「プライド」「自信」「優越感」の語義を区別しないと、人間をきちんと見抜くことが出来ません。
精神的に未熟な人が、他人に優越することへの要求から出る言動を、「あの人は、自分に自信があるのね」などと、人間を見誤ります。
言葉の定義をしたいと思います。
What's プライド?
プライドは、「自分が自分をどう思うか」その人の言動に、見え隠れするものです。
一流大学・一流企業、スポーツが得意、美人、ユーモアがある、など。能力・状態・ステイタス・属性・・・ 自分のよさを自覚して、高く評価しているということ。
それを維持し、もっと高めようとする、ガッツある心の姿勢です。
「私は、他人にはないものがある」「他人には到底できないことを、私はできる」という認識です。
十人十色。人によって、プライドの高い・低いの判断基準も違います。
What's 自信?
自信は、「私は、これで良いんだ」という、ポジティブな確信です。自分への信頼という、いつもの心の状態です。このままでOKという幸せな感覚です。
多くの人が、自信について勘違いしています。
自信とは、『自分を高く評価することだ』と、思っていませんか?
違うんですよ。それは、プライドです。
プライドは、「自分で自分を高く評価する」ことから、得られますが
自信は、自分のすること/したことを評価する必要がありません。そこから自由なのです。「そんなことするまでもない」という感覚です。自信ある人にとっては、いちいち問題になることではないのです。
「英語ができる」という自信を例にします。
英語がぺらぺらな Aさんは、「英語ができる」という自信を持っています。
他人に褒められて嬉しくなることもなく、自分は優秀であるとかの拠り所としません。気にしません。
できるのが当然のことなのですから。
一方、Bさんは、習得中。
成績が良かったり、仕事で認められれば、「やった!」と嬉しくなります。
テストや、TV会議の前に、少なからず不安やプレッシャーを感じつつも頑張り、他人から、「Bさんて英語ができるのね」と言われれば、喜び、もっと頑張り
自分でも、「俺は、優秀だな!」と自分を高く評価するようになり、
英語ができることに、プライドを感じるようになります。
頑張らなくても、自然に英語がぺらぺらな、Aさんと同じ段階になると、評価がわりとどうでも良くなります。
だって、できるんだもの。これが自信です。
「英語ができる・できない」に執拗にこだわる人に、違和感さえ感じるようになります。
「自分は、これで良いんだ」という、自分への信頼、ポジティブな確信、このままでOKという幸せな感覚が、自信です。
プライドの蓄積は、自信へと変り得ます。
What's 優越感?
優越感は、他人からの評価あるいは他人との比較によってくだす「自分は誰かより優れている」という判断から、生まれるものです。
他人を下に見ることができて、「他人もそう判断する」という前提のもと、初めて、「自分は、(○○より)優れている」と感じられます。
充実感や達成感とは無縁です。
何でも構わないので優劣を『証明』したがります。
プライドとよく似ていますが、プライドは、能力などの自分のよさを自覚して、高く評価しているということ。
優越感は、他人と比較して、誰かより優れていることで感じる上下意識です。
きれいにお化粧して、似合うスーツを着た時感じる、「私はきれい」と感じる高揚感がプライドなら
厚底靴をはいて、相手を見下ろしている「いい気持ち」が優越感です。
自信は、何を身にまとっていようと関係ない自己肯定の心のあり方です。
優越したい、という気持ちは、悪いものではありません。
競争に勝ちたい、何かを達成したことを誇る気持ち、誰かより優れていると認められば嬉しいと感じること。これらは、人間らしい、健康的なものです。
しかし、優越感への屈折したこだわりには、2つのネガティブ・パターンがあります。
何が何でも、優越しようとする
他人より優位に立つことで、自信や、安心感を得ようとします。
「強さ」を誇示したがります。しばしば攻撃的になります。1番強く、優秀でいたいという欲求が強いのです。 (そこに、プライドを見出します。)
その変形で、
「愛されている」ことを誇示したがる、1番可愛い、良い人であろうとする場合もあります。
「他人に必要とされることを、過度に重要だと思う」ため、過度に愛されようとする女性がそうです。上司の前でおとなしく、部下の前で威張るタイプも、そうです。この場合、攻撃性を隠し、上手な対人スキルを発揮します。しかし、部下・後輩に意地悪をするのですぐわかります。
このタイプは、ひいきされたがります。
強者に保護されることを望み、そのことで優越しようとしているのです。
そうしなくてはいられない不安と、「自分はダメだ」という自己嫌悪を隠しています。
(うまくやれていると、他人に気に入られることへのプライドが高くなります。)
回避する
始めから、競争から降りるタイプです。優劣を競うことを、くだらないと言ったり、無関心を装ったりします。
「自分は勝者になれない」ということをよく知っており、避けるのです。それだけ優越したいという欲求が高いのですが・・・。
ですが、まさにそのことで、「自分が優れている」という意識を支えています。(これが、プライドにもなるのです。)
プライドと、優越感は、よく似ていますが、全く異なるものです。
さて、彼女は、自信がある人でしょうか?
彼女は、プライドが高い人でしょうか?
よく考えてみてください。