一定の時価を超える建物などの財産を相続すると、相続税が課されます。
よって、建物などの財産を相続した際は、その時価を自らが評価しつつ相続税を計算しなければなりませんが、どのようにして建物の時価を評価すべきでしょうか。
建物を相続しつつ相続税を計算する際に、その時価を評価する方法をご紹介しましょう。
被相続人が亡くなった日が属する年の固定資産税評価額で評価する
建物を相続した場合、その建物の時価は固定資産税評価額を用いて評価します。
たとえば、その建物の固定資産税評価額が1,000万円であれば、相続した建物の時価は1,000万円であり、1,000万円の財産を相続したことになるといった具合です。
固定資産税評価額とは、不動産などの所有者に固定資産税を課すために市町村が評価した、その不動産の適正な時価であり、毎年少しずつ変動します。
ここで気になるのが、いつの年の固定資産税評価額を用いて相続した建物の時価を評価するのか、という点です。
先にご紹介したとおり、不動産の固定資産税評価額は毎年少しずつ変動します。
また、相続税の申告期限は、被相続人(財産を相続される人)が亡くなったことを知った日の翌日から10ヵ月以内です。
よって、今年建物を相続し、来年建物の時価を評価しつつ相続税の申告をする、という状況に至ることがあります。
その状況においては、いつの年の固定資産税評価額を用いて建物の時価を評価するか迷います。
その答えは、相続税に関することを定めた法律「相続税法」と、市民生活に関する規律を定めた法律「民法」によって定められています。
相続税法の第二十二条には、いつの時点を時価を用いて、相続した財産の時価を評価するか記され、同条を簡単にご紹介すると以下のとおりです。
相続により取得した財産の時価は、その財産を取得した時点における時価によって評価する
すなわち、建物を相続した場合、その建物の時価は、建物を取得した時点の時価によって評価することとなります。
相続した建物を取得した時点とは相続を開始した時点ですが、相続が開始した時点の取り決めは、民法の第八百八十二条によって定められ、同条を簡単にご紹介すると以下のとおりです。
相続は、被相続人が死亡することによって開始する
やや難解ですが、本記事を総括すると以下のようになります。
建物の固定資産税評価額は毎年少しずつ変動するが、建物の時価を評価する際に用いるのは、建物を相続した時点の固定資産税評価額、すなわち、被相続人が亡くなった日が属する年の固定資産税評価額である。
建物の相続税を計算する際に、いつの年の固定資産税評価額を用いて時価を評価するかの詳細は、私が運営するサイト「固定資産税をパパッと解説」で公開するコンテンツ「相続税は、いつの固定資産税評価額で計算する?」にて詳しくご説明中です。
同記事では、相続時精算課税により受贈した建物の相続税を計算する際に、いつの固定資産税評価額を用いて時価を評価するかもご紹介しています。
建物を相続する予定の方がいらっしゃいましたら、ぜひご覧ください。それではまた次回の更新でお会いしましょう。不動産のあいうえおでした。