言葉喫茶【Only Once】

旅の途中で休憩中。

肌色モミジ

2020-09-28 00:26:25 | 言葉






秋ですね 
かさかさの肌色モミジが
ささやいています

今日はすこしだけ寒いから

ほぉ ふぅ
重ねたモミジのすき間を
あったか吐息で満たしましょう


ずっとそばにあった
夏のにおいや
にじむような暑さは
みんな みんな
いつの間にか
秋めいて―


白いウロコを見やり
つめたい陽射しを浴びて
歩く町からは懐かしい薫り

からだいっぱいに秋を浴びながら

すりすり と
ぬくもりが不足した
肌色モミジをこすり合わせるのです



















今日の価値

2020-09-26 22:17:53 | 言葉





どこかで見覚えのある今日が終わる
何日前に重なるのかさえ
もう思い出せないが
それでも良かった
と思えることを
喜んで良いのか
悪いのか

確かなことはひとつ、今日が終わる
「有意義な一日でしたか」
そう言われて泳ぐ視線の
定まるところは
上 下 右 左……
肯定と否定の
透き間

わたしの横を通りすぎた風に
舞うコスモスの
花にとどまり空を見つめる
トンボの視線にさえ気づかぬ日もあった

時の砂粒が詰まったのではないか
そんな心配を抱くほどに
なにも無く
ただ生きているだけの日もあった

その 繰り返し
その 連なりを
同じと思うのか
違いを見出すか
一日を濃いと感じるか
   薄いと嘆くのか

見覚えのある一日
何も無く終わる今日を
価値ある日だった
と言えるのは
この世でただひとり

そう 自分だけ

















スマイル

2020-09-20 22:55:56 | 言葉








それは花のようなもので

つぼみでいる時間が長い日もあるし

夜のほんの一瞬に綻ぶこともあるでしょう

あるいは気長に待たなければならないかもしれません


強いて咲くものではなく

同じ空を綺麗だと感じたり

独りではなく一人だと知った瞬間

すうっと息を深く吸った時

眠れることが嬉しい

食べるものが美味しい

服を着ることが楽しい―……


ありふれた日常の中で

生きていることを噛みしめている時に

それは咲くのです

自分でも気がつかないほど

しずかに やさしく 笑顔は綻ぶのです


つめたく暗い空の朝

時の流れが遅く気だるい真昼

理由も無くもの悲しい夜

深い眠りの森の中

たとえ いつ どこにいても


ヒトは わたしは わたし達は 咲くのです

















◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉

生きているとあまりにも、いろんな事がありすぎて。
それは他人にしてみれば些細な事であって、
けれども当人にとっては、大事で。

笑えない日もある。
だからこそ笑ってやろうとも思う。
いつも上手に笑える訳ではありませんが、
笑う事で変わる、変えられるものは、確かにあるようです。

少なくとも俯く自分の心持ちだけは、
上向きに変えられるでしょう。
そう思うのです。







手のひらを暗やみに

2020-09-20 21:57:13 | 言葉






誰かが見た暗やみを、わたしが知る事は無い。
わたしが抱く暗やみもまた、誰にも知られる
事は無い。


暗やみの彼方に
ひと握りの星がある
どうか忘れないでほしい
ひかりばかり見つめていては
大切なものも見えなくなるから
そこに暗やみがあるなら
それは必要だからだ
目を凝らせば
見えてきはしないだろうか
かすかな喜びや
本当のねがいが
見落としてきた
大切なものが―


歩く。歩く。この暗やみを、ゆっくりと、ひり。
目を細めてジッと手のひらを見つめてみる。
その時、初めて、手のひらにも星がある事を知
った。


あなたは
その手のひらを
暗やみに浮かべてみた事が
あるだろうか














ありふれた言葉を

2020-09-17 23:04:03 | 言葉








おはよう
こんにちは
こんばんは
おやすみ

いただきます
ごちそうさま
ありがとう
ごめんなさい

げんきですか
おひさしぶりです
じゃあね
またあした

ありふれた言葉
それは
尊い言葉だ
やさしい想いだ

飾りもなく
手垢にまみれた
宝物のような
言葉たち

想ったなら
あなたや
だれかに
つたえたい

そう
いつものように