【問題】
第28問から第35問までの試験問題については、問題文に明記されている場合を除き、定款に法令の規定と異なる別段の定めがないものとして、解答すること。
第35問
持分会社に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうちどれか。
ア 法人は、合同会社の社員になることができるが、合名会社及び合資会社の無限責任社員になることはできない。
イ 合名会社及び合資会社が資本金の額を減少する場合にはそれらの債権者は異議を述べることができないが、合名会社が資本金の額を減少する場合には、その債権者は異議を述べることができる。
ウ 業務を執行しない有限責任社員は、業務を執行する社員の全員の承諾があるときは、その持分の全部又は一部を他人に譲渡することができる。
エ 業務を執行する社員を定款で定めた場合であっても、支配人の選任及び解任は、合名会社及び合同会社においては総社員の過半数をもって、合資会社においては無限責任社員の過半数をもって、それぞれ決定しなければならない。
オ 合同会社においては、事業年度ごとに貸借対照表を公告する必要があるが、合名会社及び合資会社においてはその必要はない。
1 アウ 2 アエ 3 イウ 4 イオ 5 エオ
【感想】
持分会社のシンプルな問題。明らかに午後の部の商業登記法の択一問題の方が難解でした。
【考察】
肢アは、法人が持分会社の社員になることについて制限はないので、たとえ無限責任社員になるとしてもOK。したがって×。
肢イは、有限責任社員しかいない合同会社においては、資本金の額というのは、債権者にとっての頼みの綱だけども(627Ⅰ)、合名・合資の場合には、無限責任社員が責任を負えるので債権者保護手続きが無い。したがって、○。
肢ウは、原則として持分会社の社員の持分を譲渡するには他の社員全員の同意を要するが、①業務を執行しない有限責任社員の持分の譲渡については、②業務執行社員の全員の同意で足る(585Ⅲ)。したがって○。
肢エは、業務執行社員が2人以上いる場合、定款の定めがないかぎり業務執行社員の過半数によって業務執行を決定するけども、支配人の選任については、定款の定めがないかぎり、「社員の過半数の決議」による(591Ⅱ)。これは、持分会社共通なので×。
肢オは、持分会社には最終の貸借対照表の公告義務はない。作成義務があるのみ(617Ⅰ)で、合名・合同・合資において差異はない。したがって×。
正解は、3です。
【条文】
(債権者の異議)
第六百二十七条 合同会社が資本金の額を減少する場合には、当該合同会社の債権者は、当該合同会社に対し、資本金の額の減少について異議を述べることができる。
2 前項に規定する場合には、合同会社は、次に掲げる事項を官報に公告し、かつ、知れている債権者には、各別にこれを催告しなければならない。ただし、第二号の期間は、一箇月を下ることができない。
一 当該資本金の額の減少の内容
二 債権者が一定の期間内に異議を述べることができる旨
3 前項の規定にかかわらず、合同会社が同項の規定による公告を、官報のほか、第九百三十九条第一項の規定による定款の定めに従い、同項第二号又は第三号に掲げる公告方法によりするときは、前項の規定による各別の催告は、することを要しない。
4 債権者が第二項第二号の期間内に異議を述べなかったときは、当該債権者は、当該資本金の額の減少について承認をしたものとみなす。
5 債権者が第二項第二号の期間内に異議を述べたときは、合同会社は、当該債権者に対し、弁済し、若しくは相当の担保を提供し、又は当該債権者に弁済を受けさせることを目的として信託会社等に相当の財産を信託しなければならない。ただし、当該資本金の額の減少をしても当該債権者を害するおそれがないときは、この限りでない。
6 資本金の額の減少は、前各項の手続が終了した日に、その効力を生ずる。
(持分の譲渡)
第五百八十五条 社員は、他の社員の全員の承諾がなければ、その持分の全部又は一部を他人に譲渡することができない。
