闇金うしじま君・smart・オサレ皇帝

週刊スピリッツで連載されている人気漫画『闇金うしじま君』。闇金融の経営者と、闇金から金を借りて堕落していく様々な人々の人間模様を描いた漫画だ。

当初は主人公の闇金経営者「うしじま君」を軸にストーリーが展開していたが、次第に、闇金から借金をする人々の破滅（そしてごくまれな救い）がメインに描かれるようになった。

これまで描かれた人々は、風俗嬢、タクシードライバー、ギャル男、サラリーマン、ゲイ、ニート等々、様々である。そして結末は、大体において破滅だ。（たぶんスピリッツ読者に多いだろう20～30歳台を想定してか、サラリーマン編とニート編にはかなり救いがあった）

この「闇金うしじま君」で最近終了したのが、「おしゃれさん」編である。ファッション雑誌に取り上げられるようなカリスマを夢見るおしゃれ若者が闇金やら薬物やらに手を染めて破滅していく、非常に後味の悪いタームだ。この中で、架空のファッション雑誌「デザート」が「オサレ皇帝（エンペラー）」というのを選定していて、主人公もその地位や、「オサレ皇帝」となった人々に憧れる、という設定となっている。

架空の雑誌「デザート」は雰囲気的に「HUgE」っぽいようなのだが、漫画内で連呼される「オサレ皇帝（エンペラー）」という言葉がとても印象に残る。なんかギャル男雑誌とかの文句みたいだし。

で、昨日電車に乗ってたら、宝島社のファッション誌であり、かつて私もお世話になった「smart」の中吊り広告があった。その広告の文言に思わず眼が止まった。

「冬スナップ　おしゃれ皇帝（エンペラー）決定戦！」

（広告では、「皇帝」に「エンペラー」とフリガナがふってある。）

漫画内の架空の言葉だと思ったが、その元ネタとして「おしゃれ皇帝（エンペラー）」なんて言葉をsmartがすでに使っていたのか！？俺が読んでた頃（8年くらい前）はなかったなあ。実際に誌面で見ると、やっぱり滑稽だな。などと思いつつ、すごい気になってしまった。

家に着くや否や、「smart」「オサレ皇帝」でググってみる。出てきたのはsmartの編集部ブログ。今回のsmartの表紙に踊る「おしゃれ皇帝（エンペラー）」の文言は、「闇金うしじま君」にインスパイアされた、との言葉があった。

編集部ブログによれば、「闇金うしじま君」を読んでいるsmart読者が多いこと、漫画に出てくる「GO10君」というキャラが実在のモデルに格好がそっくりで話題になっていたことなどが書かれていた。

闇金うしじま君では、ファッションに傾倒するあまり破滅する若者たちがかなり皮肉っぽく描かれていたが、それにインスパイアされたとは。自嘲気味に使ったのなら、なかなか面白いと思うけど。

ともあれ、smartの広告に目を止めることなんてなくなっていた人間一人を、むしょうに気にならせて、家に帰って雑誌名をググらせただけで、雑誌の文言としては勝ちだと思った。

ちなみに、じょうど自分がニートな時期に「闇金うしじま君」がニート編で、精神的にかなり（悪い意味でも）影響されたことを思い出しました。