甘えである」という論文を発表しています。

「町民によって正当に選挙された町議会が、そして町民が直接選挙によって選んだ町長が決定したことには、たとえそれに反対であっても従うのが民主主義のルールというものである。その手続きが住民投票によって無視されるとすれば、それこそ巻町の民主主義は危機に瀕していると言ってよい。

町民の直接選挙によって選ばれた町長の正統性はいわずもがな、町議会が多数決原理にもとづいて決めたことが軽んじられ、住民投票のほうが正統性において上であるかのような錯覚を持つとしたら、代議制民主主義は成り立たない。」(諸君!、1996年10月号、p. 68)



巻町の住民投票は、巻町議会で1995年6月に多数決原理にもとづいて制定された住民投票条例に従って、町民の直接選挙によって選ばれた正統な笹口町長の下で、1996年8月に行われました。投票率88.3%で巻原発反対1万2478票、賛成7904票。手続きにおかしなところはない、正当なものです。

桝添氏は、巻町民を駄々っ子としています。氏が住民投票のほうが正統性において上であることが「錯覚」に思うのは、その駄々っ子が選挙して選んだ町長や町議会は駄々っ子・町民の代表や代理人ではなく、駄々っ子・町民より上位にいる選良というエリート(選良)主義が氏の政治思想の背骨だからです。

これは田母神氏は「国を作ってきたのは時の権力者と金持ちだ。貧乏人はお裾分けに預かってきたのだ。」という思想と軌を一にしています。


このように政治思想的には田母神氏は露悪的な桝添氏であり、桝添氏はオブラートに包んで化粧された田母神氏です。科学的リテラシーの程度、無さも余り変わらない。

東電KKを再稼動させ、事故が起きた時の対応も同じでしょう。「国を作ってきたのは霞ヶ関、永田町の権力者と東京都の金持ちだ。新潟県の貧乏人は電源交付金などでお裾分けに預かってきたのだ。」「東京都の支援を得て避難することはおかしい。自分(住民)で勝手に避難しろ、甘えるな。」

そして氏は以前、「原発の安全性は十分に考える必要があるが、事故が起こると大変だから廃止するというのはおかしい。我々は飛行機を利用している。墜落したら大変だからと飛行機を飛ばさないようにすることは出来ない。事故が起こると大変だから原発を停めるというのは、墜落したら危険だから飛行機を飛ばさないようにするのと同じだ。」と言っています。

飛行機の墜落事故と東電核災害のような原発事故を、同質のものという想像力や科学的理解力が欠けた、口の上手な人です。

この二人を都知事に選ぶ東京都民なら、彼らの使う電気のために新潟県民の私は東電KKの再稼動を認めて事故リスクを引き受けることは到底できません。


東電柏崎刈羽原発の過酷事故時に田母神氏が都知事だったら?

2014-01-13 14:57:38 | 原発、過酷事故対策
都知事選が始まります。私は東京都は東電柏崎刈羽原発(東電KK)事故時には有力な避難先と考えています。
長岡から高速バスで約5時間でいける。
東電KK30km圏には約40万人、この人口を受け入れて上下水道や食糧供給が余り混乱なく行える都市基盤がある。国の調査を元にすると、東京都には1日当り約5万2千人分(H22年度)の旅館・ホテルの空き室があります。約40万人のうちの乳幼児・小学生とその保護者を受け入れて、直ぐ受け入れて旅館・ホテルでとめることができます。
それには、東京都など自治体の協力が不可欠。あればスムーズに行われます。そして、言わずもがなですが東京とは東電KKの電気を消費してきました。

それでは、都内の雰囲気は
twitterで大江紀洋氏の意見を見かけました。この方は原発維持・推進の月刊「WEDGE」の編集長です。この雑誌は東海道・山陽新幹線のグリーン車では無料配布されている、グリーン車の主要顧客である「アッパーミドルクラスのビジネスパーソン」を想定読者としているそうです。キヨスクなどで販売もされています。



「脱原発は、使用済みもいまある原発もすべてゴミになることを意味すると思うんですなあ。人さまの資産を、勝手に無価値にする覚悟が都民にあるのかね?」(1/10、10時54分)

