がんの進行に伴う痛みの治療薬やがんを叩く抗がん剤を取り扱っている仕事柄で、ドクターを介して間接的に多くの患者さんに接する機会があります。それにしても百人以上の先生方から伝え聞くがん患者さんは、見つかった時には進行していて骨転移や他臓器転移が認められる患者さん、さらにはターミナルと呼ばれる終末期の患者さんばかり。がん患者さんが巷に溢れている現代は嫌な世の中だなと常々痛感させられます。
僕の父も一昨年がんで亡くなったのですが、見つかった時にはすでにステージⅣbの食道がんでした。数字が大きくなればなるほど予後不良であり、Ⅳ期は他の臓器への遠隔転移が認められるステージであり、父のケースでは肝臓と副腎への転移。Ⅱ期とかのもっと早い段階で気付けていれば、手術を受けるか放射線化学療法で寛解に導き、その後は再発させないように継続的に治療しながら、きっと今も元気に生きてくれていたはず。
でも残念ながら、遅い段階で見つかった場合、残されている治療の選択肢は悲しすぎるほどありません。ほんのわずかな延命治療や緩和ケアが現実です。うちの父もそうだったように、本人と家族は奇跡が起きることを信じて、この段階でも可能な限り一生懸命に積極的治療を受け続けようとされますが、病態の悪化はどんどん加速していくので、残念ながら大多数の方が希望に沿えない状態に陥ってしまうのも現実です。この場合の希望が何かと言えば、今まで通りの普通の暮らしをこれからもずっとしていくことに他なりません。患者本人と家族が最も切に願うのは、病気になる前の日常に戻れたらどんなに幸せかということ、これに尽きるでしょう。
同じ職場で働いていた友達まで先日がんで亡くなりました。父が見つかったのと同じステージだったそうです。ただ悔しくて仕方ありません。これから子供の成長を見届け、人生の収穫期を味わおうとしていた幸せな人間に忍び寄り、突然襲ってきた病魔が憎くすぎます。父や友達の無念を思うと、僕らは絶対にがんと闘わねばなりません。
男性の2人に1人、女性の3人に1人がガンになると言われている現代を生きる限り、闘い方を知らなければ行き抜けません。自分達ですぐに出来るがんとの闘い方は、やはり先制攻撃的に検査を受けることでしょう。絶対に早期発見・早期治療に尽きるはず。がん治療はもぐら叩きと酷似しているので、可能な限り早い段階でがんを見つけて、手術などで腫瘍細胞を取除いた後に十分注意しながら経過を観察する状態に持ち込めれば、がん種にもよると思いますがかなり闘えるのかなと思います。早期で見つかったならば、免疫細胞療法などの支持療法もより意義があるのかなと思います。
まめに検査を受ける。PET検診まで出来れば理想ですが、まず人間ドックを基本として積極的にカメラ検査などを受けることが、普通の暮らしを維持していく為に最も大事なことだと心底思います。来月に胃カメラ大腸カメラ連続検査を受けますが、たった一万円強です。これだけで少なくとも、食道・胃・結腸・大腸の臓器群の安心を買えます。ぜひ何としても検査を受けましょう。気になったらすぐ病院に行きましょう。病院嫌いなんて言ってる人は、自分の周囲への愛情が足りない人だと思います。(天国の親父には申し訳ないけど。)とにかく検査を受けましょう。