角閃石類 水晶

2021-01-06 | インクルージョン

 

角閃石類 Amphibole 珪酸塩鉱物 

 透明な水晶の内部に緑色の針が入り乱れる様子は魅力的だ。しかも包有物が透明であったら素敵な景色が見られるだろう。そう感じさせてくれるのが角閃石類の鉱物群である。

系統分類という視点から、鉱物は近年細かに分類される傾向にある。中でもこの角閃石類は多岐にわたっている。また、鉱物は固溶体を成すことが多く、正確には結晶内部で鉱物が異なっていることが多い。ここでは、大きなグループで捉えることにしたい。

 角閃石グループの中で比較的良く見かけるのが苦土普角通閃石Ca2(Mg,Fe)4Al(AlSi7O22)(OH)2である。火山岩を構成する造岩鉱物で、Mg>Feのものが苦土普角通閃石。ただし、色合いは黒。水晶に包有されて鮮やかな緑色を呈しているのは緑閃石ActinoliteCa2(Mg,Fe)5Si8O22(OH)2類や直閃石Anthophyllite(Mg,Fe)7Si8O22(OH)2類。いずれも緑泥石と共に我が国では比較的多い、水晶を母結晶とするインクルージョンの鉱物である。結晶形態は、しっかりとした柱状だけでなく、細い針状、結晶が見えないほどの細かな結晶もある。色合いや状態は、MgやFeの量によって変化し、あるいはこれらが別の金属元素と置換することもあり、構成元素によって無色、黄褐色、黄色、緑色と多彩。例えば緑閃石の構造でMg<Feが鉄緑閃石、Feをほとんど含まないものが透閃石。結晶の様子も似ており、また多くが固溶体であるため、同じ標本内でも部位によって鉱物種が異なっていることもあって分析に依らねば同程は難しい。

角閃石類 Amphibole 珪酸塩鉱物 山梨県甲府市黒平 水晶峠

 無色から白色、淡い灰色、無彩色の角閃石類。総ての鉱物について言えることだが、ちょっとした視点の違いとライティングによって表情が変わる。結晶内に閉じ込められた景色は、多少乱暴に取り扱っても失われることがない。様々な方向から観察することをお薦めする。

水晶の撮影において、面光源を用いると結晶面での反射が起こる。少し離れた位置から、スポットライトのように光束を狭めてライティングすると、煩わしい反射が抑えられる。



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