東電KK(柏崎刈羽原発)が再稼動して事故り風向きが陸側ならば、東電核災害をみればこの新潟市まで放射能で濃厚汚染される高い可能性があります。海に吹けば、佐渡、能登半島のみならず、韓半島やロシアまで放射能が到達します。私は「人さまの資産を、事故で汚染し勝手に無価値にしたらそれを補償する覚悟が原発維持・推進の都民にあるのかね?」と問いたいです。



「東京で脱原発掲げたいから、まずこれまで消費した分の使用済みはぜんぶ東京で引き受けますくらい言ってくれるなら、僕は投票してもいい」(1/10、10時48分)
原発維持・推進の都民は、東電KK(柏崎刈羽原発)が再稼動したら「使用済みはぜんぶ」これまでの分も再稼動で新たに生まれる分も全部地元、柏崎刈羽において置くのでしょうかと問いたい。東京都内にでは1体も引き受けない?

今までの「電気だけ欲しい、お金は出すから事故・放射能・被曝は地元で」という意識がそのままです。東電核災害での核被災者への補償状況をみると、お金もケチる気です。

田母神俊雄氏

それでは、石原・元都知事などが都知事に推す田母神・元航空幕僚長・元空将は、次のようです。



田母神氏は「国を作ってきたのは時の権力者と金持ちだ。貧乏人はお裾分けに預かってきたのだ。」(2012年9月16日)というエリート思想です。ですからきっと「国を作ってきたのは霞ヶ関、永田町の権力者と東京都金持ちだ。新潟県の貧乏人は電源交付金などでお裾分けに預かってきたのだ。」というでしょう。

一昨年、2012年の年末に福島県と厚労省は、災害救助法に基づく住宅支援の新規受付を打ち切ろうとしました。それに反対する運動、署名提出と要請が行われました。そうした動きに田母神氏は2013年1月9日に



「福島県が県外に放射能避難をする人たちへの支援を打ち切ったことが批判的に報道されています。そして避難希望者が住居選択の自由を奪わないよう署名活動をして福島県などに提出したそうです。人の支援を得て避難することが当然という風潮はおかしい。自分で勝手に避難しろと言いたい。甘えるな。」

この発言からは、次のような未来図が描けます。

東電KKが発災したら、まず災害救助法に基づく柏崎市、刈羽村、長岡市などから避難・支援が行われます。東京都に避難しようとしたら田母神都知事は
「国を作ってきたのは霞ヶ関、永田町の権力者と東京都の金持ちだ。新潟県の貧乏人は電源交付金などでお裾分けに預かってきたのだ。」
そのお零れでイイ目を見てきた身の上で、
「人(東京都)の支援を得て避難することが当然という風潮はおかしい。自分(住民)で勝手に避難しろ、甘えるな。」。

田母神氏は東電核災害を「福島県では原発20キロ圏が帰宅困難地域だそうですが、広島、長崎の原爆投下時には、即日多くの人が現地に入って自宅や親族の捜索などを行いました。それでも被爆した人はいなかったそうです。政府と福島県は動物実験などにより福島が放射能的に危険ではないことを証明すべきだと思います。」と発言。

この方が都知事になれば、東電KKが事故って、放射能が出て新潟県民らに被曝が生じても「危険ではない」と避難自体を否定しそうです。





田母神氏は航空幕僚長・空将という部下の人命を与かり生殺与奪の権を持つ立場にいました。最も現実主義、事実に基づくリアリストでなければならい立場ですから、そうして資質の方を航空自衛隊は選んでいると思っていました。例えば、核戦争時の被害想定も、部下を派遣することがありうるのですから、当然知っておかなければならないことです。しかし厚生労働省も認めている入市被爆者を「被爆した人はいなかったそうです。」。 厚労省資料 にある自宅や親族の捜索などを爆心地に入市して被曝し、脱毛などの急性障害が発癌などの晩発障害を受けた人のことを知らないとは・・無知か政治的に無視しています。汚染水の問題もそうです。 

このような人を航空幕僚長に据えていたということは、航空自衛隊に旧日本軍の伝統、現実主義、事実に基づくリアリズムより精神主義、願望による現実無視の伝統が引き継がれているのでしょうか??


