肝細胞癌破裂は自然止血を得るものもあるが, ときに死因に直結する病態であり, 治療法の選択が重要である. そのうち肝動脈塞栓術(TAE)は諸施設で行われている治療法であり, 当院においても肝細胞癌破裂に対しては主に第一選択となる治療法である. 肝細胞癌自然破裂について当院におけるTAEを中心に背景や予後について検討した.
各症例の年齢・基礎疾患・腫瘍径・肝機能・治療内容といった患者背景を分類し,肝細胞癌破裂後の生存日数との相関性を比較した.
肝細胞癌自然破裂13例のうち破裂によって発見された症例は8例であった. 肝細胞癌の原因としてはC型肝硬変が5例, アルコール性肝硬変が3例, B型肝硬変・自己免疫性肝炎・NASHによるものがそれぞれ1例ずつ, 成因不明が2例であった. TAEを施行した症例は6例で, Child-Pughスコアは平均7.5点, 全症例が生存退院した. そのうち後日肝臓切除術を施行したのは2例で, いずれも腹膜播種や再発は認められていない. 全身管理のみで対応した症例は7例で, Child-Pughスコアは平均10点で, 生存退院したのはそのうち1例のみであった.
全身状態が高度に不良でなく, 肝機能がある程度保たれている状態であれば積極的にTAEを行うことが長期生存が期待されえると考えられる.
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