超短編小説おじいのつぶやき

&おばあのすっとぼけ

ドイツ③

2008-10-31 | 超短編小説おじいのつぶやき
 ・ドイツ③


 おばあはおじいにからかわれています。

おばあ「はあったく、ひでえお父さんだなあ。もし
    ほんとに『はあ』がダメだっつうんなら、
    私にとっては死活問題になるでしょーが!」

おじい「んな、大げさだな。どっちみち、ここは
    日本なんだし。気にすること、ねえだんべや」

おばあ「でも外国じゃダメだっつわれると、少し
    気になるっつう話をしたばっかりだんべや」

おじい「ん、そうか。おめえ、意外と神経質だな」

おばあ「はあそうさあ! 私はけっこう繊細なんさ!
    だから、ブータンじゃ『はあ』っつっちゃ
    ダメっつうのはウソだとしても、ドイツじゃ
    鼻を鳴らしちゃ下品、って教えられただけで、
    鼻を鳴らすのがちっと気になっちまうんさ! 
    ……ん? なんかまた鼻がムズムズすらあ。
    (スンスン! スーンスンスン、スーンスン! 
    ブピッ!)」

おじい「……………………」

 おばあは鼻を鳴らしました。


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ドイツ②

2008-10-30 | 超短編小説おじいのつぶやき
 ・ドイツ②


 おじいが、ドイツでは、鼻を鳴らすことは下品
だとみなされるという話をしています。

おばあ「はあ日本ではだれもなんにも思わねえんにな」

おじい「ん、そうだな。べつに、そんなに気に
    しねえやな」

おばあ「はあでもよお。他の国で下品て言われると、
    日本にいてもなんとなく、やりづれえような
    気がすんなあ」

おじい「そういえば、おめえの口癖は『はあ』だけど。
    ブータンでは、しゃべりだすときに『はあ』
    って言うと、ものすごく失礼と見なされる
    らしいぞ」

おばあ「えっ!! ……ほ、ほんとか?」

おじい「いや、うそ」

おばあ「……へ? ……くっ! 人を、かつぎ
    やがったな!」

おじい「ふっふっ……ふーっふっふっふっふっふっふーッ!」

おばあ「……………………」

 裏おじいです。


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ドイツ①

2008-10-29 | 超短編小説おじいのつぶやき
 ・ドイツ①


 おばあが鼻をすすっています。

おばあ「(スンスン、スン……)ああ、なんだか鼻が
    ムズムズすらあ」

おじい「ん、急に、寒くなったからな」

おばあ「いつも、ちり紙もち歩かねえとだな」

おじい「そうだな。でも、ドイツに行ったら、
    鼻はすすっちゃいけねえぞ」

おばあ「へ? ドイツ? なんで?」

おじい「なんでも、ドイツでは、鼻をすすることは
    ものすごく下品と思われるらしいかんな」

おばあ「へえっ、そうなんか?」

おじい「らしいぞ。国によって、いろいろあんだな」

おばあ「はあそうだなあ。でも、やっちゃいけねえっ
    つうんなら、その国にあわせるべきだいな、
    基本的にはな」

おじい「ん、まあな。……でも、よお」

おばあ「なに?」

おじい「やるなっつわれると、かえって、やりたくなる
    つうことも、あらあな」

おばあ「……へ?」

おじい「ふっふっふ……ふっふっふっふ……!」

おばあ「……………………」

 裏おじいです。

 
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オリーブオイル

2008-10-28 | 超短編小説おじいのつぶやき
 ・オリーブオイル


 おばあが電話をしています。相手は友人のようです。

おばあ「うん、そう。今な、料理してるとこさ。
    ジャガイモつぶして、丸めてオリーブオイル
    で焼こうかと思って。うん、そう。
    オリーブオイル。健康にいいっつうだろ、
    オリーブオイルは。オリーブオイルで
    焼くんさ、フライパンでな。オリーブオイル
    ひいて、焼いて、しょう油かけて味付ける
    んさ。オリーブオイルで焼いたやつに
    かけてな。オリーブオイルで焼いたやつに。
    うん、そう、オリーブオイルな、オリーブ
    オイル。オリーブオイル。オリーブオイル!」

おじい(……「オリーブオイル」って、言いてえ
    だけだろ)

 最近覚えた単語です。


 ~Thank you for reading.~

先読み④

2008-10-27 | 超短編小説おじいのつぶやき
 ・先読み④完


 おばあはおじいの心を先読みしようとして、
逆に失敗しています。

おじい「ったく。食いてえっつってねえときには
    皿によそるし、いざ食おうとしたらもう
    食っちまったっつうし。本当に、あべこべ
    なことをしやがるなあ」

