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酒のツマミになる話題をセッセセッセ。独断偏見は”味付け”です※文中の敬称は略。

小説「極ワル日大アメフト暗黒物語」《1》

2018-05-26 | 日記

元アマ横綱が理事長室をがに股で歩き回る。
まるでヒグマが折の中でイライラしているさまだ。
「おい、なんだ、あのザマは」
常務理事でアメフト部の監督、内田正人に野太い声で浴びせる。

「ハイ、申し訳ありません」
日大コンツエルンを牛耳る田中英寿理事長はイライラを隠せない。

「何とかしろ!」
亡くなった名物監督、篠竹幹夫と田中は親しい。
強豪の相撲部とアメフトの監督同士で気心は通じていた。

篠竹の可愛がっていた内田を、その縁で理事長は目に掛けていた。
職員として雇って、今は日大ナンバー2にまで引っ張り挙げた。

ところが、今回の事件だ。
こともあろうに、動画で殺人タックルのシーンが全国ネットのテレビで放映された。
甲子園ボウルを21度も制覇した名門の評価はがた落ちだ。
それどころか、大学だけで7万8000人。
中高大学など系列を含めれば12万余のブランドイメージは失墜している。

「あんな指示、お前がやったことなど、わかっとるわい。あれだけ公になる前に何とかならんかったのか」
「………」
「後手後手になるから、わしのとこまで、責任問題を持ってくるやつがおる。マスコミの馬鹿が、ワシを引っ張り出そうとしている。そもそも、アメフトだけの問題じゃろう」

「ハイ、何とかします」
「すぐに会見でもして、あの若造に傾いてる世論をぶっ壊せ」
「分かりました。徹底的に否定してきます。それで、静まる、と…」
「絶対にワシのところまで、及ぼすんじゃないぞ」

「ハイ、まさか、本人が顔出しして、実名までさらすとは、驚きました。今までは、就職やポジションを与えておけば、何とかごまかせたんですが…」
「だから、お前は甘いんだ!」

「とにかく、ここで、ああだ、こうだ、といってても、らちがいかん。場所を変えよう。その命令した、何とかいう、そう井上コーチも呼べ」

専用車を秘書に呼び出させた。
黒塗りのベンツが大学の駐車場から滑り出した。
首都高速で20分ほどの、阿佐ヶ谷駅近くのちゃんこ店「たなか」に着いた。

日大相撲部寮も近く、夫人に経営させている料亭だ。
いつも密談を重ねる2階の和室に揃った。

上座に田中、漆塗りの長方形の食台には、すでにちゃんこ料理とビール、焼酎のボトルが並んでいた。
向かいの席には、内田と井上コーチ、そして、その横には米倉広報室顧問。

米倉は共同通信論説委員長まで歴任した大物。
田中が現役時代から、マスコミ対応で信頼していた人物だ。
共同通信を定年後、すぐに日大で広報室の相談役として引っ張った。

実際、当時、日大名誉教授が闇の世界とのつながりが発覚した3年前は、米倉が貢献した。
マル暴から2000万円を借りて、返さなかった、というハレンチなもの。

米倉は釈明会見にも同席、見事に仕切った。
田中は、自らも山口組組長との2ショット写真が流出していた。
波及を避けるために名誉教授の会見に目をそらさせた。

アドバイスしたのは米倉で、田中は逃げ切った。
理事長に就任後も田中は米倉を重宝した。

今回はまさかのLB宮川泰介の赤裸々な真相告白。
内田らは慌てた。
窮地に陥ったことを受け、内田と井上の緊急会見を設定したのだ。

「ここは、米倉さんに仕切ってもらえ。いいか、内田。お前じゃ頼りない」
内田の横で正座する井上コーチの顔面は真っ青だ。

(続く)


モンスター3兄弟の長男!井上尚弥3階級制覇

2018-05-26 | 日記

スカっとした。
世の中のモヤモヤさえ切り裂いた。
バンタム級に階級を上げた井上尚弥が、強烈な1回TKOで王者を粉砕した。

試合前から心理戦を仕掛けてきた王者マクドネルを子供扱い。
生中継した世界を驚かせた。
これで間違いなく、本場アメリカのリングで金を稼げるボクサーに名乗りをあげた。
パッキャオになれる存在だ。



井岡一翔の18戦を抜く16戦目での3階級最短制覇の快挙が小さくさえ見える。
原田、海老原の時代は海外のリングでは辛酸をなめた。
リングが柔らかかったり、ロープがピンと張っていなかったり。
挙句は宿泊ホテルの隣室で大騒ぎし、寝かさなかったり。
ダウンさせたのに抱き起こしたり、カウントを取らなかったり、オーバーカウントしたり。
判定はもちろん、理不尽さが罷り通っていた。

それから比べれば、強さは強さを証明できる時代も井上に後押しする。
ボクシングファンは「日本史上最強では?」と胸躍らせる。
筆者も賛成する。
パンチ力だけなら藤猛。
防御だけなら川島堅司。
攻防一体のスピード、鋭さは間違いなく3本の指に入る。
黄金のバンタム級史の中でも出色。
エデル・ジョフレ、原田、海老原、長谷川、山中らをしのぐだろう。

大谷翔平、井上尚弥は世界に胸を張れるモンスターだ。

25歳の井上。
23歳の大谷翔平。
15歳の藤井聡太。

この3人はモンスター3兄弟の称号がふさわしい。
巨人、大鵬、玉子焼きは昭和の子供たちの三大好物だった。

この若者らは平成の生んだモンスター3兄弟だ。
※画像はカンテレから