超短編小説おじいのつぶやき

&おばあのすっとぼけ

ギター侍の批評(超短編小説おじいのつぶやき)

2005-03-30 | 超短編小説おじいのつぶやき
・ ギター侍の批評(超短編小説おじいのつぶやき)



 テレビを見ています。ギター侍が出ています。


おばあ「……この男は、このごろ、ダメだな」

おじい「そうか? たくさん、テレビに出て、えれえじゃねえか。
    やってることも、前と、変わんねえし。ギター、抱えて……」

おばあ「いいや、変わった! 前はもっと、『言うじゃない』が
    色っぽかったで! このごろ、アッサリ言い過ぎだで!」

おじい「…………そうかや」


 変わった批評です。




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きよしファン(超短編小説おじいのつぶやき)

2005-03-28 | 超短編小説おじいのつぶやき
・ きよしファン(超短編小説おじいのつぶやき)



 まゆみがラップを聴いています。近ごろ人気のグループです。


おばあ「はあ、昔の歌はそんなんじゃなくて、ちゃあんとどんな文句
    言ってんのか、分かったもんだけどなあ」

まゆみ「そうなの?」

おばあ「そうだで。最近の歌は、がちゃがちゃしてて、何言ってる
    のか、はあ、ちっとも分からねえや」

まゆみ「そう? 演歌とかも?」

おばあ「演歌は、分かるで。演歌はいいやな。氷川きよしとか……」

まゆみ「え~っ、そうかなあ。私、演歌を聴いてても、歌詞がわか
    らないこと、あるけどなあ」


 まゆみがそう、言いますと。


おばあ「……まゆみ。それはまさか、氷川きよしの悪口を、言ってい
    るんじゃあ、ねえだんべえな?」



 目が据わっています。




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むずかしい年頃(超短編小説おじいのつぶやき)

2005-03-22 | 超短編小説おじいのつぶやき
・ むずかしい年頃(超短編小説おじいのつぶやき)



 みつことまゆみが来ています。テレビでは、ジュースのCMが
流れています。美人でスタイル抜群の女の子が、リズムに乗って、
踊ります。


おばあ「はあ、やっぱりわけえもんは、きれいだで」

おじい「んなことは、ねえだんべや」


 おじいが湯飲みを置きながら、おばあの顔を見つめます。


おじい「今、映った、テレビのむすめっ子が、きれいなだけで、
    若くったって、きったねえのも、いるだんべえや」

おばあ「そうかい? わけえってだけで、肌がつるつるで、きれい
    だと思うけどなあ」


 しかしおじいは譲りません。


おじい「おめえ、肌がきれいったって、顔がきたなけりゃ、きれい
    とは、言わねえで」

みつこ「……………………。」

まゆみ「……………………。」

おじい「なあ、みつこ」

みつこ「えっ? わ、わたしですか? ……うーん」


 義娘のみつこはなんとなく、横のまゆみを「チラッ」と見ます。


まゆみ「……………………。」


 まゆみは無表情でテレビの画面を眺めています。


みつこ「あはは、まあ、テレビに出るような子は、キレイですよね。
    ……あっ、このタクアン、おいし~い!」

おばあ「だろ? はあちっといい材料、使っただからな」

みつこ「そうなんですか~。あっお義父さん、お茶、もっと飲みますう?」


 むずかしい年頃の娘の手前、話題を変えるのに必死です。




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花粉症の対策案(超短編小説おじいのつぶやき)

2005-03-21 | 超短編小説おじいのつぶやき
・ 花粉症の対策案(超短編小説おじいのつぶやき)



 ニュースを見ています。今年の花粉量の多さについて説明してい
ます。


おばあ「はあ、去年の30倍だって。そりゃ、まゆも花粉症になら
    あな」

おじい「花粉なんて、目に、見えねえだもの。やっかいだいな」

おばあ「まゆは、部屋の窓なんか開けちゃダメだで。ぴっちり閉め
    切っておかねえと。どうせ一晩中、窓をあけっぱなしにして、
    グースカ寝てるんじゃねえんか」


