Neue Caecilianische Bewegung

ローマ・カトリック教会の典礼音楽に関する公文書や中世の典礼に関する論文を中心に掲載していきます。

西洋における時課の祈り(27)

2007年05月30日 10時00分45秒 | 西洋における時課の祈り
 ピウス10世の聖務日課からもうひとつのカテドラルでの聖務日課の要素が無くなった。今度は晩課の要素であり、これも注目に値する。ピウス10世の改革以前には、ローマ聖務日課書(ブレヴィアリウム)の晩課は次の構造を持っていた。

招詞:詩編69
詩編の数:5つ
朗読
イムヌス(賛歌)
先唱句:詩編140.2(土曜日を除く毎日)
マニフィカト

さて、マニフィカトは後の、すなわちベネディクト会による付加であり、またメッスのアマラール(850年没)の"Liber officialis" IV, 7:17-19で、晩課での献香は今日のようにマニフィカトと結びつけられていなかったが、詩編140.2の先唱句「わたしの祈りを御前に立ち昇る香とし、高く上げた手を夕べの供え物ととしてお受けください」と結びつけられていることを知っている。
 ピウス10世までのこれらのさまざまな改革を通してローマ聖務日課の問題はその構造というわけではなかった。なぜなら、その基本的な枠組みは、ピウス10世の委員会の仕事が1911年に告知され、ピウス5世の聖務日課書に公式に結びつけられていた人々にとって1913年に義務となるまで最初期の証拠とほとんど変わっていないのであるからである。構造的な欠陥よりも重大な欠陥は重要な年間のサイクルを押さえつけてしまう聖人固有の一貫した増加傾向である。そして、ピウス10世の改革は、この増加したものをもう一度切り詰め、主日に本来の首位性をもたらすためであった。