野球小僧

赤松真人 / 広島東洋カープ

広島東洋カープ・赤松真人選手が今季限りで現役引退することを、昨日2019年9月7日に発表しました。

赤松選手は2016年12月に胃ガンを患っていることを公表。2017年1月に手術。一軍復帰に向けて戦い続けてきました。9月22日に会見が行われる予定で、同日の中日ドラゴンズ戦(マツダスタジアム)を引退試合とすることも発表されました。

今年、「あいつ、すごいな」と阪神タイガース・原口文仁選手のサヨナラヒットのニュースを聞いて驚いたそうです。

赤松選手は患部や症状など違いはありますが、ガンという病気と闘い、グラウンドに戻ってきました。しかし、赤松選手自身はいまだ一軍復帰を実現できていません。

6月4日の千葉ロッテマリーンズ戦で放った原口選手の復帰初安打を、「自分ではないのに、自分のことのような感覚になった。自分が(一軍の舞台に)戻れたとすれば、こんな感じになるんだろうかと思って見てしまいましたね。僕もすごく勇気をもらいました」と、いつの日か自分も一軍のグラウンドへという、赤松選手はコメントしています。

赤松選手は2016年オフに胃ガン発覚。「もともと、妻のために予約した検診でしたが、“(妻の検査の間に)ただ待っているのもな……”と思って胃カメラの検査を受けたら、ガンが見つかったんです。自覚症状もなかったので、“嘘だろ”と思いましたよ」。

2017年1月に手術を行ったものの、「手術で胃を半分切除した後に、リンパ節への転移がわかった。医師からは『ステージIII。抗がん剤治療が必要です』といわれました」とのことで、まだ、34歳だった赤松選手は、重い選択を迫られました。抗ガン剤治療に入れば、体力が落ちて野球選手を続けることは難しくなりますが、「とはいえ、生きていないと野球はできませんから、抗ガン剤治療を選ばざるを得なかった。1回の治療が終わるたびにガクッと体力が落ちる。体がだるくなり、下痢と嘔吐が続くんです。強制的にインフルエンザにされている感じでした」だったそうです。

2017年7月に練習復帰。2018年3月のウエスタン・リーグ春季教育リーグで、実戦復帰を果たした。もちろん、困難はある。

「まず飯が食べられない。抗ガン剤治療で体重が10kg近く落ちましたが、それが戻らない。食べて体が作れないんです。胃が半分しかないので、すぐに満腹になってしまう。食べる回数を増やすとか、試行錯誤の繰り返しです。あとは、野球をやる上での感覚、反射神経といった部分のパフォーマンスが落ちているのは実感します。トレーニングで握力は戻っても、微妙な感覚は戻らない。常にだるい感じで、体のキレが悪い。ガンになる前の走攻守を100とすれば、今はそれぞれ30くらいでしょうか」

その後、2018年4月29日のウエスタン・リーグ公式戦の阪神タイガース戦(阪神甲子園球場)に一番・センターで出場した際には、球場内から大きな拍手で迎えられました。

2018年にはウエスタン・リーグで55試合に出場、打率.237、ホームラン1本、5打点、5盗塁と完全復帰に向け一歩を踏み出しました。

「一番、迷惑をかけた家族にも、もちろん待ってくれているファンの皆さん、仲間の前で(一軍に)戻るところを見せたい」

2017年1月に胃ガンの手術を行い、治療とリハビリを経て2年目となる今季は進退をかけたシーズンと決めているそうです。原口選手が復帰初安打を打った6月4日はウエスタン・リーグのタイガース戦(淡路)に出場。9回に代打で出場して三振、裏の守備ではセンターに入りました。

「今はプロ野球の世界で現役としてプレーできていることに幸せを感じています。もちろん、一、二軍でしっかり結果を残したいですし、チームの力になりたい。でも、手術を経験して今、野球ができることに本当に感謝しています」

「手術をする前と数値自体は変わらない。でも、“質”の部分でというか、何て言っていいか分からないんですがまだ“本物”じゃないんですよね。一軍で試合に出ていた時を求めるのは年齢的にも厳しいのは分かっているんですが、判断力とか感覚の部分ではまだまだですよ」

36歳になり、チームの現状は承知しており、二軍ではドラフト1位ルーキー・小園選手、同3位・林選手らカープの将来を背負う若手たちが優先的に出場の機会が多く、少ない出場機会の中で以前の状態を取り戻すのは簡単なことではないでしょうけど、復帰を目指す熱い気持ちは変っていないそうです。

「何年もプロでやっているので、ここ(二軍)では若手に出場機会が多いのは勿論、僕も分かっています。限られた中でどれだけ状態を上げていけるかが大事。プレーできない時間の中でも若い子たちに技術、経験を教えることもできるので、その部分でも自分の役割は果たしたいなと思っています」

胃ガンを克服し、野球ができる状態に戻りまいたが、あくまで目指す場所は一軍であり、これまで多くの声援をもらってきたが恩返しの場は「最高の舞台でプレーすること」と決めているそうです。

「結果を残していないのに一軍に上がるのは違うと思うので。やっぱり二軍で成績、結果を残して『赤松さんならしょうがないでしょ』って若い子たちからも思われないと。もし、変な形で一軍に上がることがあれば一生懸命やっている選手に失礼ですから。多くの声援を頂いたファンの方々にも一軍の舞台でプレーする姿を見せて、初めて恩返しができる。それが最高の恩返しになると思っているので」

「復活を目指しているのは僕だけじゃない。ガンは2人に一人に見つかる病気だと言われてますから僕も癌と分かった時は正直、泣きましたよ。でも、その段階で分かったから、今もこうしてプロ野球選手としてやっていけている。悲観する必要はないと、『早く見つかって良かった』と思えるぐらいに前向きに捉えて欲しい。同じ病を戦っている人たちに勇気や希望を与えられる立場だと思っているので一軍でプレーする姿を届けたいですね」

実力がある者が使われるのがプロスポーツの世界です。だから、同情はして欲しくないと言います。不屈の闘志、あきらめない思いで挑戦し続けてきました。

それは、プレーにも表れ、赤松選手と言えば、2010年8月4日横浜DeNAベイスターズ戦で左中間方向のホームラン性の当たりをフェンスによじ登りキャッチ。このプレーで米国スポーツ専門テレビESPNによる、全世界のあらゆるスポーツの中から選ばれるその週の「トップ10」の1位に選出されるなど世界でも取り上げられたほどでした。

ここまで3年ぶりの一軍出場はかないませんでしたが、挑戦し、走り続けた現役生活だったことは間違いありません。

それは勝負ごとでも、人生でも同じこと。大切なことを赤松選手が教えてくれました。


コメント一覧

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eco坊主さん、こんばんは。

チーム事情もあって、一軍でのチャンスどころか、二軍での出場機会もままならない中、ここまで復帰してきたことに不屈の闘志、あきらめない思いが感じられますね。私だったら、病が分かった時点であきらめちゃっているかもです。

あのプレーは、今後も語り継がれていくことでしょうね。
eco坊主
おはようございます。

赤松真人選手 鯉の時代打率とかは大したこと無いのに代打で出てこられると嫌な思いのする(兎軍としてね)選手でした。VS鯉の終盤戦に彼が外野を守っていて勝ち越し打を阻止されたイメージがかなり大きいです。

村田さんのHRキャッチのプレーは凄かったですね。
阪急の山森雅文さんのプレーを彷彿させましたよね!!

もうあの守備は見られないのかぁ~
赤松選手 お疲れさまでした。
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