昭和51年12月5日施行の衆議院議員総選挙において、被告人Aは立候補していたBに投票依頼の為、同選挙区の選挙人宅数軒を戸々に訪問して投票を依頼したとして、公職選挙法138条1項の戸別訪問禁止の罪で起訴された事件である。
1審では、「戸別訪問の禁止が憲法上許される合理的で必要やむをえない限度の規制であると考えることはできないから、これを一律に禁止した公職選挙法138条1項の規定は憲法21条に違反する。」と判示して無罪とした。
憲法21条1項【集会・結社・表現の自由】
「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。」
控訴審でも、第1審判決を維持して無罪となった。
しかし、上告審の最高裁判決は、原判決を破棄し、広島高等裁判所に差し戻された。
「戸別訪問の禁止によって失われる利益は、禁止によって得られる利益(戸別訪問という手段方法のもたらす弊害を防止することによる選挙の自由と公正の確保)に比べてはるかに大きいからである」と判示している。
※私自身は、1審、2審の判決を支持したい。この最高裁での判断は、今までの同じような戸別訪問禁止の訴訟が数件あり、それらの判例の変更をしたくなく出した判決のように感じる。