この記事を読む前に、先にそちらを読んでいただくと良いかもしれません。
前の「多数派と少数派」の記事では、中島義道の思想を紹介するに留まりましたが、今回はそれから踏み込んだ僕自身の考察を述べてみたいと思います。
前の記事ですでに述べましたが、一つの考え方として、この世の中は多数派(マジョリティ)と少数派(マイノリティ)に分けられる、というものがあります。そして、この二つの群に分けた時、マイノリティの考え方・感性は一種の集団的暴力により圧殺される傾向にあって、それは集団主義的傾向の強い日本では顕著であるといえます。
今回の記事では、「普通」であるということはどのようなことなのか、それをどう捉えていけばよいのか、ということから、「普通」におけるその陥穽などについてを、上記で述べた「多数派と少数派」の概念を取り入れながら軽く考察したいと思います。
ではまず、僕が考える「普通」の定義を述べさせていただきますが、「普通」とは、「『その時代・集団におけるマジョリティの感性及び考え方に最も符合する』場合が多い事象」であると定義できるように思います。
このように僕が定義した背景には、「普通」であることを押し付けようとしたり、「普通」ではない人々をその集団から排斥しようとする、マジョリティに属する人々、がよく見受けられるということが一応、あります。
要は、自分が「普通」であるから良いのである、ということは単純には言えないということを言いたい訳です。
その逆だから良い、という風に僕が考えている訳でもないのですが…。
ただ、やはり多くの場合、「普通」であることは、なんらかの集団の中で生きていかなければならない人間にとってー特に集団主義的傾向の強い日本に於いてはー有利に働くものであることは言うまでもないことであると思います。
ところで、サイレント・マジョリティーと、ノイジー・マイノリティ-という言葉が存在します。
これは、直訳すると、「物言わぬ多数派」、および「声高な少数派」という意味になりますが、具体的には政治に対する運動家の例を挙げるとわかり易いように思います。
つまり、多くの庶民(マジョリティ)は政治に対して何らかの関心を持っていても、それ以外の社会にとって必要な仕事や家庭のことに忙殺されて実際に政治に対して口出しするようなことは選挙くらいなもので「普通」しないものであり、まさにこれらの群の人々は政治に対して「サイレント」であり、かつ彼らはマジョリティに属するので「サイレント・マジョリティ」であると言える、という訳です。
一方で、一部の、活動家・運動家たち(上記の「庶民」に対するマイノリティ)はデモなどの行為によって政治に対して大げさに口出しをしているのであり、まさにそれは政治に対して「ノイジー」であるといえ、かつ彼らはマイノリティに属するので「ノイジー・マイノリティ」であるといえるのです。
そして、デモなどの行為は、しばしばマスコミによって扇動され、そこで上げられている主張がまるでマジョリティの意見であるかのように扱われることがあります。その一方で、そのデモには参加していない一般大衆(ここではマジョリティ)の意見はテレビには反映されにくくなることがあります。
だから、そのデモでの主張を集団全体でなされている「普通」の主張であると単純にはならないのです。
ここにおいては、通常の「多数派と少数派」の概念はひっくり返っているといってもよいかもしれません。
さて、ここでは「普通」であることの捉え方が曖昧であれば、この活動家の意見を(僕の定義における)「普通」と捉えてしまう可能性があり、これは事実誤認と言えます。
最後に、これまでの主旨およびそれに関連する僕の主張をまとめたいと思います。
単純に自分が「普通」であるから良い、という風に考えていては、そしてその考え方は悪くはありませんが、そのような人は往々にして「普通ではない」人々に対して不寛容になります。別にだからと言って「普通」からずれた人に対して優しくあるべきなのだ、という風に僕は考えはしないものの、しかしやはり、単に「普通」であることに安住しているのであれば、それは、いつか「普通」から外れた人、マイノリティに足元を掬われかねないし、多くの人に認められる結果は出せないのではないでしょうか。
「普通」を理解せずに行動するマイノリティはそれ以外の人々にとっては、面倒な人かもしれません。
しかしながら、単なる「普通」に安住するマジョリティ-それは決して悪くはないーであれば、やはり「普通」の結果しか出せないように思います。
「普通」な人々の感性・行動などをしっかり理解した上で、普段は「普通の」行動に理解を示しそのように行動しながら時に「自分の意志で」、「普通」ではない行動をとれる者が「多くの人では出せない結果」を出すことになるのではないでしょうか。
それが(人から見て)良い結果になるか、悪い結果になるか、は定かではありませんが。
長く、かつ支離滅裂な文になりましたが、読んで下さりありがとうございました。
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