つづく

マクロ経済学的に痴的な国家的な恥的行為 国家的エネルギー基本計画のパブコメ、提出の補充分

2014-01-08 23:56:10 | 原発の経済
1月6日23時51分提出分

意見
「日本の貿易収支は、化石燃料の輸入増加の影響等から、2011年に31年ぶりに赤字に転落」という趣旨の文言が計画意見(案)には、散見されるが、削除すべきである。

意見の趣旨
マクロ経済学では、貿易収支(貿易による利益である貿易黒字と損失である貿易赤字)は国民貯蓄から国内投資(政府の借り入れを含む)を引いた差額に等しくなる。日本は2011年に31年ぶりに赤字になったが、これは国民貯蓄と国内投資(政府の借り入れを含む)の動向から分析、解明がマクロ経済学的には正しい。「化石燃料の輸入増加の影響」とするのはマクロ経済学的には表面的誤認である。

2011年は東日本大震災が3月だから、それによる国民貯蓄の減少と震災復興による国内での投資の増大、政府借入れの増大があったから、差額がマイナスになり、貿易収支がマイナスつまり赤字になったと解される。

化石燃料の輸入増加とあるが化石燃料、特に天然ガスの輸入量自体は原発停止前からほとんど増えていない。「輸入額」は増えている。これは米国の金融超緩和(QE1で1兆7250億ドル、QE2で6000億ドル)による米ドル建ての原油価格が上昇したためである。金・ゴールドを尺度にした原油価格の変動に比べ、米ドル建ての原油価格が上昇幅の大きさがこれを裏付けている。

これによる輸入燃料費増大で貿易赤字を説明、分析するのは、マクロ経済学のイロハを知らない素人なら許されるが、一流の経済人、有識者の出す計画意見(案)には相応しくない。知的ではなく痴的であり、このような意見を正式なものとするのは、国家的な恥的行為である。

「日本の貿易収支は、化石燃料の輸入増加の影響等から、2011年に31年ぶりに赤字に転落」という趣旨の文言が計画意見(案)には、散見されるが、削除すべきである。

以上1月6日23時51分提出

解説

LNG輸入価格は、1969年の輸入開始以来、原油価格に連動している。



マクロ経済学の知識は、学生時代に得たものだから今は違うかもしれないが、おさらいしてみる。

まず、三面等価の原則、だれかが作ったもの(生産)はだれかが買い(支出)、だれかが使ったお金はほかの誰かの所得(分配)となる。それゆえ「生産・GNP」「支出・GNE」「分配・GNI」の3つは同じ額になる。

2009年


2010年




貿易黒字は、個人や企業など貯蓄のうち、国内での投資に費やされなかった部分、貯蓄超過分のうち国債や地方債などの公債に回って国内で使われた額を引いても、なお差額がゼロにならない額が貿易黒字になる。



逆に、貯蓄超過分がゼロなのに公債(政府部門の赤字)が発行されると、その分が貿易赤字になる。


貯蓄超過分がゼロでなくても、超過分を超える額の公債(政府部門の赤字)が発行されると、その分が貿易赤字になる。

以上おさらい。

日本の家計貯蓄率は1980年代には15%という高い水準にあり、日本人は貯蓄好きといわれてきた。




だがバブル崩壊後、日本は国民の所得の上昇は止まり、むしろ貧困化している。現在の家計の貯蓄率は1%以下と、ほぼゼロに近い状態となっている。一方、企業は内部留保=貯蓄を増やして、全体での貯蓄超過分で大量の国債を賄ってきた。

企業の性質、営利目的の組織である以上、過剰に内部留保=貯蓄で資金を余らせておくことができない。設備投資であれ、賃金であれ、企業が溜め込んだ、溜め込んでいる資金を使い始めれば、全体での貯蓄超過分は減少する。企業の余剰資金増加のペースは鈍化しており、そうした動きが出ている徴候が見える。貯蓄超過分の減少にあわせて、国債の発行が減れば貿易赤字は増えないが、国債の発行は変わらない。当然、貿易赤字は増える。




貿易赤字を避ける、減少させるには原理的に二つの方法がある。一つは貯蓄を増やすことである。それは現状では企業部門の貯蓄=内部留保は十分すぎるほどあるから、国民の所得の上昇による家計部門の貯蓄の増大である。所得上昇は、賃金の上昇という形と子供手当ての様な公的な家計への所得移転による上昇。政治が左右できるのは、後者の公的な家計への所得移転。4月からの消費税増税は社会保障の維持・充実を理由に挙げながら、増収分約4兆のほとんどは家計に回らない。

原理的なもう一つの方法は、貯蓄超過分に見合う額に国債など公債の発行額を減らすこと。これは、現在編成中の2014年度政府予算では、2013年度とほぼ同じ国債発行を予定していると伝えられている。