おばあ「はあでも惜しかったな! 今のはあべこうじ
    ぐれえ惜しかったい!」

おじい「??? 惜しい? なにがだ? え? 
    あべこうじ? 誰だ?」

おばあ「はあ惜しいでしょーが、あべこうじ!」

おじい「???」

おばあ「腕はあんのにな!」

おじい「???」

 おじいは煙に巻かれています。


 ~Thank you for reading.~

先読み③

2008-10-26 | 超短編小説おじいのつぶやき
 ・先読み③


 おばあはおじいの気持ちを先読みしようとしましたが、
逆に、「相手の気持ちを先読みしよう」という雑誌記事を
見ていたことを見抜かれてしまいました。

おばあ「くっ……! ミイラ取りがミイラになるとは
    このことか……!」

おじい「ま、おめえが人の気持ちを先読みするなんて、
    無理だと思うぞ。……お、もうこんな時間か。
    畑にでも、行ってくっかな」

 そう言うとおじいは出かけます。
しばらくして帰ってきました。

おばあ「ああ、お父さん。お帰り~」

おじい「ん、ああ。……ああ、体動かして、疲れ
    ちまったい。どら、さっきのアイス、
    もらうかな」

おばあ「へ? もう食っちまったぞ」

おじい「……………………」

 いつものパターンです。


 ~Thank you for reading.~

先読み②

2008-10-25 | 超短編小説おじいのつぶやき
 ・先読み②


 おじいがまだアイスはあるかと聞くと、おばあは
気をきかせて皿によそって持ってきました。しかし、
おじいは別にアイスが食べたいわけではありません
でした。

おばあ「はあったく。人が、せっかく持ってきて
    やったんに文句言うなんて。バチが当たるで。
    いよ。バチが!」

おじい「んな、あたりゃしねえよ。ったく。なんで、
    普段は気なんかきかせねえくせに、こういう
    時だけ張り切るんかな。その、おめえが
    さっきまで読んでた雑誌になんかが書いて
    あって、それをさっそく実践してみた、
    なんてこたあねえだろな」

おばあ「うっ……! そ、そそそ、そんなことねえよ!」

おじい「む、なんちゅうわかりやすくアヤシイ反応。
    どら、ちっと、見せてみろ」

おばあ「い、いい、い、いや、いいって! 見なくて
    いいって! う、うう、う、うわ~~~!」

――グジャグジャグジャ~!

おじい「……なんで、雑誌の記事を破り捨てるん。
    ふつう、そこまでするか……?」

おばあ「はあ、はあ……ほれ、これで、見ていいぞ」

おじい「……………………」

 おじいは雑誌を手に取り表紙をめくります。

おじい「ははあ。ここ、読んだろ。
    『特集! プロファイリングで夫婦円満! 
    相手の気持ちを先読みしよう!』」

おばあ「ぎっくう! な、なんで分かったん!」

おじい「も・く・じ!」

 頭脳戦です。


 ~Thank you for reading.~

先読み①

2008-10-24 | 超短編小説おじいのつぶやき
 ・先読み①


 おじいが新聞を読んでいます。おばあは雑誌を
読んでいます。

おばあ「ほう。ほうほう。ほーうほうほう、ほーうほう!」

おじい「ったく、うるせえな。読むなら、静かに
    読めや」

おばあ「だって、おもしれえ記事なんだもの。
    でもなんか、雑誌読んでたら小腹がすいて
    きたな。なんかつまむかな」

おじい「……あ、そういえば。アイス、まだあったかな。
    あの、ファミリーサイズの、でっけえやつ」

おばあ「え? アイス?」

 おばあは立ち上がり台所へ行きます。
 しばらくして、アイスを小皿によそって戻って
きました。

おばあ「ほれ。アイス。食いな」

おじい「え? なんで、皿によそって持って来るん」

おばあ「だって、アイス食うって言ったでしょーが」

おじい「言ってねえよ。あるかどうか、聞いただけ
    だんべや」

おばあ「はあ~!? なに、その言い草は! じゃあ
    食いてえなんて言わねえで、アイスまだ
    あったか? って聞きゃいいでしょーが!」

おじい「……………………」

 おじいは証拠VTRを欲しています。


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風邪⑤

2008-10-23 | 超短編小説おじいのつぶやき
 ・風邪⑤完


 おじいが風邪をひいたので、おばあは先日から
食べたかったおすしの出前をとることにしました。

おばあ「はあ、早くこねえかな、寿司」

おじい「おめえ、楽しそうだな」

おばあ「はあ楽しくなんかねえよ! お父さんが
    風邪をひいたんだもの。ただ、寿司が
    くるのを今か今かとウキウキわくわく
    待ってるだけさ!」

おじい「そいうんを、楽しそうって言うんだ。……
    はあっくしょん!」

おばあ「あれあれ、でっけえくしゃみして。
    だいじょうぶか? 寿司食ったら薬
    飲んで寝ろ、はあ」

おじい「ん~、そうだな。……む、くしゃみしたら、
    鼻水が出た。ティッシュ、ティッシュ……
    (ブピ~……!)」

おばあ「……はぁ」

おじい「??? なんだ? 人が鼻かむとこ見て、
    深いため息、ついて」

おばあ「いや。鼻をかむおとうさんを見てたら
    思っただ。ウチにいるのはハンカチ王子
    ならぬ、鼻水オジイ、か、ってね……」

おじい「……………………」

 おじいは侮辱されています。


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風邪④

2008-10-22 | 超短編小説おじいのつぶやき
 ・風邪④


 おじいが風邪をひきました。

おばあ「いいからアイスノンしろ、ほれ。冷たくって
    きもちいいから!」

おじい「いやいや、いいってのに、そんな、大げさ
    にしなくったって」

おばあ「いやいやいやいや、風邪はひき始めが肝心
    だから! はあ、夕飯どうすっか。なんか
    うめえもん食いてえだろ。寿司でもとるか? 
    せっかくめずらしく風邪ひいたんだから、
    普段はとらねえ『握りスペシャル二人前
    バージョン』でもとっちまうか!」

