その日は、突然に訪れました。
いつも、朝にエサを与えるのですが、
ボクの姿を見ると、ワラワラとガラス面に集まってきます。
立ち上げから1ヶ月が経とうとしていたこの日、
いつもの朝の、いつものルーティンを終え、
お店の開店準備を済ませて、午前中の仕事を終えたところで、
水槽を何気にチェックしたところ、
ある異変に気がついた。
水槽の全面に居るのは、40匹の ”ラスボラ・アクセロディブルー” 達だけ。
他の魚達が、疑似岩の裏で遊んでるにしては、何かひっかかる。
その内、フラフラと表に現れた ”ラミレジィ” は、底でジッとしている。
息が荒い。
次々と表に出てくるが、鼻上げをしていたり、水面近くでボーッとしていたり。
明らかにヤバイ雰囲気だ。
この時、水温は25℃。いつもと同じで問題ない。
水温上昇による鼻上げではないようだが、何故
朝は、元気にエサを食べていたのに
飼育水は、見た目いつもと同じ感じだし、他に考えられるとしたら、
亜硝酸塩値か、硝酸塩値が上がっているのではと思い、
試験紙でチェックしたところ、
仰天な数値が
100mg/ℓに達していた
ソッコーで水換えをしないといけない状況。
次の仕事の時間まで1時間しかない
一時的に避難させる為の空き水槽がない上に、
この90cm五目水槽の水質は、もう1本の水槽の水質とは全く違うので、
点滴方式で水合わせしても、上手くいく補償はない。
全換水はムリだと判断して、底砂内の腐敗水を吸い出す方法にした。
プロホースを差して吸い出した水は、赤茶色をしていた。
立ち上げから、無換水で6ヶ月目の水の色だそうで、
それが何故、1ヶ月でこんな水の色に
何らかの理由で、還元バクテリアが機能していなかったということになる。
目に見えないものなので、そんなことは分からない。
赤茶色の水が出なくなるまで、兎に角、換水しまくった。
その間、ドンドン魚達の具合が悪くなって行く。
もう、すでに死んでいる魚が底に沈んでいる中で、上水換水も行った。
元気なときは、水槽内に近づいただけで逃げまとう ”ラスボラ・アクセロディブルー” 達が、
底砂を網で救い出す時に手にまとわりついてくる。
まるで、この水槽から出してくれと言っているようだった。
救い出しても、避難させる水槽がないので、心を鬼にして振り払った
”ラミレジィ”は、目が黒目になってきて、フラーッと泳いでいるが
急に暴れる様に泳いだりして、その内、動かなくなった。
水位が半分になった状態でタイムアウト。
次の仕事の時間となってしまった。
1時間ほどで終わる仕事だが、魚達の事が気になって仕方ない。
その後、魚が居る状態で、何とか全換水に近い状態までもっていった。
試験紙で測定すると、硝酸塩値はほぼ0mlになっていた。
この時点では半数以上が死滅、残された ”エンゼルフィッシュ” や
”グラミー”、”ベタ” 達は、まだ状態は悪いままだ。
このまま、一晩明かした。
朝、水槽内を見ると、”ベタ” 以外は死滅した。
もしかすると、アンモニアはまだ残っているのかもしれない。
瀕死の状態の ”ベタ” だけでも助けてやりたい
30cmキューブ水槽、急遽、新規立ち上げ&薬浴中
グリーンFリキッドを1滴たらして、2時間ほど様子見。
その後、元気が出てきたので水合わせして、
赤虫を3匹食べてくれた。
水槽の飼育水が出来たので、投入。
取り敢えず、ほっとしたが、
”ベタ” のきれいなフレアリングは出来なくなっていた。
身体的なダメージでヒレが癒着してしまっていた。
それにしても、他人の飼育データーをそのまま鵜呑みにしていた
自分が情けない
間違いではないのだが、自分の飼育方法に落とし込んだとき、
他人の飼育データーと同じになるなずもなく、
正しく機能しているかどうか、リスク管理をしないといけないのは、
社会では常識だ。
仕事では出来ているのに、趣味において甘さが出てしまった
魚とはいえ、尊い命を奪ってしまった
でも、また飼ってみたい。
在りし日の水景
現在の状態