このように、2014年度は貿易赤字発生と拡大が政治的に既定路線である。「原発代替の火力の燃料代で、貴重な国富ガー!」論を唱える人は、肩書きが経済評論家、エコノミストであれ何であれ、初歩のマクロ経済学を学び忘れた、知らない人である。経済評論家、エコノミストという肩書きなら、以後、その人の意見は反面教師として扱うのが妥当であろう。

2014/1/13 原油価格の図などを加筆

教科書検定基準の改正案を東電核災害で検討・パブコメ

2014-01-04 20:35:36 | 日々の雑感
文部科学省が教科書検定基準の改定案への意見を2014年1月14日締め切りで募集中です。


意見 
改正案の「閣議決定その他の方法により示された政府の統一的な見解や最高裁判所の判例がある場合には、それらに基づいた記述がされていることを定める。」は削除

詳細

3.11東京電力福島第一原発事故(以下東電核災害)は、未曾有の歴史的な出来事です。教科書に記載されることですから、これを題材に細かく意見を述べます。

教育基本法は「わが国と郷土を愛する態度を養う」ことを教育の目標に盛りこんだ改正が第1次安倍晋三政権の2006年に行われた。そして新しい教科書検定基準(案)ではこうした教育基本法の「目標に一致していること、目標に照らして重大な欠陥があれば不合格にする」旨の規定がある。

教育基本法の「わが国と郷土を愛する態度を養う」との教育目標からみて、東電核災害の核被災者で長期避難している人や移住した人は、帰還した人、住み続けた人よりも低く評価されるのではないか?現に福島の地では、そうした社会的雰囲気であると伝えられている。

子ども被災者支援法による支援、避難者や移住者にたいする支援を受けている人は「郷土を愛する態度」に欠けた人として記述しないと教科書検定を不合格になるのではないか?

逆に、教基法の「わが国と郷土を愛する態度を養う」の教育目標からみて、東電核災害の核被災者で核被災地に住み続けた人、帰還した人、福島エートスで活動する人は「郷土を愛する態度」の手本と称揚しない教科書は不合格になるのではないか。

追加被曝20mSv/年未満の被災地域への帰還・居住促進は政府の統一的な見解でもある。改正案では「閣議決定その他の方法により示された政府の統一的な見解や最高裁判所の判例がある場合には、それらに基づいた記述がされていることを定める。」とある。だから20mSv/年未満で帰還という政府見解を批判するような、例えば「安全とはいえない」といった記述は検定で削除や不合格になるのではないか。

そしてこの規定からも、避難者や移住者には非難など負の評価、住み続けた人、帰還した人、福島エートスで活動する人は称揚など正の評価の記述でない教科書は検定不合格になるのではないか?これは、実質的に基本的人権である居住、移転の自由権を制限する思想を教科書、教育の場で教える思想教育になる。

日本国憲法第22条第1項「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。」とある。教育は公共の福祉ではある。しかし「わが国と郷土を愛する態度を養う」教育のために、追加被曝20mSv/年までは我慢して帰還、定住せよとの政府の統一的な見解に「基づいた記述」をした教科書で、居住、移転の自由権の実質的に放棄をせまる思想教育は正当化できない。

避難者や移住者が愛する郷土は、東電核災害以前の東電福島第一原発からの放射能で汚染されていない郷土なのかもしれない。また、進学や就職、幼子を育てるために泣く泣く生まれ育った郷土を出たのかもしれない。「郷土を愛する態度」は様々である。それは政府の統一的な見解や最高裁判所の判例で一律に定義できないから、政府の統一的な見解などに従うことが郷土を愛する態度を養うとはいえないからである。

教育基本法の第二条などに書かれている教育の目的が政府の統一的な見解などを拳拳服膺(けんけんふくよう)しそれに従うことなら、それは豊かな人間性と創造性を備えた人間の育成ではなく家畜化人間の調教、馴致である。

教育基本法の第二条などに書かれている教育の目的が政府の統一的な見解などを拳拳服膺しそれに従うことなら、それは豊かな人間性と創造性を備えた人間の育成ではなく家畜化人間の調教、馴致である。


改正案の「閣議決定その他の方法により示された政府の統一的な見解や最高裁判所の判例がある場合には、それらに基づいた記述がされていることを定める。」を削除すべきである。