 それを聞いて、おじいは顔をしかめます。


おじい「まゆは、そんなにだらしなく、なかんべや。おめえの、
    手伝いだって、ちゃんと、やるじゃねえか」

おばあ「ああ、そうか」


 おじいとおばあはお茶を一口ずつすすりました。


おばあ「まったく鼻水ばっかりたらしてなあ。あれじゃ、男にモテ
    ねえで。外なんか出ねえほうがいいんに、どうせウロウロ
    ほっつきあるってばっかりいるんだんべえや。花粉がおさ
    まるまで家ん中ではあ、じっとしてりゃいいんに」


 それを聞いて、おじいは顔をしかめます。


おじい「んなこと言ったっておめえ、まゆは、学校が、あるだんべや。
    いやでも、外へ出るで」

おばあ「ああ、そうか。……まあ、まゆは、いい子だいな~」


 けなすもほめるも適当です。




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花粉症(超短編小説おじいのつぶやき)

2005-03-21 | 超短編小説おじいのつぶやき
・ 花粉症(超短編小説おじいのつぶやき)



 義娘のみつこと孫のまゆみが来ています。


みつこ「この子ったら花粉症になっちゃって。今、ドラッグストアに
    行ってきたところなんですよ」


 言いながらみつこはマスクの束と、目の洗浄液のボトルを見せま
した。


まゆみ「ヒァックシュン! ……あ~、もうヤダ~」


おじい「まゆ。やだったってはあ、なっちまったもんは、しょうが
    ねえで。マスクやら、薬やらで、だましだまし、やるしか
    ねえんさ」

おばあ「そうだで。いろいろ母ちゃんに買ってもらったんだから、
    ちゃんと、お礼、言っとけや」

まゆみ「グズッ……はあい」


 おばあは、目の洗浄液(500ml入り)のボトルを手に取りました。


おばあ「こりゃまたずいぶんでっけえなあ。こういうんもはあ、けっ
    こうするんだろ?」

みつこ「うーん? そうでもないですけどねえ」

おばあ「そうかや? だってちっちぇえんでも、1000円ぐらい、
    するんじゃねえん?」

みつこ「えっ? いえ、それで600円くらいですよ」


 おばあは目を丸くしておどろきます。


おばあ「そんなに安いんかい! へえっ……そりゃ、たまげたなあ!」


 どうやら目の洗浄剤を、目薬と思っているようです。





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涙の女王(超短編小説おじいのつぶやき)

2005-03-20 | 超短編小説おじいのつぶやき
・ 涙の女王(超短編小説おじいのつぶやき)



 韓国ドラマを見ています。


おじい「このやろうも、かわいそうな、やろうだで……」

おばあ「……………………。」

おじい「てめえの、命を、捨てて、なあ……」

おばあ「……………………。」

おじい「まあ、そいだけ、この娘のことが……」


 言いながら、おじいがおばあを見ると。


おばあ「はあ、ちっと……グズッ……黙ってて……グズッ……
    くんねえかなあ? ……ブビーッ!(鼻をかむ音)」


 「涙のおばあ」の誕生です。




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株騒動(超短編小説おじいのつぶやき)

2005-03-12 | 超短編小説おじいのつぶやき
・ 株騒動(超短編小説おじいのつぶやき)



