・お菓子
おじいがあられをつまんでいます。
おばあ「お? お菓子か。うまそうだな」
おじい「ん、ああ」
おばあ「ひとつ、くれや」
おじい「ああ。もうあんましねえけど、ほれ」
おばあは袋を受け取り、中から一個つまみます。
おばあ「いただきまーす。……あっ!」
――ポロリッ……
あられが床に落ちました。
おばあ「ああっ、なんてこった! しょうがねえ、
洗って食うか」
おじい「いや、しょうがねえよ。ほこりまみれだし、
ちがうの食えや」
おばあ「しかし……もともと一個だけ食うつもり
だったんに。二個減らすことになっちまう。
そうすっと倍だな。もったいねえなあ」
おじい(また、なんかヘンなこと言い出したぞ……)
おばあ「二個減らして一個しか食えねえんじゃ、
損失率50%だな。しかし、十個減らして
一個だけ落としたんなら、損失率10%で
私の過失の度合いが小さくなる。てことはだ」
おじい「え? ま、まさか?」
おばあ「はあ……こうしてやる――――ッ!」
――ひょいパクひょいパクひょいパクひょいパク
ひょいパクひょいパクひょいパクひょいパク
ひょいパク!
おばあ「はあごっつぉさーん。これで落としたのは
減った内の十分の一個、私の損失率は
10%に収まりましたー!」
おじい「……俺の損失率は100%だ!」
ぜんぶ食われました。
~Thank you for reading.~
おじいがあられをつまんでいます。
おばあ「お? お菓子か。うまそうだな」
おじい「ん、ああ」
おばあ「ひとつ、くれや」
おじい「ああ。もうあんましねえけど、ほれ」
おばあは袋を受け取り、中から一個つまみます。
おばあ「いただきまーす。……あっ!」
――ポロリッ……
あられが床に落ちました。
おばあ「ああっ、なんてこった! しょうがねえ、
洗って食うか」
おじい「いや、しょうがねえよ。ほこりまみれだし、
ちがうの食えや」
おばあ「しかし……もともと一個だけ食うつもり
だったんに。二個減らすことになっちまう。
そうすっと倍だな。もったいねえなあ」
おじい(また、なんかヘンなこと言い出したぞ……)
おばあ「二個減らして一個しか食えねえんじゃ、
損失率50%だな。しかし、十個減らして
一個だけ落としたんなら、損失率10%で
私の過失の度合いが小さくなる。てことはだ」
おじい「え? ま、まさか?」
おばあ「はあ……こうしてやる――――ッ!」
――ひょいパクひょいパクひょいパクひょいパク
ひょいパクひょいパクひょいパクひょいパク
ひょいパク!
おばあ「はあごっつぉさーん。これで落としたのは
減った内の十分の一個、私の損失率は
10%に収まりましたー!」
おじい「……俺の損失率は100%だ!」
ぜんぶ食われました。
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