環境の世紀

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WHO緊急招集・フェーズ4の恐れ

2009年04月25日 | 鳥/新型インフルエンザ

 春は、インフルエンザシーズンの終焉を意味していないことは昨年も今年も述べた。昨年は韓国での鳥インフルエンザの発生が報じられた。今年は・・・。昨年よりも深刻だ。なんと鳥ではなく、豚インフルエンザがヒトヒト感染をおこし、新型インフルエンザとなったのではないかと思われるのだ。多くの人が免疫を持たぬこの新型インフルエンザ情報が事実ならば、早急で厳格な対処が必要となってくる。25日の産経新聞によれば、

メキシコや米国で感染者が出た豚インフルエンザ。厚生労働省は25日、両国からの帰国者に対する検疫所での発熱やせきの有無に関する検査を強化。両国に渡航する旅行者らにインフルエンザへの注意を呼びかけるビラの配布を決め、同日夕には帰国者らを対象にした電話相談窓口(TEL03・3501・9031)も設置・・・現在のところ、ウイルスの特性や感染力などは不明で、厚労省は世界保健機関(WHO)などからの情報収集にあたる情報共有連絡室を設置、都道府県を通じて医療機関への情報提供も行う。検査態勢の強化は、同日朝にメキシコから成田に到着した便から実施。・・・今後、WHOが新型インフルエンザと判断すれば、行動計画に基づき対応する。厚労省は「どのくらいの感染力があるものかまだ分かっていない状態。正しい情報に基づいた冷静な対応をお願いしたい」と呼びかけて・・・農林水産省は豚インフルエンザの人への感染が広がったことから、生きた豚が輸入される場合には検査するよう全国の動物検疫所に通知・・・ 豚インフルエンザは通常、豚が感染しても死ぬ例は少ないため、家畜伝染病予防法で監視が必要な病気にはなっていない。農水省は「念のため予防的な措置をとった」(動物衛生課)と説明している。 豚肉の場合は、ウイルスが付着している可能性は極めて小さい。加熱処理によってウイルスが死滅するとして、今回の輸入時検査の対象にはしていない。・・・

と、日本では、極めて冷静?な対応である。まさか、連休があるからお休みモードに入っているのではないと思うが・・・。25日の西日本新聞によれば、様々な対応が見えてくる。

メキシコや米国での豚インフルエンザの集団感染を受け、佐賀県は25日午前、県庁で情報共有のための「新型インフルエンザ対策調整会議」を開催。同時に庁内に情報連絡室を設置・・・メキシコで豚インフルエンザの疑いがある患者数が1000人を超えていることや、米国で人から人への感染が確認されたことなどが報告された。・・・一方、福岡県は「今のところ情報収集をしている最中。厚生労働省から正式な報告があった段階で、緊急の会議を開催するなどして、対応・・・福岡空港検疫所支所は「厚生労働省の指示に従う」と・・・

佐賀県は、緊急会議を招集し、福岡県は、国から言われるまで何もしない。福岡空港検疫所も同様な対応のようだ。しかし、時事通信によれば、WHOが動き出した今現在でも、すでに対応は遅いかもしれない。なぜなら、メキシコで感染症が蔓延したのにアメリカへの情報提供がかなり遅れていたのだから。この間に両国はおろか、他国へウイルスが「飛行機」で運ばれてしまっているかもしれない。

・・・世界保健機関(WHO)は25日、メキシコと米国で人への豚インフルエンザ感染が確認されたのを受け、専門家から成る緊急委員会を開催する。感染の拡大防止策などについて協議する見通しだ。
 緊急委は、今回感染が広がっているウイルスについて、(1)新型かどうか(2)深刻な症状を引き起こすかどうか(3)容易に感染するかどうか-を中心に検討するとみられる。 WHOは、新型インフルエンザの大流行(パンデミック)に備え、警戒レベルを6段階に分類。現在は「3」(人から人への感染が全くないか極めて限定的な段階)としているが、緊急委は、「4」(人から人への感染が増加する兆候のある段階)への引き上げについても協議する可能性がある。 豚インフルをめぐっては、これまでにメキシコで60人以上が感染して死亡した可能性があるほか、米国ではメキシコと国境を接するカリフォルニア、テキサス両州で計8人の感染が確認され・・・

WHOが設定した警戒レベルは、フェーズ3から4になるまでにはかなり時間がかかることが予想されているが、フェーズ4になったら5・6への移行は一気呵成となる可能性がこれまで指摘されてきている。上からの指示を待つだけでは、とんでもない状況を生みかねない。これまでの情報では、タミフル等は、有効だとされているので、備蓄や在庫の確認と発注の算段は、しておくべきであろう。25日の毎日新聞によれば、

