斎宮歴史博物館へ展示品の撤去に行く途中。こんな地名を見つけました。
おそらく昔、神宮へ奉納する大麻を栽培していたのでしょう。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A9%9F%E6%AE%BF%E7%A5%9E%E7%A4%BE
麻の付く地名は、おお麻(ヘンプ)に関係している?
日本の地名というのは、その土地の歴史や由来をよく表しています。全国を調べてみると、大麻とか麻の付く地名が多く見られます。
たとえば、地名由来辞典によれば、四国・香川県高松市は、高松郷の西方に、豊臣秀吉の家臣であった生駒親正が居城を築き、高松城と称したことから、高松は城下町名となったようです。高松の語源は、海の近くに高い松の林があったからだとか。
ということは、麻の付く地名は、やはり麻と関係があったのではないかと想像できます。実際、香川県内で調べてみると、かつてはその地区で、おお麻(ヘンプ)が植えられていたことがわかりました。
福井県・鳥浜遺跡(1万年前)からは、おお麻の種子と繊維が出土していますから、それ以降に栽培されていたとしても不思議ではありません。
ちなみに古代に、おお麻を各地で栽培していったのは忌部(いんべ)氏という氏族といわれています。
日本の麻の付く地名を下記にまとめてみました。これらは一例ですが、こんなにもあります。
あなたの住んでいる地域のものはありますか?地名の由来を調べてみると、何かわかるかもしれません。
麻の名を冠した日本の地名(グーグルマップ)
都道府県 | 市・郡・町 | 地名 | 呼び名 |
北海道 | 江別市 | 大麻 | おおあさ |
岩手県 | 岩手郡雫石町 | 麻見田 | まみだ |
宮城県 | 加美郡 | 色麻町 | しかまちょう |
福島県 | 耶麻郡 | やまぐん | |
茨城県 | 行方郡 | 麻生町麻生 | あそうまちあそう |
栃木県 | 鹿沼市 | 麻苧町 | あさうちょう |
群馬県 | 多野郡万場町 | 麻生 | あそう |
埼玉県 | 熊谷市 | 大麻生 | おおあそう |
千葉県 | 山武郡山武町 | 麻生新田 | あそうしんでん |
東京都 | 港区 | 西麻布 | にしあざぶ |
神奈川県 | 川崎市 | 麻生区上麻生 | あさおくかみあさお |
新潟県 | 十日町市 | 麻畑 | あさばたけ |
富山県 | 高岡市 | 麻生谷 | あそうや |
石川県 | 加賀市 | 大聖寺麻畠町 | だいしょうじあさばたけまち |
福井県 | 敦賀市 | 麻生口 | あそうぐち |
長野県 | 北安曇郡 | 美麻村 | みあさむら |
愛知県 | 豊川市 | 麻生田町 | あそうだちょう |
岐阜県 | 揖斐郡大野町 | 麻生 | あそう |
三重県 | 松阪市 | 御麻生薗町 | みおぞのちょう |
滋賀県 | 蒲生郡蒲生町 | 上麻生 | かみあそう |
京都府 | 京都市南区 | 上鳥羽麻ノ本 | かみとばあさのもと |
大阪府 | 豊中市 | 石橋麻田町 | いしばしあさだちょう |
奈良県 | 北葛城郡 | 當麻町當麻 | たいまちょうたいま |
和歌山県 | 那賀郡那賀町 | 麻生津中 | おうづなか |
鳥取県 | 岩美郡国府町 | 麻生 | あそう |
岡山県 | 備前市 | 麻宇那 | あそうな |
山口県 | 岩国市 | 麻里布町 | まりふまち |
徳島県 | 麻植郡鴨島町 | 麻植塚 | おえづか |
香川県 | 善通寺市 | 大麻町 | おおさちょう |
愛媛県 | 伊予郡砥部町 | 麻生 | あそう |
高知県 | 中村市 | 麻生 | あそう |
佐賀県 | 佐賀郡富士町 | 麻那古 | まなご |
熊本県 | 熊本市清水町 | 麻生田 | あそうだ |
大分県 | 東国東郡武蔵町 | 麻田 | あさだ |
「大麻ヒステリー」光文社新書より
おお麻(ヘンプ)と神道の関係
日本の文化の底流にあるのが神道だと思います。
水の中に神様がいる。木の中に神様がいる。すべての中に神がいる。そのことを日本人は信じて、それを大切にして日々暮らしてきました。
普通何かが沢山あると人は、それを粗末に扱います。ところが日本人は、そうしません。その中に神様がいるとして大切にするのです。
蛙が池にポチャンと飛び込んだだけで一句詠めてしまう豊かな感性、美を尊ぶ心、「和をもって貴しとなす」という和のこころ、もったいないと物を大切にする、礼儀や情緒を重んじる、相手を敬う敬語など。
このように私たちが、これこそ日本人だと考えるようなその根っこは、自然を教典とする神道からくるものではないでしょうか。
その神道において、おお麻は最重要視されています。
しめ縄、鈴縄、神主さんが“祓(はら)い”に用いる道具・大麻(おおぬさ、大幣とも書く)などは本来は、おお麻だそうです。
特に神道では、おお麻は罪や穢(けが)れを祓う神聖なもの、神の依り代であるとされてきました。
伊勢神宮のお札を「神宮大麻」というのもそれを表しており、おお麻の持つ神聖さや霊力のようなものを古来日本人が知っていたのだと思います。
邪気、悪霊、災厄を祓うという思想は、神話の時代から続く日本の文化のひとつでした。
古事記にも青和幣(あおにぎて)として、おお麻布が登場し、布刀玉命(ふとだまのみこと)が、この棒に付けられた幣(ぬさ)を左右に振ることによって、邪気、悪霊、災厄などの穢れを祓い祈祷し、天照大神を天の岩戸から引き出しました。
また、天皇即位後の一代一度の五穀豊穣を願う祭りである大嘗祭(だいじょうさい)においては、徳島県・木屋平の三木家からアラタエと呼ばれる麻布が代々献上されています。
近年、全国で約8万社ある神社の鈴縄が石油由来のナイロン製になっているところが全国で約7割にも上るそうです。前述のような、おお麻の持つ力が忘れられてきている証拠だと思います。
http://www.sanuki-imbe.com/hpgen/HPB/entries/11.html より引用
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