学校に言論の自由を求めて!

東京都教育委員会の「職員会議で挙手・採決禁止」通知に、たった一人異議申し立てした元三鷹高校校長の土肥信雄先生を支援します

これまでの経緯・早わかり - (1)

2009-11-08 13:11:45 | Weblog
土肥先生は「言論の自由」を訴えました
 
 東京都立三鷹高校の元校長、土肥信雄さんは気骨のある先生です。
 東京都教育委員会が出した「職員会議での挙手・裁決による教職員
の意向確認の禁止
」通達(2006年)に対して、当時の都立高校の校長
でただひとり批判し、その撤回を求めました。
 
 土肥先生の主張はこうです。
職員会議で、はじめから結論が決まっているのならば、職員は
自分の意見を言わなくなる。まして上司である校長の意に染まぬ
発言をして、不利益をこうむるとすると、先生方は萎縮してしまう。
職員会議で自由にものが言えなければ、先生方が協力して、
学校教育や運営に心を合わせて取り組むことができなくなり、
学校教育そのものが破綻する。言論の自由こそが教育の場には
何より大切だ。言論の自由は、そこで教育を受ける子どもたちの
ために必要なのです
」(『提訴に当たって』2009年6月4日で詳述)。
 
この主張をして以来、都教委は指導という名目で、何度も土肥校長を
呼びつけて威嚇し、口をつぐませようとしてきました。
 土肥校長は屈しませんでした。
 自分が間違っているのならば意見を撤回するからと、都教育委員会
に公開討論も申し入れました。都教委は先生のこのささやかで切実な
願いにも、一度も答えませんでした。 かわりにやったことは、密室で
1人の先生を大勢で取り囲んで、無理無体に発言を封じようとする
「指導」だったのです。

 少し、想像してみてください。
 都教委のようなやり方が、みなさんの職場では通用しますか。民間
の会社でも、働く場がこのような雰囲気に覆われたら、すぐに業績が
悪化するでしょう。
 まして学校は、どこよりも自由にものが言え、先生や生徒、保護者
が心を合わせて進まなければ、うまくいくはずがないのです。
 私たちは心配しています。
都教委は学校教育を破壊するつもりなのか!」と。

これまでの経緯・早わかり - (2)

2009-11-08 13:11:18 | Weblog
土肥先生は 生徒に好かれ、
   保護者に信頼されてきた校長でした


 
土肥校長は三鷹高校で人気絶大でした。保護者会が制作した
PTA機関誌「鷹高」のアンケートでは「三鷹高校で誇れるもの」の
項に圧倒的な多数で「土肥校長」の名が上がっています。
                                  
 生徒全員九百数十人の名前を覚え、毎朝、昇降口に立って生徒に
挨拶し、教室を廻っては一人ひとりに声をかけ、放課後は部活に参加
して汗を流す。生徒も校長室を訪ねて、進路や人生相談をする。
そんな校長だったのです。

 生徒の声に耳を傾けてみてください。
生徒との距離が近い
三鷹高校がこんなに自由なのは校長のおかげ
こんな先生を教育委員にすればいいのに
教育委員会がやることはアンフェアだ
 そして、誇張でなく誰もが「三鷹高校に来てよかったと異口同音
に言うのです。(TVのドキュメンタリーや新聞取材などの記録より)

 校長として、これ以上の評価があるでしょうか。
 かつて土肥先生が勤務した都立小川高校の教え子たちは、 
今度の問題がメディアで報じられると、すぐに連絡を取り合って、 
先生の話を聞く会を持ちました。
 彼らもまた言います。
授業をことこまかに思い出せるのは土肥先生くらい。
重たいテーマで、難しいことも多かったが、楽しく教えてもらった


 今年の三鷹高校の卒業生たちは離任式に赴き、土肥先生に
卒業生全員が名前を揃えた色紙と、「教育委員会の弾圧にも負けず、
本校所定の課程を修了したことを証する」という卒業証書を壇上で
手渡しました。(本ブログ2009年5月29日付けに掲載)

 教育委員会とのやりとりについて、先生は在職中に生徒たちに
何も話していません。にもかかわらず、子供たちはその行方を見守り
心の中で応援していたのです。
 「言うべき時には、勇気をもって発言しなければならない」。
 先生がその生き方をもって教えてくれていることを生徒たちは
知っていたのです。
 色紙と証書には、正義を求めようとする熱い心と応援メッセージが
あふれています。
 実際にそれを見た教育評論家の尾木直樹さんは、
こういうものを校長がもらうなんて考えられない。
教育者の1人としてジェラシーを覚える
」 と語りました。

 先生が「私の宝物」と言うのも当然です。
 教師としての能力に、これ以上の証明が存在するのでしょうか

これまでの経緯・早わかり - (3)

