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資本論事始め

資本論を読んでいく過程を日記風に記してみました。

第2部第3編第18章

2025-03-09 11:06:31 | 日記
第3篇 社会的総資本の再生産と流通
 第3篇の主題は何か

 この編の主題は「社会的総資本の再生産と流通」、一般には略して再生産論と呼ばれる。
 個別の資本が、その再生産にあたって必要とする生産諸手段や消費諸手段(労働者と資本家のための)を、市場でどのようにして調達することができるのか、また、生産した諸商品を、市場でどのようにして販売することができるのか、こういうからみ合いが研究される。

 これらの問題は、個別の資本の再生産過程や循環・回転の過程の研究では、いつも、順調な進行が前提されていた問題だった。実際、第1部の蓄積論では、「以下では、資本がその流通を正常に通過することが前提されている」という断り書きから考察が始まった。
 しかし、この過程の正常な進行を保障する諸条件が、果たして、資本主義的生産様式のうちに存在しているかどうかは、この生産様式の存立にもかかわる根本問題である。マルクスは、第1部でも、第2部の第1篇、第2編でも、「前提」として考察を保留していたこの根本問題に、第2部第3篇で、いよいよ正面から挑戦しようというのだ。

第18章 緒論
第1節 研究の対象
 研究対象は社会的総資本の運動の総過程

(1) 社会的総資本の運動の総過程については、私たちは、すでに循環論のところで、
個別資本の循環と一般的商品流通の関連も見たし、「個別諸資本の総和の運動形態」が「資本家階級の総資本の運動形態」となることも見てきた。しかし、この時は、個別資本の運動が社会的にそういう関連を持つことの指摘が中心で、総過程そのものの考察を主題としたわけではなかった。

総過程の主要な特質。
第一に、個々の資本の運動との関連。「個々の資本」は、社会的総資本の自立化された一断片であり、逆に言えば、社会的資本の運動は「個別資本の回転の総体」から成り立つ。

 第二に、この総過程は、資本の総過程と流通過程の全体を含むだけでなく、消費という面では、生産諸手段の生産的消費者(直接的総過程)も、労働者階級および資本家たちの個人的消費も、これらを媒介する諸交換とともに、包含している。

第三に、社会的資本の循環は、資本の流通だけでなく、一般的な商品流通を包括する。一般的な商品流通は、(1)資本の独自な循環と(2)個人的消費に入り込む諸商品の循環とから成り立つ。

(2) マルクスは、続いて、ここまで進んできた『資本論』での考察と研究の過程を振り返り、今度は、研究段階という面から、これから踏み込む第3篇の意義を明らかにする。ここは、私たちが勉強してきたこと――第1部および第2部の第1篇、第2編――を、その深い意味を振り返って考える上で、絶好の機会を提供している。

 最後に、マルクスは、第1編、第2編での研究対象は「一つの個別資本」であったこと、その個別資本は、互いにからみ合って「社会的総資本の運動」を形成していること、今や、その運動――「社会的総資本の流通過程が、考察されなければなない」ことを語る。
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