 豚インフルエンザの人間への感染とみられる事例が発生したことで、厚生労働省や農林水産省などは対応に追われた。・・・新型インフルエンザ対策推進室長は「正しい情報に基づいた冷静な対応をお願いしたい」と呼び掛けた。全国の検疫所に対しては、多数の死者が出ているメキシコからの入国者についてサーモグラフィー検査などで健康状態のチェックを徹底するよう要請・・・検疫所でインフルエンザ感染が確認されればウイルスの型を確定させる検査に入る。来週には、数時間以内に確定できる態勢を国立感染症研究所に整えるとしている。米国やメキシコへの出国者には、マスク着用や手洗い、うがいの励行などを求める文書を空港で配布する。外務省のホームページでも海外渡航者向けの注意喚起を始めた。 政府の新型インフルエンザ対策行動計画によると、海外で新型インフルエンザ発生の疑いが生じれば世界保健機関(WHO)の宣言がない段階でも、関係閣僚会議を開いて行動計画に基づく「第1段階(海外発生期)」の態勢を取る。その際、発生国から航空機の到着は成田▽関西▽中部▽福岡--の4空港、客船は横浜▽神戸▽関門--の3港に集約され、発症が疑われる入国者は隔離される。発生国からの外国人来日はビザ発給が制限され、発生国への出国についても渡航延期の勧告・・・

とされている。豚インフルエンザという表現は、誤解を招きやすい。すでにヒトヒト感染が確認されているのであるから、「豚」のみに感染するインフルエンザではなくヒトインフルエンザといってよい。また、H5N1型でないことも警戒レベルを落とす理由にならない。むしろH1N1型とされるこのウイルスが人類に免疫がないとするとこれはまさに「新型インフルエンザ」としてパンデミックを警戒すべきだろう。25日の毎日jpは、その恐れを指摘している。

・・・専門家ら大流行を警戒 豚インフルエンザの疑いによりメキシコで60人が死亡したとの報道を受け、厚生労働省は情報収集を始めた。専門家からは人から人へ感染するパンデミック(大流行)を懸念する声があがる一方、季節性のインフルエンザとの見方も・・・豚は人間と鳥の両方のインフルエンザに感染するため、豚の体内でウイルスが混ざり合いウイルスが変異し、新型インフルエンザとして大流行する可能性が指摘されている。 国立感染症研究所の田代真人・ウイルス第三部長は「米国のウイルスはH1N1型だった。メキシコでも全員が同じ型かどうかWHOが確認中。同一であれば人から人への感染が広がっていることを示し、パンデミックの始まりになる」と説明する。 新型インフルエンザに詳しい外岡(とのおか)立人・元小樽市保健所長は「メキシコでの死者は25~40歳の若年層で、急激に症状が悪化したとみられる。パンデミックの始まりを疑った方がいいのではないか。すでに日本にウイルスが入っている可能性もある。検疫を強化すべきだ」と指摘・・・

 メキシコに限らずエジプトにおける鳥インフルエンザの動向も心配だ。こちらはH5N1型ではあるが、これまで知られたものと変化している可能性が指摘されている。25日の時事通信によれば、

 ・・・エジプト保健省は24日、H5N1型の鳥インフルエンザに感染した女性(33)が同日死亡したと発表した。同国での鳥インフルエンザによる死者は今週だけで3人に上った。死亡した女性は、北部カフルエルシェイフ県の出身で、15日に入院して治療を受けていた。エジプトの農村部では家禽(かきん)を飼育する家庭が多いほか、渡り鳥の飛来経路になっており、鳥インフルエンザ流行への懸念が強まって・・・

エジプトでは、今年になって小児への鳥インフルエンザが続出し、軽症化の傾向が見られるという。これは、一見良いことのように思えるが、実は、症状が軽いことで適切な治療がされず、発症しないままウイルスが運ばれて蔓延する可能性のあることを示している。つまり、知らないうちにヒトヒト感染が進み、突然変異により毒性を突然上げることでパンデミックウイルスとして人類に脅威を与える可能性があるのだ。鳥起源であるか豚起源であるかは関係ない。多種の動物を起源とするインフルエンザが新型インフルエンザとして登場し、若者を中心とする免疫を持たない者に脅威を与えるのだ。そして、メキシコのこのケースは、破局へ向かう可能性を秘めた大事件だと言える。上からの命令を待たず、一刻も早い対応が求められる。


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