来春の選抜大会(あえて書いておきます)へとつながる秋季大会が始まりました。
夏の選手権大会がインターネットで全試合中継されていたので、なんとなく寂しさがありますが、秋は秋でなければ感じられない季節感のなかでの野球風景もいいものです。
とはいうものの、試合の様子はまったく、分かりませんので結果だけ載せておきます。ちなみに、2試合とも序盤は互角の試合展開でしたが、最終的には一方的な試合になりました。ここら辺が選手層の違いから来ているのではないかと思います。
一回戦 第1試合
松本工業 4 1 0 2 1 4 4|16
南安曇農業 3 0 0 0 0 0 0|3 (7回コールド)
一回戦 第2試合
池田工業 1 1 4 0 5 0 2|13
明科 3 1 1 0 0 0 0|5 (7回コールド)
さて、この中信予選の組み合わせにも書きましたが、連合チームについてです。
2012年に高野連は複数の高校が1つのチームを作る連合チームの大会参加を全面的に承認しました。これは参加校数、競技人口の減少を食い止める施策の一つであり、本来だったら部員数が9人以下となり、助っ人の見込みもない学校の野球部は大会に出場することが出来ません。ですが、連合チームが可能になったことで、9人未満の野球部も単独ではないものの、大会に出場することが出来るようになりました。
長野県では秋季大会に81チームが出場しますが、東信地区で蓼科高+野沢南高、北信地区で北部高+坂城高、中信地区で穂高商高+蘇南高、南信地区で辰野高+箕輪進修高+阿南高が連合チームとなっており、参加校は86校ということになります。
第100回全国高校野球選手権記念大会となった2018年は、高野連発表の加盟校数は2017年から58校減り、3781校になり15年連続の減少です。この中には連合チームで参加する9人未満の野球部も含まれており、部員数ゼロの学校もあるようです。9人そろって地方大会に参加する高校は、この数字よりかなり少ないと思われます。
現実的に強豪県にある連合チームの置かれた環境は厳しいようで、大阪府のとある公立高では、放課後の練習時にグラウンドで硬式野球部員がキャッチボールを始めるものの、わずか3人のみ。本当は5人いるそうですが、2人はアルバイトで抜けたりするそうです。監督は、「学費と生活費のためにみんなアルバイトをしています。バイトがなくても、私が見ていないと、部活をしないで帰ってしまう子もいるので、忙しくても毎日顔を出しています」と話しています。
また、その身体つきは一般的な高校球児とは大きく異なり、眼鏡をかけた肥満体の球児や、とても小柄な球児たちだそうです。使い古したグラブでキャッチボールをするしぐさもぎこちないそうです。この学校も他校と連合チームを組むことが決まっているそうですが、合同練習は週に1回程度、それでも全員がそろうことは滅多にありません。部員は「大阪府大会で1勝したい」と抱負を語るものの、1勝すら遠い目標だそうです。
ほかのチームとの実力差は明らかなのですが、大阪大会ではシード制をとっていないこともあって、連合チームが甲子園を目指す強豪校と対戦することもあります。プロを目指す強豪校の選手の鋭い打球が、連合チームの選手の身体をかすったりします。審判員の中には「一緒に試合をするのは危険ではないか」という声を上げる人もいるそうです。早い回に大量点を奪われ、連合チームは早々にコールド負けとなってしまいます。多くの場合、スタンドには応援団はいないことが多く、知り合いがぱらぱらと声をかける中で、連合チームの夏が終わっていくとのことです。
これは極端な例であるかも知れません。それでも、連合チームの置かれている立場は、いろんな意味で難しく、厳しいものだと思います。
おそらく、この先も連合チームの数は増えて行くでしょう。しかし、連合チームはあくまでも救済措置です。すべての球児が単独チームで高校野球をやり遂げられるような、未来出会って欲しいと思います。