今夜も暇だ…
いつものように
開店準備を済ませ
椅子に座り
コーヒーを飲み
お客さんを待ちながら
タバコを吸い
北方謙三のハードボイルド小説を読むのが
ここ最近のワタクシの日課だ…
本来なら
ケンタッキーバーボンで喉を灼き
キューバ産の葉巻をくゆらせたい所だが
今夜は止めておく事にした…
店内のスピーカーからは
アメリカの古い流行歌が流れ
ワタクシは時折口ずさみながら
3本目のタバコにジッポーで火を付けたのだ…
そして
店のドアが開き
1人の若者が入って来た
カウンターに座り
ジントニックを注文したので
コリンズグラスに
ロックアイスを詰め
タンカレーのジンを注ぎ
氷に馴染ませたら
カットしたライムを絞り
トニックウォーターを注ぎ
手際よく混ぜる
混ぜすぎると
炭酸が抜けてしまうので要注意だ
シンプルだからこそ味の良し悪しがわかりやすいカクテルだが
店では人気があるカクテルだ
カウンターに座った若者にジントニックを出し
適当な世間話を始める…
この若者の名前は
キム
キムと言っても
ジョンイルやジョンナム、正男とは何の関係も無いが
名字が木村だから
キムなのだ
まぁ皆様は
キムーラやキームラまたはケムラと呼ぶといい。
ケムラが
ジントニックを飲みながら
ワタクシに話かけた…
「ここのジントニックは最高ですね
本厚木だとこの店のジントニックと
ハンバーガーが一番旨いと思います
」
「そうか、それはありがとう…」
彼はワタクシに何か頼み事でもあるのだろうか…
続けてケムラが…
「俺もリーゼントにしてみたいんだけど、やり方がわからないんすよ
」
どうやらキムーラは
ワタクシにリーゼントの作り方を教えてもらいに来たみたいなのだ…
ワタクシは
キームラに
「坊やにリーゼントは、まだ早い気がするが…
今夜は生憎店が暇だから作り方を教えてやるよ
」
と言い
グリースとコームを取りだし
キムラッタをテーブル席の椅子に座らせたのだ…
続く