2 前項の規定にかかわらず、業務を執行しない有限責任社員は、業務を執行する社員の全員の承諾があるときは、その持分の全部又は一部を他人に譲渡することができる。
3 第六百三十七条の規定にかかわらず、業務を執行しない有限責任社員の持分の譲渡に伴い定款の変更を生ずるときは、その持分の譲渡による定款の変更は、業務を執行する社員の全員の同意によってすることができる。
4 前三項の規定は、定款で別段の定めをすることを妨げない。
(業務を執行する社員を定款で定めた場合)
第五百九十一条 業務を執行する社員を定款で定めた場合において、業務を執行する社員が二人以上あるときは、持分会社の業務は、定款に別段の定めがある場合を除き、業務を執行する社員の過半数をもって決定する。この場合における前条第三項の規定の適用については、同項中「社員」とあるのは、「業務を執行する社員」とする。
2 前項の規定にかかわらず、同項に規定する場合には、支配人の選任及び解任は、社員の過半数をもって決定する。ただし、定款で別段の定めをすることを妨げない。
3 業務を執行する社員を定款で定めた場合において、その業務を執行する社員の全員が退社したときは、当該定款の定めは、その効力を失う。
4 業務を執行する社員を定款で定めた場合には、その業務を執行する社員は、正当な事由がなければ、辞任することができない。
5 前項の業務を執行する社員は、正当な事由がある場合に限り、他の社員の一致によって解任することができる。
6 前二項の規定は、定款で別段の定めをすることを妨げない。
(計算書類の作成及び保存)
第六百十七条 持分会社は、法務省令で定めるところにより、その成立の日における貸借対照表を作成しなければならない。
2 持分会社は、法務省令で定めるところにより、各事業年度に係る計算書類(貸借対照表その他持分会社の財産の状況を示すために必要かつ適切なものとして法務省令で定めるものをいう。以下この章において同じ。)を作成しなければならない。
3 計算書類は、電磁的記録をもって作成することができる。
4 持分会社は、計算書類を作成した時から十年間、これを保存しなければならない。
第28問から第35問までの試験問題については、問題文に明記されている場合を除き、定款に法令の規定と異なる別段の定めがないものとして、解答すること。
第35問
持分会社に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうちどれか。
ア 法人は、合同会社の社員になることができるが、合名会社及び合資会社の無限責任社員になることはできない。
イ 合名会社及び合資会社が資本金の額を減少する場合にはそれらの債権者は異議を述べることができないが、合名会社が資本金の額を減少する場合には、その債権者は異議を述べることができる。
ウ 業務を執行しない有限責任社員は、業務を執行する社員の全員の承諾があるときは、その持分の全部又は一部を他人に譲渡することができる。
エ 業務を執行する社員を定款で定めた場合であっても、支配人の選任及び解任は、合名会社及び合同会社においては総社員の過半数をもって、合資会社においては無限責任社員の過半数をもって、それぞれ決定しなければならない。
オ 合同会社においては、事業年度ごとに貸借対照表を公告する必要があるが、合名会社及び合資会社においてはその必要はない。
1 アウ 2 アエ 3 イウ 4 イオ 5 エオ
【感想】
持分会社のシンプルな問題。明らかに午後の部の商業登記法の択一問題の方が難解でした。
【考察】
肢アは、法人が持分会社の社員になることについて制限はないので、たとえ無限責任社員になるとしてもOK。したがって×。
肢イは、有限責任社員しかいない合同会社においては、資本金の額というのは、債権者にとっての頼みの綱だけども(627Ⅰ)、合名・合資の場合には、無限責任社員が責任を負えるので債権者保護手続きが無い。したがって、○。
肢ウは、原則として持分会社の社員の持分を譲渡するには他の社員全員の同意を要するが、①業務を執行しない有限責任社員の持分の譲渡については、②業務執行社員の全員の同意で足る(585Ⅲ)。したがって○。