2009-11-08 13:10:56 | Weblog
●土肥先生は裁判に打って出ました

 このような土肥先生の身にとんでもないことが起こりました。
何の処分も受けておらず、生徒にも保護者にも絶大な信頼を受けて
きた先生を、都教委は教育の場から排除したのです。

 都教委は、定年退職後の非常勤教員としての採用を拒否、
合格率97%(今年度)というほとんど誰もが進める道を閉ざしました。

 権力(人事採用権)にものを言わせて、1人を攻撃するこういう
やり方を「いじめ」といいます。公の場で意見を闘わせることもせず
に、こんな処分を行うことを「ひきょう」といいます。
むろん、いじめをする人間や組織は、ひきょう者に違いないのですが
いくらなんでもこれは許しておけません。
 土肥先生は法や規則を守り、堂々と教育者としての道を歩いて
こられました。 都教委の強権的な「日の丸」「君が代」指導にも、
批判を持ちながら法令にしたがって、教師たちに職務命令を発して
卒業式を行ってきました。
 また、言論の自由の確保を主張しましたが、職員会議の挙手・
採決は「通達」以来、行ったこともなく、校長の権限が職員会議の
決定に拘束されることがないようにという「職員会議の補助機関」
方式に異を唱えたこともありません。
 それが、このような仕打ちに合ったのです。

 土肥先生は元校長・無職になっても、屈しませんでした。
 東京都を相手取り、裁判を起こしたのです。

 非常勤教員として採用されなかったための逸失利益と、慰謝料を
求める訴訟です。
あえて「不合格取り消し」要求の裁判ではなく、損害賠償請求にした
のは、今まで行われてきた都教委の不法行為の数々を裁判の場で
明らかにし、都教委と「公開討論」するためです。
それはこの裁判が、何より東京都の教育行政をただすための裁判
であることを意味しています。
(このブログ下部の『提訴にあたって』をお読みください)。
                         

これまでの経緯・早わかり - (4)

2009-11-08 13:10:21 | Weblog

●「土肥元校長の裁判を支援する会」ができました
 私たち「土肥元校長の裁判を支援する会」は、土肥先生の教え子、

その保護者が集まって活動を始めました。
さらに賛同してくださる
都立高校OBやその親、教職員、市民の方々
が参加・協力している会です。 
会費制ではなく、費用はカンパでまかない、手弁当で土肥先生の
応援をしています。
これから裁判の傍聴、裁判費用のカンパ活動、集会などを行って
いきます。
土肥信雄先生を応援するみなさまのお力をお貸しください。

生徒と先生と保護者が心を通わせて、自由で生き生きとした教育を、
学校に取り戻すために!


*土肥先生の主張は、
岩波ブックレット『学校から言論の自由がなくなる ―
                    ある都立高校長の「反乱」―』
http://www.iwanami.co.jp/.BOOKS/00/1/0094490.htmlに詳しく出ています


第3回口頭弁論  意見陳述

2009-11-08 12:51:33 | 裁判資料

         第3回口頭弁論 意見陳述

① 前回提出された都準備書面(1)では、私の訴状にある全ての項目について反論していただきました。したがって都教委に公開討論を要請していた私の希望通りの形になりました。今回、私も都準備書面(1)に対し全面的に再反論を行います。裁判の場を公開討論の場として、都民、国民にお互いの意見を公開し、どちらが正しいか判断してもらいたいと思います。

 ② 都準備書面を読ませていただき、東京都教育委員会はなぜこのような事実を捻じ曲げるような論述を行うのか不思議でなりません。事実は一つです。ぜひとも裁判の場では事実のみを明らかにして欲しいと思います。東京都教育委員会という巨大な権力が、ちっぽけな土肥をねじ伏せるために嘘はつかないで下さい。都教委も私も正しいと思ってやってきたのだと思います。正しいのなら嘘をつく必要はどこにもありません。事実を述べていただきたいと思います。

③ 私は全ての問題について規則どおりやってきました。法令遵守は私のポリシーです。「職員会議において教職員の意向を聞く挙手・採決の禁止」の通知どおり、三鷹高校では職員会議で教職員の意向を聞く挙手・採決をやっていません。業績評価においても実施要領どおり絶対評価で提出しました。卒業式等においても職務命令は通達どおり出しました。私は何も悪いことはしていません。都教委こそ業績評価では絶対評価といいながら相対評価を強要し、卒業式等では校長の責任と権限で個別的職務命令を出しなさいと言いながら、個別的職務命令を出すことを強制したのです。都教委こそが法令に違反し、校長の権限を奪ったのです。

 ④ 非常勤教員の不合格についてはどうしても納得がいきません。教育の主体は生徒です。私も都教委も教育の主体である生徒のために全力を尽くしているはずです。生徒のために全力を尽くした私の教育活動の結果が、生徒からの卒業証書であり、卒業生全クラスから色紙であり、保護者からの色紙なのです。生徒、保護者から色紙をもらった校長の非常勤教員採用選考推薦書兼業績評価書の評価がなぜオールCなのでしょうか。教育活動は生徒のためでなく、教育委員会のためにやらなくてはならないのでしょうか?

