今回は、㈱長大に支払われた整備計画策定業務の委託料(¥31,526,000.)の妥当性を検証しました。福津市情報公開条例に基づいて入手しました「業務委託仕様書」,「公募型プロポーザル実施要領」,「プロポーザル審査評価表」及び、㈱長大が作成した「福津市学校施設等整備計画書」の内容を精査いたしました。さらに福津市教育委員会の大嶋教育長、理事、課長など5名から聞き取り調査をいたしました。その結果、問題点がいくつもあることが分かりました。
福津市教育委員会が委託した下記の業務は「地方教育行政の組織及び運営に関する法律第21条」によって規定されている教育委員会の職務権限の範疇にあり、教育委員会が諮問機関や学識経験者等からアドバイスを受けながら自ら策定しなければならない業務でした。職務権限とは公務員が、その職務上の地位に伴い、なしうる活動の根拠または範囲です。しかし、これを公務員でもない民間業者に権限として与えてしまうと、権限を越えて仕事を行ってしまう危険性があります。また福津市の教育行政の将来計画を特定の業者に漏らすことになり、今後の業者間の公平な競争を阻害することにもなります。加えて、教育委員会の政治的中立を損なう可能性もあります。職務権限を与えられた公務員であれば、やってはならない業務委託でした。
㈱長大に委託してはいけない業務の項目と明細 (福津市学校施設等整備計画書より)
①学校施設再配備の基本方針施設整備の方針
・過大規模校対策とこれからの教育について
・学校施設再配置の基本方針
・学校区別の課題整理
・学校施設の整備方針
②新設校の校区割と学校タイプ
・竹尾緑地に中学校(5-4制小中一貫校)を新設する案(校区割①)
・中央公民館跡地に中学校(5-4制小中一貫校)を新設する案(校区割①)
・中央公民館跡地に中学校(5-4制小中一貫校)を新設する案(校区割②)
③小規模校の対策
・上西郷小学校について
・勝浦小学校について
④今後の課題
・30年後の学校施設の基本構想にむけて
・通学支援
・事業手法
上記の業務を民間業者に委託することは、教育委員会に与えられた職務権限の不当な委託行為に該当しますので、それに伴う業務委託費の支払いは不当な公金の支出になります。 しかし、不当な公金の支出金額は不明です。福津市教育委員会が算出に必要な業務委託仕様書の委託項目別の公開を、福津市情報公開条例第11条第1項(法人情報)を理由に拒んでいるためです。
福津市教育委員会は福津市の脆弱な財政状況を直視し、厳しい経済状況下でも税金を納めている市民のことを、もっと考えて無駄のない公金の使い方をする必要があります。