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教授のホンネ・ホンネの教授

大学教授の生活を、時には赤裸々に、時にはソフトに語ります。

マル合

2007-03-04 11:41:09 | Weblog
大学用語の基礎知識として、「マル合(まるごう)」は必須だろう。
そして、やはり、大学関係者以外は、まったく知らない言葉だろう。
「マル合」は、本来、「合」を「○」で囲った文字として表される。

ごく簡単に言えば、「マル合教員」とは、大学院で論文(修士論文あるいは博士論文)の指導ができると公(おおやけ)に認定された教員のことである。
修士(博士前期)課程についてはMマル合、博士(博士後期)課程についてはDマル合と称しているだろう。

大学院を新たに設置する時に(いわゆる専門職大学院は違うかもしれないが)、この「マル合教員」の確保が重要になる。
大学院研究科(つまり文学研究科とか工学研究科とか)の専門領域ごとに、必要な「マル合教員」の最低人数が決められている。
つまり、この種の教員を必要人数を確保できなければ、大学院の担当教員を何人集めても、大学院が成立しない。

大学院の設置申請に際して、教員の履歴や業績などを記した調書を文部科学省に出す。
すると、そこに設置されている審議会で、一人一人、「マル合教員」として適格かどうか、ただの「合(ごう)」か、はたまた「否」か、判定されるのである。

判定の基準は、やはり、主として学問的な業績だろう。
Mマル合とDマル合とでも基準が異なる。
Dマル合のほうが、当然厳しい。

昨今、大学院を設置していない大学はほとんどない。
また、そのような状況が、「うちも、うちも」と、ますます新たな大学院の設置を促している。

専門領域によっては、「マル合教員」の取り合いが起こる。
定年を2回くらい経験した「マル合教員」を、「名前だけで貸してください」みたいな感じで都会から呼んできて、ぎりぎりで大学院設置にこぎつける、という話も地方大学では少なくないようだ。

けれど、大学院が「完成年度」に達するまで持ちこたえれば(修士課程なら2年、博士課程なら3年)、あとは、野となれ山となれ。
急場しのぎで呼んできた「マル合教員」は去り、当初の教員組織は、短期間で変容する。