おじい「いや、いいっつうんに。そんな、ぜいたく
    しなくとも」

おばあ「はあいいから! だって、私はおととい
    から寿司が食いたかったんだもの!
    さっ、寿司屋に出前の電話しよっと。
    ♪るるらるら~」

おじい「……………………」

 楽しそうです。


 ~Thank you for reading.~

風邪③

2008-10-21 | 超短編小説おじいのつぶやき
 ・風邪③


 おじいが風邪をひきました。

おばあ「ほれ、早く寝ろ。少し熱もあるんだろ?
    アイスノンノ、使うか?」

おじい「アイスノン、だろ。一見おしゃれめいた
    ようなボケ、かますなや」

おばあ「いいから。頭、冷やしたほうがいいだろが。
    なんならあたまカッキーン! って凍らすか? 
    って、んなわけねえですね。……あははー!」

おじい「……………………」

 おばあはハイになっています。


 ~Thank you for reading.~

風邪②

2008-10-20 | 超短編小説おじいのつぶやき
 ・風邪②


 おじいが風邪をひきました。

おばあ「ほれ、寝ろ。布団しいてやったから」

おじい「んん? いや、ちっとだるくって、鼻が
    むずむずすっけど。そんな、大したことは
    ねえぞ」

おばあ「いーやいやいやいやいやいやいや! 風邪は
    万病のもと! たかが風邪だっつって油断
    して、大風邪ひいたらどうするん!」

おじい「??? 大風邪? なんだそりゃ」

おばあ「はあ、すげえ風邪のことさ。まっ、要するに、
    そよ風と台風の関係みてえなもんだな!」

おじい「……………………」

 オリジナルの言葉を解説しています。


 ~Thank you for reading.~

風邪①

2008-10-19 | 超短編小説おじいのつぶやき
 ・風邪①


 おばあがテレビを見ていると、おじいが外から
帰ってきました。

おばあ「ああ、お父さん。お帰り」

おじい「ん、ああ。……ひあっくしゅん!」

おばあ「あれあれ、どうしたん。風邪か?」

おじい「ん。なんか、だるいや」

おばあ「ふうん、めずらしいこともあるもんだな。
    馬鹿となんとかは風邪ひかねえって言う
    のにな」

おじい「……………………」

 そのものズバリを言っています。


 ~Thank you for reading.~

栗⑩

2008-10-18 | 超短編小説おじいのつぶやき
 ・栗⑩完


 おばあはゆってぃに会いたいがために、ゆってぃに
栗をあげると宣言しました。

おばあ「ゆってぃに栗をあげるだ~るだ~るだ~……!」

おじい(……あほくさ……)

おばあ「……………………」

おじい「……………………」

おばあ「……はあ、今度はだれも来ねえな」

おじい「そりゃそうだろ。栗くれようとしただけで、
    誰もがくるわけがねえじゃねえか」

おばあ「なに? 『そりゃそうだろ』、だって!?
    はあもういっぺん言ってみろ!」

おじい「??? なに、そんな、怒ってるん」

おばあ「はいはい! お父さんは、なんでも知ってて
    えらいこと!」

おじい「んな、怒るなっつうに!」

おばあ「はあ別に怒っちゃいねえでしょ! でもな、
    そんなに最初っからなんでもわかってるん
    ならな! 『海外にいるようなんはやめとけや、
    来るのが大変だからな』だとか言って、
    来ること前提の注意をするんじゃねえや!」

おじい「……………………」

 おばあはゆってぃに会えなかったのでスネています。


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栗⑨

2008-10-17 | 超短編小説おじいのつぶやき
 ・栗⑨


 おばあは今会いたい人=栗をあげる人に
ゆってぃを選びました。

おじい「だれだ? その、『ぱんぱかぱーんゆってぃ』
    ってのは?」

おばあ「『ぱんぱかぱーんゆってぃ』じゃねえよ。
    ゆってぃっつったの、ゆってぃって!」

おじい「ああ、そう。で、だれだそれ?」

おばあ「はあそんなんゆってぃが来ればわかる
    ことさ! よーしじゃあ宣言するぞ! 
    私は今からゆってぃに、栗をあげるだ~
    あげるだ~るだ~るだ~るだ~……!」

 自分でエコーをかけています。


 ~Thank you for reading.~