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AIによる裁判は可能か

2024-02-10 04:41:41 | 日記

生成AIで模擬裁判

「Chat-GPT」などの生成AI(人工知能)の活用が急速に

広がる中、司法分野へのAI導入に向けて議論が活発化

している。

昨年には、学生が「AI裁判官」による近未来の法廷を

仮想した模擬裁判を開催。

海外では、弁護士や裁判官の業務支援にAIを活用しよう

という動きもあるが、日本の司法界はデジタル面の環境

整備が遅れており、専門家は「実現のハードルは高い」

と指摘する。

 

<主文、被告人は殺人罪の共犯は認められないため、

無罪とする>

 

交際相手と共謀し、ストーカー行為を受けていた

元交際相手を殺害したとして殺人罪に問われた女性

被告の「裁判」。

判決を読み上げたのは、モニターに映し出された

「AI裁判官」だった。

昨年、行われた模擬裁判のイベントで「AIを使う

こと以外はリアリティーのある設定にし、見た人に

身近な問題として考えてもらいたかった」と

発案者は企画の意図を説明した。

裁判官役には、最新版のChat-GPTを起用。

演出上の理由から、事前に証言などを入力し、

生成させた判決をAI裁判官の「セリフ」として、

合成音声で読み上げる形とし、AIの入力内容や

脚本をイベント後にウェブ上で公開した。

模擬裁判は交流サイト(SNS)などで話題となり、

法曹関係者も含め、さまざまな議論を巻き起こ

した。

「問題提起が広く、深く届いた」

発案者は手応えを口にした。

海外ではトラブル

被告の身体拘束の判断も伴う刑事裁判への「AI裁判官」

の導入は「裁かれる側は納得できるのか」との声も

上がるなど、倫理面での課題が大きいとされる。

これに対し、弁護士や裁判官を補助する手段としての

AI導入は、主に民事訴訟で現実になりつつある。

 

米国では、大手弁護士事務所が法律業務に特化させた

「Chat-GPT」を文献検索や文書作成などに導入。

 

中国では、一部の裁判所でAIを活用した審理が始まって

いる。

 

一方でトラブルも散見される。

 

米ニューヨーク州では、昨年、弁護士が「Chat-GPT」

で作成した民事訴訟の準備書面に、実在しない判例が

含まれていた事が判明した。

判例データ化必須

<「Chat-GPT」は「もっともらしい答え」を出す

ことはできるが「なぜ正しいのか」は説明できない。

正確性は担保されておらず、重要な場面では使え

ないのが現状だ>と、

AIの法学への応用について研究する国立情報学

研究所のB教授は指摘した。

 

生成AIを裁判で利用する際に問題となる、こうした

「思考」過程のブラックボックス」をどう解決する

のか。

一助となりそうなのが、法的推論支援システム

「PROLEG(プロレグ)」だ。

プロレグは、訴訟の事実関係を入力すると、法律の

条文や、最高裁判例を読み込ませて構築した「ルール」

を当てはめ、判決などを導き出す仕組み。

日本語や英語のような「自然言語」で書かれた事実

関係の記述を、コンピューターのプログラミング言語

に置き換えて入力しなければならないが、置き換える

ための処理に生成AIが活用できるという。

 

プロレグと生成AIを組み合わせれば「なぜその判決(結論)

が導き出されたのか」が説明できるようになり、近い将来、

単純な少額訴訟の訴状作成などにAIを活用することは技術

的に可能になる。

ただ、実用的なシステム構築には、判例などの膨大なデータ

のデジタル化が不可欠だ。

 

日本では、1昨年に、民事訴訟手続きをIT化する改正法が

成立。

法務省は凡例のデータベースに向けた有識者検討会を

設置したが、実現は先になりそうだ。

AI裁判「受けたい」23.4%。

裁判へのAI導入について、人々は「高い期待」の一方、

「強い不安」も持っている。

 

国内のある社会調査では、こんな結果も明らかになって

いる。

明治大法学部のC教授らは、令和2年2月、インターネット上

で1600人に「AIによる裁判を受けたいか」などを尋ねた。

 

「受けたい」と回答したのは23.4%、

「受けたくない」は42.8%、

「どちらともいえない」は33.8%、

となった。

 

AI裁判の具体的なメリットとリスクを提示し、期待と

不安を尋ねたところ、

「ブレがなくなる」

「費用が安くなる」などの

メリットに高い期待が寄せられた半面、

「誤判の発生」などの

リスクに強い不安が寄せられた。

 

C教授は「AI裁判に対し、消極的な結果に見えるが、

裁判そのものを<避けたい>という人々の意識も

ベースにあると見られる」と推測。

判断のばらつきの解消やコスト削減などの面では、

AI裁判への期待度が高いと受け取れる。

不安を取り除くようなセーフガードを設けることで、

AIの導入により裁判がより身近なものになる可能性も

ある」と話した。

 

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