giotto34/Whale song  ―白い鯨のうた―

*詩はオリジナルです。
たずねてくれて、読んでくれて、
ありがとうございます。

詩62:河童と小鳥

2007年06月22日 | 
/河童と小鳥

来た
来た また来た
珍しいもの
数えるつもりだ

小鳥、
聞こえますか?
手のひら そろえて

ぱっぱぱっぱ
ぱらっぱ、ぱっぱ

とぼけた
転んだ 池に落ちた


またやって来た
小鳥は空を飛ばない

水飲みたい
飲むよ 水
ああ渇いた 喉が
緑溜めて
たっぷり飲んで

池の水飲んだ
おいしい
おいしい


河童
またいた河童
やめてない河童
池にたっぷりの青緑の河童が
うようよ、うようよ

コロン
コ・・・・

来るな

ひさしぶり

来るなってば

此処が一番
・・・足跡は?
千、七百・・・

まずいぞ
とぼけるぞ
つまらないぞ
数えるな


本当に言うよ
たくさんてんこ盛り
河童だらけ 
此処には河童しかいないって

言わないで
どうして
言わないでよ

知らないよ
飛ぶし

うそつき

言うよ、もう言っちゃうよ
足跡頂戴よ

嫌だよ

言うから

どうしよう
どうしよう

千、七百・・・


青緑の河童
小鳥に群がる

数えるな

飛ぶよ・・・・

小鳥お空を見上げる

河童群、お空を見上げる


「whale song」







詩61:ぼくの落書飛行機

2007年06月18日 | 
 /ぼくの落書飛行機

遠くまで飛んでいく
あの飛行機の音を最後まで聞くんだ
さようなら、を幾つも言ってわかれた
アノコがお空を飛んでいく

青い空に張り付くように
飛行機はまるで、ぼくの落書

アノコはぼくの描いた飛行機に乗って
きっと勇気いっぱいに飛び立つだろう
いくら涙がたくさん流れても
きっと勇気いっぱいにして
アノコと飛行機は青空飛ぶ

さようなら、さようなら
ぼくの落書
小さく小さく、目的地はぼくから遠い


「whale song」





詩60:白い紫陽花と月

2007年06月11日 | 
/白い紫陽花と月1


  三歳の小さな僕が仕掛けた小さな罠。


ある日、転がる月の光を見上げ、
夜空。僕は歩き始めた。
コンクリートの市営住宅街に埋もれそうな
小さな木造アパートをトボトボと抜け出す
足が冷える
踵は丸く丈夫だ
叱られた胸をくいっとつまんだ短い指
温い

歩ける僕はどこまでも歩ける
母の足音を覚えていたから
其れは
気まぐれなお母さん


建物の影でしゃがみ込む僕の姿を大人がとり囲む
たどり着いたのは
退屈そうな朝を背景に描く
家だった

空には
月が未だあった


こんな日でも、明日には梅雨入りだからと、
強く僕の手を引く祖母が言う 泣いている


仕掛けられた罠で僕のスニーカーは
ボロボロになってしまった。
見上げれば月があり、
月下灯火に照る
白い紫陽花が咲いている


「whale song」



詩59:朝食

2007年06月05日 | 
/朝食


ひかりが届けられる朝に
僕は、美味しい朝食を欲する

黄色いたまご、
ふわふわの温かいトースト
かりっとした塩辛いベーコン、
少し苦いホットコーヒーの香

白い炊き立てのご飯
しょっぱい鮭の切り身
水分たっぷりのお漬物
お豆腐の入った熱い味噌汁の湯気と香

じっくり、ゆっくり味わいたい
朝食を

僕は浅い眠り、瞼を震わせながら
浮腫んだ夢の中で

欲する


『whale song』