まったく縁のない人も多いんだろうが、うちはおっ母さんが結核やら心臓病やら入院することが多かったので、私は小さなころからおなじみだった。
吸い飲みって道具。
横になって寝たまま何かを飲むためのもの。
なんか象さんみたいなやつね。
ケアマネさんに言われて、吸い飲みを買ってきた。
ああ、懐かしい。
ガラスの哺乳瓶と同じぐらい懐かしい。
▼幻泉館日録:赤線
今日も午前中は病院。
訪問診察をしてもらうために、一度検査をするというのだ。
医師からおっ母さんの病歴を矢継ぎ早に質問され、しどろもどろになってしまう。
油断していた。
もうお昼を過ぎてぐったりしていたら、おっ母さんが急に元気になって目を見開く。
あら?
お腹が空いたというのだ。
おお、やった!
今までほとんど何も食べずにいたが、急いでお粥を炊くと、少し食べてくれた。
羊羹やプリン、カステラもも一口ずつ。
一口とはいえ、大きな進歩だ。
テレビのCMで「ウイスキーが、お好きでしょ」が流れている。
あれ、聴いたことがある声だ。
誰だっけな。
検索したら、GLIM SPANKY(グリムスパンキー)だった。
ああ、あの面白いねえさんね。
吸い飲みでウイスキー飲んだら酔いそうだなあ。