花の雨あがりて虹のかかりけり

納棺の旅の支度や花の雨

花筵ひろげて座る初仕事

春昼のミルクキャラメル舌に消ゆ

俎板の菜切りの傷や風光る

蝶の目にとどめる無観客試合

蝶離れ飛ぶ無観客試合かな

蝶迷いゐる無観客試合かな

無観客試合や蝶の影の中

産土のその見守りを春の月

上映の途中休憩春ショール

水ぬるむ青き地球はまわりたり

校庭に朝礼台や春の塵

春塵や化石の中に波の音

岩肌の流紋うごく春の塵