 テレビでニュースを見ています。


まゆみ「ねえ、この人すごくなーい? まだ若いのにさあ、野球チ
    ーム買おうとしたりして」

おじい「ああ、そうだな、まだわけえんに、てえしたもんだいな」

まゆみ「今度は株をいっぱい買っちゃうしさー。話題をさらいまく
    りだよね!」

おじい「そうだいなあ。なかなか、こういうのは、いねえやな」


 そこへ、おばあが入ってきました。


まゆみ「ねえねえ、おばあちゃんも、この人すごいと思わない?」


 おばあはチラッと画面を見て、湯飲みを並べ始めました。


まゆみ「ねえってば。おばあちゃんもこの人すごいと思うでしょ?」

おばあ「……まあ、やり手だな。ほれ、お茶、入れるでえ」


 一言で評しました。




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とっておきの冗談(超短編小説おじいのつぶやき)

2005-03-10 | 超短編小説おじいのつぶやき
・ とっておきの冗談(超短編小説おじいのつぶやき)



 今日は、村民祭の関係者の話し合いがあります。


おばあ「どら、あみだが当たっちまったから、行って来るべえ」


 おじいが、新聞から顔をあげました。


おじい「ああいうんは、だれも、なんにも、しゃべらねえで、なあ
    んも、決まらねえで、話が、長引くんじゃねえんか?」


 それを聞いて、おばあはニヤリとします。


おばあ「だいじょうぶだ。万が一、みんなが黙りこくったときのた
    めに、とっておきの冗談を考えてあんだから!」

おじい「ああ、そう」

                 ・
                 ・
                 ・

 さて、公民館で、話し合いが始まりました。


村役員「……ほれ、だれもなんにもしゃべらねえんじゃ、いつまで
    たっても、なんも決まらねえで!」


 おじいの心配どおり、話は一向にすすみません。そこでおばあは、
こんな時のために用意しておいた、とっておきの冗談を言うことに
しました。


おばあ「ほれみんな、ちゃんと、自分の意見を言わねえとダメだで!
    いつまでも、黙りこくってねえでしゃべれや、『ウンとかスン
    とかソンスンホンとか!』」

みんな「………………………………。」


 スベりました。



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あみだくじ(超短編小説おじいのつぶやき)

2005-03-09 | 超短編小説おじいのつぶやき
・ あみだくじ(超短編小説おじいのつぶやき)



 用事があり、村の公民館へやってきました。


おばあ「あれえ、なんだ、これ?」


 ホワイトボードに「村民祭」と書いてあり、その下に、あみだ
くじの表がはってあります。


おばあ「祭に、なんかくれるんか? どら、名前、書いておくべ」


 おばあは一番に名前を書き込み、その下に、「当たりますように」と
小さく書きました。


 そこへ、村役員がやってきました。


村役員「あれっ、もう名前、書いただか。はええな」

おばあ「ああ。当たったら、何くれるん?」


 おばあがウキウキと聞きますと。村役員は、怪訝そうな顔をします。


村役員「何を、くれるかって? それは、祭んときに、役員を手伝って
    くれる人を決めるあみだくじだ。まあ缶ジュースの1本くらい、
    出るんじゃねえんか」

おばあ「……ああ、そう」


 ガッカリです。




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コンビ名(超短編小説おじいのつぶやき)

2005-03-06 | 超短編小説おじいのつぶやき
・ コンビ名(超短編小説おじいのつぶやき)



 テレビのお笑い番組を見ています。


おばあ「この男たちは、最近よく出てるなあ」

おじい「今が、いちばん、いい時だや」

おばあ「見ろ、司会やってえれえや。この、『シュークリーム』は」

おじい「……『シュークリーム』じゃ、なかんべや。なんか、もっと、
    ちがう名前じゃねえんか?」

おばあ「あれえ、そうだっけか? シュークリーム……クリーム……
    シュー……? ……私は、カレーみてえなんの、白いような
    料理の名前だった気がするなあ」

おじい「カレーの、白いん? それじゃあ、俺には、わからねえや」

おばあ「うーん。……『生クリーム』」

おじい「そんな、あめえようなんじゃ、ねえだんべや」

おばあ「ああ、そうか。……もう! いっそ、『シュークリーム』に
    しちまえばいいんに!」


 ムチャクチャです。




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