「俳句の集い」の句集2014年版

「俳句の集い」結成1周年を記念し、2014年9月吉日、プロフィールの写真通り、手作りで30部製作しました。

たまおり

2015-01-15 | たまおり
夏の未明(みさ)救い求めて救急車
争いも聞こえぬふりしてうちわ風
若き娘の二の腕光る夏着かな
草の上に啼きつくしたる蝉あわれ
吾が余生あやかりたきや百日紅
敬老日老をかくして派手衣装
古寺も一幅の絵になる紅もみじ
秋空に紅染まりゆく寺の庭
柿たわわふるさと想い友の顔
あたたかき毛布こいしき秋日和
ベランダに毛布そろそろ出番かな
丹精をこめし息吹や菊の庭
芸術の極みなりけり菊人形
青澄めり香りゆかしき梅一輪
亡き夫とかたりあいたし雛(ひいな)の夜
母の日は幼にかえり母思う
カーネーション母の笑顔が重なりて
桜餅香りただよう春茶席
七夕に願いは同じデイの友
若草の匂いかぐわし孫の髪
菖蒲湯に浸りて八十路の頬光り
梅雨空に紫映えし菖蒲園
我が痛み豆につめこみ鬼は外
梅雨空にピンク粧(よそ)いし友まぶし
草むらに露草藍にきわだちて
時雨ふり秋染まりゆく我が身にも
新春の富士美しく手を合す
初春の笑顔そろいし祝い膳
初湯浴び心ゆたかに頬そまり
新緑につつじ紅添え五月晴れ
来ぬ人を案じて見れば梅雨しぐれ
咲きみちて顔うずめたき桜草
うたた寝に蝉もやさしく子守唄
老の身になすすべなく草せまる
初句会期待と不安入り混じり
夏日避け首かしげつつ初句会
敬老日他人事(ひとごと)りとやりすごし
敬老日やっと素直に老いを知り
猛暑をば耐えし此の身に秋さやか
目ざむれば秋空澄みて旅の夢
いが纏(まと)い夫婦(めうと)の如く栗光り         
手間ひまに優しさ加え栗御飯        
雑草と言えども愛らしアカマンマ      
秋うららお出掛けしたきお洒落して     
和服着て友と逢いたし秋の空        
秋の暮つましき夕餉一人膳         
指折りて句作り励む夜長かな          
脳トレと千代紙折りて老い忘れ
虫の声やさしく夢に誘(いざな)いて
枯葉散りこれも風情とそのままに
憂しきことすべて消し去り秋の空
今更に子なきを嘆くな秋の空
温かき毛布恋しい冬支度
時雨降り秋深みゆく我が身にも
秋雨にぬれて色づく紅葉かな
秋雨にぬれて色ます山の樹々
老の身を愛(いと)い重ね着冬支度
冬支度捨てかね迷い一日(いとい)暮れ
名画でも及ばぬ自然の秋の山
忙しき師走も今は嫁まかせ
佳き新年(とし)を願いて窓にシクラメン
明くる年告げる汽笛や横浜(はま)の初春(はる)
初春の富士に誓いぬ笑顔忘れじ
独(ひと)り居(い)の元旦なれどやや粧(よそお)いて
幾とせを経ても雑煮は関西風
立春や小さき春を探す日々
冬空にろう梅かをり春を告ぐ
亡き夫(つま)の訪れしごと梅こぼる
老いの身に叶いし程の毛糸編み
受験の子気遣う家は静まれり
極むれば卒業の文字無かりけり
人生もそろそろ卒業近づきて
眠りから覚めて清らに雛笑みぬ
お白酒酔いて幼なの桃節句
花吹雪夢かうつつか春爛漫
水仙が一番名のりとすっく立つ
花満ちて生きるよろこび春爛漫
春かすみ富士姿なく初ひばり
春めきて厨の水も手にやさし
紫ふくさを結えし如き花菖蒲
幼な子と花に癒され春日暮れ
梅雨こそは生命の糧と草樹萌え
こわごわと持ちし幼なの瞳(め)に花火