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心のままに・・・

実体験をもとに小説仕立てでお話を書いています。
時々ひとりごとも…

約束の行方・・・vol.49

2013-04-19 22:17:26 | 約束の行方


“啓太・・・とりあえず私、今夜は帰るから・・・” 


甘い時間を途中で切り上げ、こっそり家へ帰ってきた


兄がどんなふうに言ってくれたのかわからないが、ばれたら・・・・


“嫁入り前の娘がなんやらかんやら・・・・”と煩い父親は言うだろう


朝は何事もなかったように起き出し、いつものように振舞った


啓太は今日の昼間には帰るらしく、出来れば見送りに行きたかった


「昨日は、お客さんの付き合いで飲みに行ったらしいな 若い娘をおそうまで連れまわしよって・・・」と


昨夜の事を父が言いだしたので 


「私は早い目に帰って来たよ、お兄ちゃんは遅うまでつきあわされてたみたいやけどなぁ」と


大ウソをついた


お礼方々兄のところへ行かなくては・・・・と思っていた。


朝食を済ましてから兄の家へ行ってみた


ちょうど勇太ちゃん達が出かけるところだったので、一緒に見送り


「昨日の話・・・聞かせろや」 という兄に従い 家へと入った


義姉の百合子さんは総一郎のことは知っているが、啓太のことは知らない


昨日のお客さんが総一郎だろうと思っているようで「また来はったんやね~男前さん」と嬉しそう


兄は「えっ? 昨日初めて来はったんとちゃうんか?」と怪訝な顔


私は全てを話さなければいけないな、と思い


以前こっそり総一郎が来たこと、昨日の人はもっと前から付き合いがあった人だということを


二人に話した


義姉は「絵里ちゃんモテるんやね~」と、茶化したが


兄は真面目な顔で「ほんで、おまえ本気で結婚するつもりやねんな? 


アメリカ行くって・・・・お父ちゃんに上手いこと話さなややこしいぞ・・・・・」


と、胃が痛くなるようなことを言ってくれた


「それは、ほら・・・お兄ちゃん協力してぇなぁ~頼むわ・・・」 私は手を合わせて兄に拝み倒した


百合子さんが笑いながら “すごいこと”を言いだした


それはとてもいいアイデアだと思ったが、世の中そう上手くいくはずはないと、肩を落としたのだった


昼一番の新幹線で啓太が帰ることになっていたので、私は兄の家を後にして京都駅へと向かった


時間があったので、駅前のカフェで啓太とこれからのことを話した


まず私は、自分の親に話をすること


啓太も両親に話すということ・・


近いうち母親のいる神戸へ来る傍ら、我が家にも立ち寄ると言いだした


私は啓太が母親に会いに行く時までに両親に話さなければならないこと・・・


どう切り出そうか?と、思案した





父に話す前に まずは、母親に話そうと思い「お母ちゃんちょっと話があるねんけど・・・・」


というと、母親の勘と言うのは鋭いもので 「絵里子?結婚でもするんか?」と


いきなり度肝を抜かれることを言われた


私は驚いたが、それなら話が早いということで「うん、そうやねん それにしてもお母ちゃんはすごいな」


と、あれこれ言わずに事実だけを話した


「へぇ~アメリカ~? そりゃ~突然えらいこっちゃ~」 と、目をまん丸くして驚いていたが


「絵里子ももうええ年やし、どんなこと言われてもお母ちゃんは驚かヘん 好きなようにしたらいい


大事にしてもらいや、年下で、次期社長さん? すごいなぁ


そんな人どこで見つけたんや? お父ちゃんは驚くやろうな~でも心配は無用やで


お父ちゃんがなんと言おうと、絵里子のしたいようにさせたるさかい安心しぃや、お母ちゃんは味方やで」


胸に熱いものが込み上げてきた、高校を卒業してから好きなようにさせてもらってきた


仕事も勝手にやめて、アテもないのに帰ってきて結局何も見つけず、見つけられず


いきなり結婚するという娘の言葉を何も言わずに受け止めてくれる母


感謝してもしきれない気持ちでいっぱいになった





母の言った通りというのか、心配することもなく


父は全く反対せず むしろ大賛成で、“大事にしてもらえや、風邪ひくなや”とだけ言って


目にいっぱい涙を浮かべていた