肢エは、業務執行社員が2人以上いる場合、定款の定めがないかぎり業務執行社員の過半数によって業務執行を決定するけども、支配人の選任については、定款の定めがないかぎり、「社員の過半数の決議」による(591Ⅱ)。これは、持分会社共通なので×。
肢オは、持分会社には最終の貸借対照表の公告義務はない。作成義務があるのみ(617Ⅰ)で、合名・合同・合資において差異はない。したがって×。
正解は、3です。
【条文】
(債権者の異議)
第六百二十七条 合同会社が資本金の額を減少する場合には、当該合同会社の債権者は、当該合同会社に対し、資本金の額の減少について異議を述べることができる。
2 前項に規定する場合には、合同会社は、次に掲げる事項を官報に公告し、かつ、知れている債権者には、各別にこれを催告しなければならない。ただし、第二号の期間は、一箇月を下ることができない。
一 当該資本金の額の減少の内容
二 債権者が一定の期間内に異議を述べることができる旨
3 前項の規定にかかわらず、合同会社が同項の規定による公告を、官報のほか、第九百三十九条第一項の規定による定款の定めに従い、同項第二号又は第三号に掲げる公告方法によりするときは、前項の規定による各別の催告は、することを要しない。
4 債権者が第二項第二号の期間内に異議を述べなかったときは、当該債権者は、当該資本金の額の減少について承認をしたものとみなす。
5 債権者が第二項第二号の期間内に異議を述べたときは、合同会社は、当該債権者に対し、弁済し、若しくは相当の担保を提供し、又は当該債権者に弁済を受けさせることを目的として信託会社等に相当の財産を信託しなければならない。ただし、当該資本金の額の減少をしても当該債権者を害するおそれがないときは、この限りでない。
6 資本金の額の減少は、前各項の手続が終了した日に、その効力を生ずる。
(持分の譲渡)
第五百八十五条 社員は、他の社員の全員の承諾がなければ、その持分の全部又は一部を他人に譲渡することができない。
2 前項の規定にかかわらず、業務を執行しない有限責任社員は、業務を執行する社員の全員の承諾があるときは、その持分の全部又は一部を他人に譲渡することができる。
3 第六百三十七条の規定にかかわらず、業務を執行しない有限責任社員の持分の譲渡に伴い定款の変更を生ずるときは、その持分の譲渡による定款の変更は、業務を執行する社員の全員の同意によってすることができる。
4 前三項の規定は、定款で別段の定めをすることを妨げない。
(業務を執行する社員を定款で定めた場合)
第五百九十一条 業務を執行する社員を定款で定めた場合において、業務を執行する社員が二人以上あるときは、持分会社の業務は、定款に別段の定めがある場合を除き、業務を執行する社員の過半数をもって決定する。この場合における前条第三項の規定の適用については、同項中「社員」とあるのは、「業務を執行する社員」とする。
2 前項の規定にかかわらず、同項に規定する場合には、支配人の選任及び解任は、社員の過半数をもって決定する。ただし、定款で別段の定めをすることを妨げない。
3 業務を執行する社員を定款で定めた場合において、その業務を執行する社員の全員が退社したときは、当該定款の定めは、その効力を失う。
4 業務を執行する社員を定款で定めた場合には、その業務を執行する社員は、正当な事由がなければ、辞任することができない。
5 前項の業務を執行する社員は、正当な事由がある場合に限り、他の社員の一致によって解任することができる。
6 前二項の規定は、定款で別段の定めをすることを妨げない。
(計算書類の作成及び保存)
第六百十七条 持分会社は、法務省令で定めるところにより、その成立の日における貸借対照表を作成しなければならない。
2 持分会社は、法務省令で定めるところにより、各事業年度に係る計算書類(貸借対照表その他持分会社の財産の状況を示すために必要かつ適切なものとして法務省令で定めるものをいう。以下この章において同じ。)を作成しなければならない。
3 計算書類は、電磁的記録をもって作成することができる。
4 持分会社は、計算書類を作成した時から十年間、これを保存しなければならない。