論系室だより

-早稲田大学文化構想学部/現代人間論系の教員・助手からのメッセージ-

新刊紹介 大久保孝治『日常生活の社会学』(学文社)

2008-03-26 11:50:45 | おすすめの本
  「早稲田社会学ブックレット」というシリーズが学文社から出ました早稲田大学で社会学の講義を担当している教員が中心となって発足させたシリーズです。その第一巻を私が執筆しました。

  「本書では、日常生活のなかからいくつかの素材を取り上げて、それらを社会学的考察の対象にしている。それは日常会話から外国語の勉強を始めるようなものに見えるかもしれないが、そうではない。第一に、日常会話の勉強はとりあえず役に立つものであるが、日常生活の社会学はさしあたり何の役にも立たない。役に立たないどころか、日常生活を遂行していく上で支障が生じる可能性さえある。日常生活はさまざまなあたりまえのことから成り立っている。いちいちその前で立ちどまっていては日常生活は立ち行かない。何も考えずに、あるいは深く考えずに、いつものことをいつものとおり遂行するのが日常生活というものである。これに対して、日常生活の社会学はあたりまえのことの前で立ちどまることを求めるものである。第二に、日常会話の勉強は知的刺激に乏しい退屈なもの(丸暗記)になりがちであるが、日常生活の社会学は「なぜ私たちはそのようにふるまっているのか」を問うものである。日常生活そのものは退屈なものかもしれないが、その正体を解明することは決して退屈なことではない。/日常生活の社会学を外国語の勉強に喩えるならば、日常会話ではなく、むしろ文法の勉強に似ているだろう。ただし、それは文法の教科書には書かれていないような文法、すなわち暗黙の行為規則に焦点を当てたものである。日常生活を日常生活たらしめているのは明示された行為規則ではなく、それに従っていることさえ気づいていないような暗黙の行為規則なのである。」(「はじめに」より)

 社会学は現代人間論系のカリキュラムを構成する要素の一つです。本書は社会学の入門書として読んでもらえればと思います。なお、第三巻は長田攻一先生が執筆された『コミュニケーションの社会学』です。こちらも併せてどうぞ。

       

   (大久保)

お勧めの本  菅野仁『友だち幻想』(ちくまプリマー新書)

2008-03-22 00:13:54 | おすすめの本
  現代人間論系のテーマは「ともに生きる」
  本書はこのテーマを考える上でもってこいの一冊である。
  とはいっても、「みんなでなかよくやっていくにはどうしたらよいか」という視点から書かれた本ではない。個人の異質性を前提とした上で、「気の合わない人とでも一緒にいるためにはどうしたらよいか」という視点から書かれた本である。
  著者は『ジンメル・つながりの哲学』(NHKブックス)などの著作もある社会学者。社会学的思考の入門書として読むこともできる。

  (大久保)

論系ガイダンスをおこないました

2008-03-21 13:37:19 | Weblog
3月18日(火)に現代人間論系ガイダンスをおこないました。
4月から現代人間論系第1期生になる学生さんが110名あまり出席しました。
充実した教授陣でおこなわれる4月からの授業、演習、楽しみですね!

当日やむをえない事情によりガイダンスを欠席した人は、現代人間論系室まで資料を取りに来てください。
本日21日13:00~19:00にとりにきていただきたいのですが、もしこれなかった場合は、助手 阿比留までご相談ください。

(阿比留)