 ⑤ 私が2007年(平成19年)10月の校長会での「職員会議における教職員の意向を聞く挙手・採決の禁止」の撤回発言以後、マスコミに意見表明をする等、現在に至る行動のきっかけとなったのが、何と言っても2006年(平成18年)の密告による私に対する言論弾圧です。都教委は、全ての校長は都教委の指導にはすぐに従うという思いがあったに違いありません。しかし私は違います。言論の自由については絶対に譲れないという私の思いがあります。東大闘争の中で、リスクを負いながら大学を辞めていった仲間に対する負い目、一流商社での談合に対する怒りと、経済的、社会的体裁を捨て、言論の自由と平和、そして利潤追求のない教員になった時の決意を都教委は知っていたのでしょうか?言論の自由だけはリスクを負っても絶対に譲れなかったのです。この場に及んで私の信条である言論の自由がなくなることは、商社を辞めたときの決意を全く意味の無いものにすることであり、私の人生を無にすることに等しいのです。多くの支援者と連帯している今、「力及ばずして倒れることは辞さないが、力尽くさずして挫けることを拒否する」が私の決意です。

                  2009年(平成21年)11月5日

                                     元三鷹高等学校 校長 土肥信雄

注:
  2009年9月10日に行われた第2回口頭弁論では土肥意見
  陳述はありませんでした。)


第1回意見陳述書

2009-11-08 12:44:50 | 裁判資料

第1回口頭弁論 意見陳述

     34年間の教師生活の中で、私と関わった生徒はみな幸せになって欲しいと思うのは教師として当たり前のことだと思います。そのためには生徒一人ひとりの人権が尊重される社会こそが生徒の幸せを保障する社会だと思います。人権が保障されるということはその前提として平和でなければならないのです。だからこそ私の信条は基本的人権の尊重と平和主義なのです。

     その基本的人権の中でも最も重要なのが言論の自由だと思っています。特に多くの意見を反映できる制度としての民主主義政治にとって言論の自由が絶対不可欠な要素であり、言論の自由がない政治は民主主義政治とはいえないのです。言論の自由がない組織は歴史を見れば明らかなように必ず腐敗し崩壊しています。戦前の日本も、ソビエト連邦も、そして船場吉兆やミートホープも崩壊しました。民主主義を教える学校で、民主的運営が行わなければ民主主義は教えられません。教師の言論の自由がなくなれば必ずや生徒の言論の自由も奪われ、日本が再び崩壊の道を歩むと思います。

     教育は誰のためのものですか。当然、生徒のためだと思います。だからこそ私は生徒のために全力を尽くしてきました。その証が、私の退職に当たり、生徒達が私にくれたに卒業証書と卒業生全クラスの色紙です。私は何も悪いことをしていません。私の信条は法令遵守であり、法的に決まったことはきちっと守っています。私が今問題にしている教職員の意向を聞く挙手採決も三鷹高校ではやっていません。でもこの通知は言論統制に繋がり、最終的には生徒のためにならないと思うからこそ通知の撤回を要求しただけなのです。生徒、保護者に高く評価され、法令を守っている私が、何故非常勤教員不合格になったのか、どうしても納得がいかないのです。

     教育現場で私は生徒に「自分が思ったことははっきりと言いなさい。」と指導してきました。それは生徒の主体性、自主性を育てるからです。ほとんどの学校の教育目標に「自主性、主体性」という言葉が出てきます。私はそれを生徒に教えた責任からも、自分の思ったことを言わず、不当な権力にへつらうことは出来ません。もし不当な権力の言いなりの社会なら、全国の学校の教育目標に掲げてある「自主性、主体性」の言葉をはずしていただきたいと思います。

     今回提訴した一番の理由は「生徒のために」です。私の教えた生徒達が、自分の思ったことを自由に発言できる社会にしたいからこそ提訴したのです。教育委員会も校長も教員もそれぞれの役割を果たして生徒のための教育活動が可能になるべく全力を尽くしているはずです。教育委員会は施設、人事等の条件整備で、校長は教員のやる気を起こし、学校の活性化を図るリーダーシップを発揮し、そして教員は生徒と直接向き合って生徒のために汗を流すのです。国民が私の考えが「生徒のためにはならない」と判断したのなら、私は素直に国民の意見に従います。この裁判を通して、私の見解と"東京都教育委員会の見解 ">東京都教育委員会の見解を十分に吟味・比較して公平な判断を下されるようお願い致します。

 

2009年(平成21年)7月23日 

元三鷹高等学校 校長 土肥信雄