政府の統一的な見解などの扱い

改正案には「未確定な時事的事象について断定的に記述していたり、特定の事柄を強調し過ぎていたり、一面的な見解を十分な配慮なく取り上げていたりするところはないこと。」「近現代の歴史的事象のうち、通説的な見解がない数字などの事項について記述する場合には、通説的な見解がないことが明示され、児童生徒が誤解しないようにすることを定める。」とある。

100mSv以下の低線量被曝の影響について大きく3つの学説がある。LNT(しきい値なし直線)仮説、「むしろ健康によい」という放射線ホルミシス仮説、「ある線量以下であれば安全である」との閾・しきい値仮説の3つがあり、それぞれ歴史的経緯や科学的事実に基づいている。
このうちICRPのLNT(しきい値なし直線)仮説が国際的な通説であるし、日本の、日本のみならず各国の被曝防護体系の基礎となっている。
放射線ホルミシス仮説は日本では電力中央研究所、原子力発電で放射能を日常に放出している電力会社が合同出資により運営されている研究機関が推している説。
しきい値説は、日本では電気事業連合会が推しており、広島・長崎の調査結果を根拠に「影響が出るのは数百ミリシーベルトであり、100ミリシーベルト以下では影響は出ない。」

この3つの説を「特定の事柄を強調し過ぎ」ないように、3説平等な記述が教科書に求められるのであろうか?国際的な通説であり、被曝防護体系の基礎となっているICRPのLNT(しきい値なし直線)仮説を中心に他の2説を軽く記述すれば教科書検定に合格できるのか?

東電核災害後には、追加被曝20mSv/年未満の被災地域への帰還・居住促進や「一度に100ミリシーベルト以下の放射線を人体が受けた場合、放射線だけを原因としてがんなどの病気になったという明確な証拠はありません。」( 文部科学省、平成23年10月発行の小学生のための放射線副読本)と閾値説に政府の見解は傾いている。

この政府の見解に「基づいた記述がされていること」が検定合格に必要だから、国際的には通説ではない「しきい値説」を中心に他の2説を軽く記述すれば教科書検定に合格できるのか?しかし、それではICRPのLNT(しきい値なし直線)仮説を採用している日本以外の国に行った時とかICRPのLNT(しきい値なし直線)仮説に基づいた被曝防護体系、妊娠時のレントゲン撮影規制などを理解できなくなる。

被曝に限らず、尖閣諸島(台湾では釣魚台列嶼、中国では釣魚島およびその付属島嶼)問題や非嫡出子の法的地位など、様々な学説、考えがある「未確定な事象」は多く有ります。その学説らは、低線量被曝影響の3説のように何らかの根拠を持っています。学説らの全てを教科書で取り上げるのは無理ですが、日本政府の統一的な見解や最高裁判所の判例や主要な説を紹介することは有益です。尖閣諸島問題なら、中国の主張や台湾の主張を相手を尊重した上で紹介することは、問題の交渉や解決で相手・中国や台湾の言い分を理解する上で基礎的知識になります。相手の考えを理解せずに、自分らの考えのみを主張するのでは交渉はできません。

しかし、被曝影響の教科書記述でみたように日本政府の統一的な見解や最高裁判所の判例に基づいた記述がされていることを教科書検定で求めることは有害です。それらは変更されるからです。非嫡出子の法的地位は、2013年9月の最高裁大法廷判決で大きく変わっています。

尖閣諸島問題も日本政府の統一的な見解のみに基づいた記述だけでは、中国や台湾の言い分を十分に相手を尊重した上で理解することができません。「世界の平和と人類の福祉の向上に貢献」(教育基本法前文)する教育には、日本政府の統一的な見解だけでなく、相手側の主張を理解できる基礎的知識の教育・習得も必要です。相手の考えを理解せずに、自分らの考えのみを主張するのでは交渉はできません。それでは、問題解決は交渉ではなく外的強制力に拠ることになります。

日本政府の統一的な見解や最高裁判所の判例を、あたかも確固たる普遍的事実や金科玉条の如くあつかう教科書記述をもとめることは有害無益です。それは有力な説として扱われ記述がされていることですが、それらに基づいた記述のみを求めることは有害無益です。改正案の「閣議決定その他の方法により示された政府の統一的な見解や最高裁判所の判例がある場合には、それらに基づいた記述がされていることを定める。」は削除すべきです。

以上